■ 第6節ブンデスリーガの第6節。スタートで躓いたドイツ王者のドルトムントはアウェーでハノーファー96と対戦。ドルトムントは2勝2敗1分けで勝ち点「7」。ハノーファー96は2勝1敗2分けで勝ち点「8」。ハノーファー96は、昨シーズンはリーグ戦で4位と大健闘した。
ドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ダ・シウヴァ、ブラスチコフスキ、香川真司、ペリシッチ。FWレワンドフスキ。日本代表のMF香川はリーグ戦は6試合連続でスタメン出場。MFゲッツェ、MFグロスクロイツがスタメンから外れて、MFブラスチコフスキとMFペリシッチがスタメン。MFペリシッチはCLのアーセナル戦で同点ゴールを決めている。
■ MF香川は先制ゴールも・・・試合の序盤はドルトムントのペースとなる。しかし、なかなか決定機は作れず、徐々に攻撃が行き詰っていく。MF香川は、バイタルエリアでボールを受けてから、サイドにボールを散らすシーンは多かったが、ビッグチャンスは演出できず。前半は0対0で終了する。
後半も同じような展開でドルトムントは攻めあぐねていたが、後半18分にようやく先制ゴールが生まれる。MFダ・シウヴァの縦パスをFWレワンドフスキが受けようとするが、相手からファール気味のコンタクトを受けて倒される。しかし、上手くフォローしたMF香川がボールを拾うと、一瞬、右サイドの味方にパスを出すフリをしてから、細かいステップで相手を外して中に切れ込むと、GKが出てきたところで絶妙のループシュートを決めてゴールゲット。MF香川は今シーズン初ゴールとなった。
1対0とリードしたドルトムントは、このまま逃げ切りたかったが、後半41分にCKからチュニジア代表のDFカリム・ハギに豪快なヘディングシュートを決められて同点に追いつかれると、その2分後にも、コートジボワール代表のFWコナンにミドルシュートを決められて、あっという間に逆転を許す。結局、MF香川のゴールも実らず、ドルトムントは1対2で逆転負け。早くも今シーズン3敗目となった。
■ ドルトムントは逆転負けMF香川のゴールで先制したドルトムントは、あと少しのところで勝ち点「3」を獲得できるところだったが、終盤に連続ゴールを許して逆転負けを喫した。MF香川にゴールが生まれて、勝っていれば、乗っていけそうな展開だっただけに、ダメージの大きい敗戦となった。
不運だったのは、DFシュメルツァー、FWレワンドフスキ、DFフメルスの3人が負傷して、3つの交代枠を、すべて「負傷者の交代」のために使わざるえなかったところである。もっとも痛かったのはDFフメルスの交代で、後半36分にDFサンタナを投入することになったが、守備の軸が抜けてからDFラインは混乱し、立て続けにチャンスを作られた。
ドルトムントは、若くて優秀な選手が揃っているが、「選手層が薄いこと」が最大の弱点で、FWバリオス、MF香川、MFゲッツェ、DFフメルス、DFスボティッチ、DFピズチェク、GKヴァイデンフェラーと代えの利かない選手がたくさんいる。CLもあるので、オフに積極的に補強したかったが、極端に運動量を必要とするサッカーなので、即戦力といえるのは、MFギュンドガンとMFペリシッチくらいで、効果的な補強は出来なかった。
■ ようやくリーグ戦の初ゴールチームは敗れてしまったが、MF香川はリーグ戦は、6試合目にして、ようやく初ゴールとなった。格下のチームが相手だったドイツカップではゴールを決めているが、シャルケとのスーパーカップ、CLのアーセナル戦を含めて、ずっとゴールが無かったので、ようやく「ゴール」という結果が残って、本人もホッとしているだろう。
そのゴールシーンは、MF香川らしい「個人技」を生かしたファインゴールだった。FWレワンドフスキが中央の位置で、つぶれてくれたので、そこにうまく絡んでいくと、相手のちょっとした隙を見逃さずに中央にドリブルで切れ込んで、鮮やかにフィニッシュした。
