■ 選手の問題欧州遠征は終了して、チームは解散となった。結果は1勝1敗だったが、沢山の収穫を得て、選手たちは所属クラブに戻ることになった。大事なのは、「出来たこと」と「出来なかったこと」をきちんと整理することであり、ブラジルに0対4で敗れたからと言って、これまでのやり方を全否定する必要は全くない。
「出来なかったこと」、「不足していること」を挙げると、真っ先に浮かんでくるのは、個の守備力の低さである。フランス戦でも、ブラジル戦でも、1対1になると苦しいので、数的優位を作ろうとしたが、相手を囲い込んだにも関わらず、ボールを取りきれず、展開されて、大ピンチにつながることが多かった。
守備的なポジションのSBやCBはもちろんであるが、ボランチや2列目の選手の守備力というのは、強豪国と比べると見劣りする部分で、ブラジルなどは、日本の選手を狭いスペースにおびき寄せて、逆サイドに展開して、決定機を作るシーンが多かった。
よって、2014年のブラジルW杯で上位を目指すのであれば、中盤の選手の守備力アップは不可欠で、守備力の高い選手を探してきて抜擢するというのも1つの策であり、MF香川であったり、MF岡崎であったり、MF清武であったり、レギュラー格の選手が対応力をアップさせることも必要となる。
■ 伝える側の問題2つ目は、試合を伝える側の話である。フランス戦とブラジル戦は、ともにフジテレビ系列で試合が放送されたが、率直に言うと、イマ一つだった。フジテレビ系列の解説というと、しばらくの間、風間八宏氏と清水秀彦氏と山口素弘氏の3人体制だったが、2012年の途中に風間氏が川崎Fの監督に就任して、山口氏が横浜FCの監督に就任したため、にわかに人材不足に陥った。
そのため、五輪代表の試合など、全国中継される試合のほとんどは清水秀彦氏が解説を務めているが、聞いていて、「うーん。」と感じるシーンが多い。解説者の影響力というのは、馬鹿にできないものがあって、サッカーの魅力であったり、選手たちの魅力を伝えてほしいと思うが、フランス戦も、ブラジル戦も、不十分だったと言わざる得ない。
ここ最近で言うと、日本代表戦の解説を任されるのは、テレビ朝日系列では松木氏とセルジオ氏と名波氏、TBS系列では金田氏、フジテレビ系列では清水氏であり、それ以外の人が担当するのは稀である。個人的には、他にも、いい解説者というのは、たくさんいると思うので、もっと競争があってもいいと感じる。
■ 分析する側の問題3つ目は分析する側の話である。試合後、あれこれと議論できるのが、サッカーの面白いところである。野球の場合も、語るべきポイントは少なくないと思うが、どうしても、ストレートに数字で貢献度が表れる競技なので、深く掘り下げていくのは、困難である。もちろん、難しい中で、ポイントを抑えて分析するのが、野球の評論家たちのウデの見せ所であるが、それに比べると、サッカーの場合は、自由度が高いので、いろいろな見方が可能となる。
誰がいいプレーをしたのか、あのときの選択は正しかったのか、選手交代は適切だったのか等々、いろいろな切り口が可能であり、基本的には、自由である。ただ、違和感を感じるのは、結果が出なかったときに、声が大きくなるような人たちであり、「待ってました。」とばかりに、ネガティブな空気を作り出す人たちである。
解説者と同様に、こういう人たちの影響力というのは、無視できないものがある。基本的に、評論家という人たちは、上から目線であり、何かを指摘して悦に入るのがスタイルである。よって、対象のものが調子がいいときよりも、調子が悪いときの方が、意見に説得力のようなものも出てくるが、「底が浅いな・・・。」と感じざるえないケースは少なくない。
否定的なことやネガティブなことだけを言うことは、はっきり言うと、素人でも可能である。「誰が発言したのか。」というのも、無視できない要素なので、全くの素人と同列の重みにはならないが、評論家に期待されるところというのは、誰でも分かるようなことを指摘することではないし、「プロは一味違うな。」というところを見せて欲しいと思うが、そうでないケースの方が多い。この点は、常々、残念に感じることである。
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