■ 第5節プレミアリーグの第5節。0勝2敗2分けで勝ち点「2」のリバプールと、3勝1敗0分けで勝ち点「9」のマンチェスターUがアンフィールドで対戦した。リバプールは、まだ未勝利なので、早く初勝利が欲しい。一方のマンチェスターUは、開幕戦で敗れた後、3連勝と結果が出ている。
ホームのリバプールは「4-3-3」。GKレイナ。DFケリー、シュクルテル、アッガー、グレン・ジョンソン。MFジェラード、ジョー・アレン、シェルヴィ。FWスターリング、ルイス・スアレス、ボリーニ。先日、イングランド代表に初招集されたFWスターリングは、1994年12月生まれなので、まだ17歳である。
対するアウェーのマンチェスターUは「4-2-3-1」。GKリンデゴー。DFラファエル、ファーディナンド、エヴァンス、エブラ。MFキャリック、ギグス、バレンシア、香川真司、ナニ。FWファン・ペルシー。プレミアリーグの第4節のウィガン戦は欠場したMF香川はトップ下でスタメン出場となった。
■ マンチェスターUが逆転勝利!!!試合はホームのリバプールのペースとなる。FWルイス・スアレスを中心に圧倒的に攻め込んで試合を優位に進めていく。しかしながら、前半39分にMFシェルヴィがレッドカードで退場。優勢だったリバプールは10人になってしまう。
0対0で折り返した後半は、アウェーのマンチェスターUのペースになるかと思われたが、後半1分にDFグレン・ジョンソンがドリブルで突破してこぼれたボールをMFジェラードが胸トラップから左足で決めてリバプールが先制する。
しかし、後半6分にマンチェスターUは、MFバレンシアのクロスをMF香川が胸で落としたボールをDFラファエルが見事なシュートを決めて、1対1の同点に追いつく。DFラファエルは今シーズン2ゴール目で、MF香川は初アシストとなった。
さらに、後半32分には、中盤でルーズボールを拾ったMFバレンシアが右サイドを突破すると、パスコースは失ったが、ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。これをFWファン・ペルシーが豪快に決めて2対1と逆転に成功する。FWファン・ペルシーは今シーズン5ゴール目となった。結局、試合は2対1でアウェーのマンチェスターUが勝利して、4連勝となった。一方のリバプールは開幕5試合勝利なしとなった。
■ 流れを変えたレッドカード前半はホームのリバプールが一方的に攻めて、マンチェスターUは、ほとんどチャンスを作れなかったが、前半39分のMFシェルヴィの退場で試合の流れが大きく変わった。数的優位になっても、マンチェスターUのテンポはあまり上がらなかったが、10人になったことで、リバプールは厚みのある攻撃が出来なくなった。
レッドカードのシーンは、ボランチのMFギグスのボールコントロールが乱れたところをMFシェルヴィがチェックに行って、流れたボールに対してMFシェルヴィとDFエヴァンスが争って、MFシェルヴィのタックルが危険なプレーと判断されたが、非常に危ないシーンであり、「怪我人が出なくて良かった。」と感じるほど、激しいシーンだった。
DFエヴァンスもタックルに来ていたが、MFシェルヴィは勢いがついており、DFエヴァンスがはじき飛ばされる形になったことが印象を悪くした。あの位置でボールを奪うことが出来ると、大きなチャンスにつながるとは言っても、そこまで、ハードなタックルをする必要があったのか、判断に誤りがあったように思う。
また、PKのシーンは、戻ってきたDFグレン・ジョンソンがペナルティエリア内でMFバレンシアを押したような感じになったが、GKレイナも近くに寄っていたので、不必要なファールだった。DFグレン・ジョンソンが激しくチャージしているわけではないので、PKが妥当だったのか、疑問に感じるところはあるが、冷静さは不足していたように感じる。
■ プレミア初アシストトップ下で先発出場したMF香川は、前半は全く見せ場は無かったが、相手に退場者が出た後半は、相当な頻度でボールを触るようになった。MFスコールズやMFキャリックは、MF香川の動きを意識していたので、後半はボール回しの中心となった。
同点ゴールのシーンは、MFバレンシアがニアのMF香川のところにいいボールを供給して、MF香川もうまく胸で落として、DFラファエルの同点ゴールが生まれた。もちろん、DFラファエルが放った左足のシュートが見事で、そちらをクローズアップすべきであるが、MF香川もフリーになった味方の動きをよく見て、正確なパスを送った。
ペナルティエリア内に入ると、どうしても、シュートの意識が高くなるので、視野も狭くなりがちで、ドフリーの選手がいたとしても、的確に判断してパスを出すのは難しいが、フリーのDFラファエルの動きをしっかりと確認してパスを送った。見事な判断と技術だったといえる。
■ 発展途上のMF香川ただ、それ以外では、決定的なチャンスには絡めなかった。11人対11人だったときは、防戦一方になったので、ほとんどいい形でボールを受けることはできず、ボールを持っても、ファールでつぶされるシーンが多かった。劣勢のときに、どのように攻撃に絡んでいくかは、今後の課題と言えるだろう。
また、数的優位になった後半も、シュートチャンスは、ほとんどなかった。MF香川という選手は、オープンな展開になったときに、最大限の威力を発揮する選手で、C大阪やドルトムントはショートカウンターが得意だったので、そういった場面でゴールに絡む仕事をしてきたが、マンチェスターUは、カウンターのチャンスが少ないので、持ち味は出し切れていない。
同じことは、日本代表のときにも言えるが、引かれた相手を崩すときは、ゴールゲッターというよりは、チャンスメーカーになってしまうので、なかなかシュートチャンスに絡めない。ドルトムントでは、遅攻になったとき、サイド、特に、右サイドにボールが渡ったとき、そこから、ペナルティエリアのやや外側の中央部に待っているMF香川にグラウンダーのボールを送って、そこから、崩していくシーンが多く見られたが、マンチェスターUでは、単純にクロスを上げるシーンが多いので、フィニッシュのところに絡めない。
日本代表について言うと、アジアのチームが相手ではなくて、もっと強いチームが相手になって、日本代表がカウンターを仕掛ける立場になったとき、MF香川の良さが出てくると思うので、今の時点で、あまり活躍できなくても心配する必要はないと思うが、マンチェスターUの場合、ほとんどの試合で戦力的に優位な立場になるので、スローな展開になっても、攻撃で存在感を発揮できるようにならないと、一段、上のレベルには到達しない。
マンチェスターU自体が、しっくりきていないところもあるが、チームはCLを含めると5連勝と結果が出ており、MF香川も5試合で1ゴール2アシストと、それなりに結果は出ている。いきなり、何でもできてしまっては、「面白くない。」という部分もあるので、ここから、MF香川がどのように変わって行くのか、どのように進化していくのか、その過程を楽しみたいところである。
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