細かいステップで相手をかわしたプレーは、8月10日の日韓戦の1点目のゴールを思い起こさせたが、あの位置でボールを持って、一人でゴールまで持っていける選手というのは、世界中を探しても、なかなかいないだろう。MF香川の良さが存分に出たゴールシーンといえる。
■ 起点となる動きもまずまずゴールシーンがクローズアップされるだろうが、それ以外の動きも悪くなかった。
右サイドにMFブラスチコフスキ、左サイドにMFペリシッチが起用されたが、右のサイドで縦に突破するプレーが武器のMFブラスチコフスキと、左サイドでボールを持って仕掛けるプレーが得意なMFペリシッチの二人は、サイドにポジションを取って、サイドに張ってくれたので、中央には、いつもよりもスペースがあって、MF香川も少し楽にプレーすることができた。
MFゲッツェやMFグロスクロイツの場合は、彼らも中央でプレーすることを好むので、中央が混雑することが多かった。それでも、MFサヒンやFWバリオスのように状況を整理できる選手がいると、中央に固まっても、複数人が絡んだ連携で相手を崩すことができるが、MFギュンドガンやFWレワンドフスキでは、ちょっと力不足で、交通渋滞を起こしていた。これが、今シーズンのドルトムントの問題点の1つになっていたが、サイドの選手が変わったことで、少し状況が良くなったように見えた。
■ 今後、ゴールは量産はできるか?①このゴールをきっかけにして「ゴール量産」を期待したいところであるが、現段階では、「昨シーズンのように、ゴールを量産できるのか?」と問われると、難しいと答えるしかない。
その最大の理由を挙げると、「相棒のFWバリオスが、戦列に復帰できていないから」である。FWバリオスは、コパ・アメリカの決勝で負傷し、今シーズンは、まだ試合に出場できていないが、彼がスタメンに戻ってきて、試合勘を取り戻すまでは、MF香川のゴールも伸びないのでは?と思われる。
代わりにFWレワンドフスキが「1トップ」で起用されているが、この選手と前線でコンビを組んで活躍するのは、MF香川といえども、至難の業である。「ストライカー」としての才能は感じるが、それ以外の「フォワード」に必要とされる「地味なプレー」のほとんどが不得手なので、安心してボールを預けることができないし、ゴール前でいい動きをしても、いいパスが出てくる可能性は限りなく低い。
■ 今後、ゴールは量産はできるか?②FWバリオスは、得点力も備えるが、運動量もあって、高さもあって、周りを使うプレーも上手なので、FWバリオスとMF香川でコンビを組むと、「MF香川に対するマーク」も、FWバリオスが少し引き付けてくれるので、MF香川もプレーしやすくなる。
しかしながら、FWレワンドフスキと組むと、FWレワンドフスキがゴール前以外では、全く怖さを感じさせない選手なので、「FWレワンドフスキに向けられるはずの警戒心」も、MF香川が引き受ける形になるので、MF香川への相手のマークはさらにきつくなる。
FWバリオスがいない場合、FWレワンドフスキ以外の選択肢があればいいが、この試合のMFペリシッチの1トップでのプレーを見る限り、1トップ役としては不十分で、FWレワンドフスキを使うしか選択肢が無い。ドルトムントは「ターゲットマンの補強が必要」と言われながら、オフに補強を行わなかったので、フロントの大ミスかと思うが、今さら言っても仕方がない。
この試合のゴールシーンは、相手のファール気味のプレーでFWレワンドフスキがつぶれて、そこをフォローしたMF香川がシュートまで持っていってゴールまで至った。FWレワンドフスキが、意図的にこういうプレーができるようになるとドルトムントの攻撃の幅は広がると思うが、クレバーな選手には見えないので、かなり難しい注文である。MF香川がゴールを量産するとしたら、「FWバリオスがピッチに戻ってきて、FWバリオスのコンディションが上がってきてから。」となるだろう。
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