■ 第2節ブンデスリーガの第2節。開幕戦でレバークーゼンに0対2で敗れて黒星スタートとなったボルシア・ドルトムントはアウェーでシュツットガルトと対戦。ドルトムントは<4-2-3-1>。GKヴァイデンフェラー。DFオヴォモイェラ、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFケール、サヒン、ゲッツェ、香川真司、グロスクロイツ。FWバリオス。
試合の立ち上がりはシュツットガルトが勢いに乗った攻めを見せるが、前半5分にドルトムントがMFサヒンのパスからオーバーラップしたDFシュメルツァーが左足でクロス。これが相手DFに当たってコースが変わってゴール。ドルトムントが先制する。さらに前半26分にDFオヴォモイェラのクロスからMFグロスクロイツが中央に折り返して、フリーのFWバリオスが流し込んで2点目。さらにドルトムントは前半37分にも中央で細かいパスで崩して最後はMF香川のクロスを相手DFがクリアしきれなかったボールをMFゲッツェがヘッドで押し込んで3点目を挙げる。前半は3対0で終了。
後半はホームのシュツットガルトが少し盛り返してペースを握って、後半24分にFWカカウのヘディングシュートで1点を返すが、結局、ドルトムントが3対1で快勝。今シーズン初勝利を飾った。ドルトムントは1勝1敗で8位に浮上。一方のシュツットガルトは連敗スタートとなった。
■ ドルトムントは初勝利開幕戦はレバークーゼンに完敗を喫したドルトムントがアウェーで3対1で勝利。開幕からレバークーゼン、シュツットガルト、ヴォルフスブルク、シャルケと強敵との戦いが続く厳しい日程の中、貴重な勝利を奪った。
開幕戦は0対2。チームとしては、いいところが少なかったドルトムントであるが、開始5分のラッキーな形で生まれたDFシュメルツァーのゴールが非常に大きかったといえる。若いチームであるからなのか、いったんムードが悪くなるとなかなか立て直せない点が気がかりであるが、勢いに乗ってくると攻撃も連動してきて強さを発揮する。
優勝候補筆頭のバイエルン・ミューヘンと比べると、1ランクも2ランクも劣るような気もするが、何とか上位に食らいついていって、来シーズン、チャンピオンズリーグに出場できるような位置でシーズンを終えてほしいところである。
■ 3点目に絡んだMF香川MF香川は2試合連続でスタメンフル出場。リーグ戦が開幕し、ドイツカップやヨーロッパ・リーグの予選も行われていて過密日程となっているが、ずっとスタメンで出場。トップ下のポジションを確保している。日本ではほとんど経験していないポジションなので少し違和感もあるだろうが、開幕戦のレバークーゼン戦よりもパスが集まってきて、2点目、3点目のゴールに絡んだ。
トップ下のポジションは相手のプレッシャーが非常に厳しいポジションであるが、Jリーグ時代はガチガチにマークされることがほとんどだったので、相手からの警戒度という意味ではむしろ小さくなっているので、新しいポジションでもやりやすいかもしれない。
■ トップ下とサイドハーフこれまではずっとトップ下でスタメンに入っているMF香川。システム自体はC大阪のシステムと同じ<4-2-3-1>であるが、ドルトムントの両サイドハーフはポジションが固定されていて、サイドに張ることが求められている。中盤の選手が流動的にポジションを取ってプレーする方が観ていて面白いが、欧州トップモードのサッカーはポジションは固定しがちである。
MF香川もプレシーズンでは試合の途中から何度か右サイドに入っていたが、うまくアピールは出来なかった。そのため、「MF香川はサイドでは生きないのか?」という意見も出てくるが、MF香川が得意なのは左サイドでのプレーであり、左サイドからカットインしてシュートを狙うプレーが非常に多かった。
これまで、サイドでうまくアピール出来ていない理由としては、MF香川のプレー自体に問題があったというよりは、その時点ではチームメイトからの信頼がまだまだ低かったため、いいタイミングでパスが回って来なかったことの方が大きいように思う。エジプト代表であり、トップ下でのプレーを好むMFジダンは怪我のため11月ごろの復帰が見込まれているが、このパフォーマンスを続けていってチームメイトの信頼を勝ち取ることが出来れば、トップ下でも、サイドハーフに回っても、同じようなレベルのパフォーマンスは出来るのではないだろうか。
■ セレッソ時代との違いドルトムントには若い選手が多く、ポーランド代表のFWレワンドフスキのように自分第一で、ボールを持ったらやみくもにゴールに向かおうとする選手が多い。特に、スタメンから外れている選手が途中から出場してくると、余計にアピールしようと1人相撲に走ってしまうケースが見られる。立場的にはMF香川も同じようにアピールが必要な選手だったはずであるが、極力、味方を使ってシンプルにプレーしている。そして、それが、結果的に自分勝手なプレーをする選手よりも評価は高まって、味方の信頼とポジションを勝ち取ったといえる。
試合を観ていると、「もっとドリブルで仕掛けたり、シュートを狙ってもいいのでは?」という気もするし、C大阪時代のラスト1・2年のプレーと比べると少し違和感も感じるが、シンプルなプレーがドルトムントの攻撃にリズムを作っていて、ドイツでもその辺りは高く評価されているようだ。
また、守備の意識が高まっていることも見逃せないポイントである。サイドでプレーしていたC大阪時代と、中央でプレーするドルトムントでは守備面での役割も違うが、守備でも積極的で、後半になっても相手を追い回している。
■ ドイツ国内の評価は???ということでリーグ戦は2試合が終了。開幕戦のレバークーゼン戦はビルト紙が2点で、キッカー紙は2.5点。第2節のシュツットガルト戦でもキッカー紙1.5点。ドイツ方式の採点は点数が低い方が高評価で、ちょっと分かりにくい部分もあるが、これ以上ないほどの高い評価である。ゴールやアシストがまだゼロであることを考えるとなおさらである。
昔からドイツというと「堅いサッカー」が特徴であったが、「柔らかいサッカー」を見せる選手もいた。少し前の時代ならMFリトバルスキやMFヘスラー、MFメラー、MFショルといった選手である。最近では育成方式の見直しがされて、MFエジルを筆頭に若くて技術のある選手が何人も出てきているが、(歴史的に、なかなかそういったタイプの選手が生まれて来なかったから余計に)ドイツという国には、MF香川のようなテクニックやイマジネーションのある選手が好まれたり、評価される土壌があるのかもしれない。
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