■ 第28節ブンデスリーガの第28節。クラブ新記録となる21試合無敗のドルトムントは、ホームでシュツットガルトと対戦した。首位のドルトムントは19勝3敗5分けで勝ち点「62」。7位のシュツットガルトは11勝10敗6分けで勝ち点「39」。ブンデスリーガの優勝争いは、2位のバイエルンが勝ち点「57」で、首位のドルトムントを追っている。シュツットガルトも最近の8試合で5勝1敗2分けと好調で、EL出場権争いに加わってきた。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ケール、ブラスチコフスキ、香川真司、グロスクロイツ。FWレワンドフスキ。ドイツ代表のMFベンダーがベンチスタートとなって、調子が上がってきたMFギュンドガンがスタメン出場。日本代表のMF香川は今季11ゴールを挙げている。
対するシュツットガルトは「4-2-3-1」。GKウルライヒ。DF酒井高徳、マサ、ニーダーマイアー、ボカ。MFクヴィスト、クズマノヴィッチ、ハルニク、ハイナル、シーバー。FWイビセヴィッチ。右膝を負傷したMF岡崎慎司はベンチ外。DF酒井高は8試合連続スタメンで、右サイドバックで起用された。ドイツ代表のFWカカウは出場停止で、FWシーバーが左サイドハーフで起用された。
■ 4対4のドロー試合は序盤から見ごたえのある展開となる。最初にチャンスを作ったのはドルトムントで、前半2分にコーナーキックの流れから相手のクリアボールをMF香川が右足で狙うと、いいコースに飛んでいくが、惜しくも枠を外れて先制ならず。さらに、前半5分にもMFギュンドガンのパスを起点に中央に入って来たMF香川が胸トラップから右足で強烈なシュートを放つが、GKウルライヒが好セーブを見せてゴールならず。
シュツットガルトもFWイビセヴィッチを起点に鋭い攻撃を見せるが、ドルトムントの猛攻は続いて、後半33分に先制ゴールを挙げる。DFシュメルツァーが左サイドを突破して中央にクロスを入れると、ゴール前に入って来たMFケールが頭で落として、そのボールをMF香川が右足で決めてドルトムントが先制する。MF香川は今シーズン12ゴール目となった。前半は1対0とドルトムントがリードして折り返す。
1点リードのドルトムントは、後半4分にDFフメルスのミドルパスから右サイドの裏を取ったMFブラスチコフスキが決めて2対0とリードを広げる。MFブラスチコフスキは今シーズン4ゴール目。ここからドルトムントがゴールラッシュを見せるかと思われたがドルトムントはペースダウンして、その後は、シュツットガルトが試合の主導権を握っていく。追撃のゴールが決まったのは後半26分で、途中出場のMFゲントナーのパスからDFニーダーマイアーが落としたボールをFWイビセヴィッチが決めて1点差に迫る。
さらに、後半32分にDF酒井高のパスからFWイビセヴィッチが頭で落としたボールを拾ったMFシーバーが、GKもかわして右足で決めて2対2の同点に追いつく。そして、その直後にMFケールのミスからカウンターを開始し、最後は左サイドでボールを受けたMFシーバーが左足で決めて3対2とシュツットガルトがあっという間に逆転に成功する。MF岡崎の代わりに左サイドで起用されているMFシーバーは2ゴールの活躍となった。
しかしながら、ドルトムントも後半36分にコーナーキックの流れからDFフメルスが右足で強烈なシュートを決めて3対3の同点に追いつくと、後半42分にも、DFシュメルツァーのコーナーキックを途中出場のMFペリシッチが右足のハーフボレーで決めて4対3と逆転に成功する。クロアチア代表のMFペリシッチは今シーズン5ゴール目となった。逆転を許したシュツットガルトも、後半ロスタイムに相手のクリアミスから途中出場のMFゲントナーが左足で決めて4対4の同点に追いつく。結局、試合は4対4で終了。首位のドルトムントにとっては、悔しいドローとなった。
■ ミスから失点ドルトムントは、MFペリシッチがゴールを決めて、4対3と逆転に成功したが、最後にDFフメルスとDFシュメルツァーの連携ミスから同点ゴールを許した。2失点目も、DFフメルスとDFスボティッチが空中戦を同時に競りに行った裏を突かれて、3失点目もMFケールの中盤でのボールロストからカウンターを許して失点を喫した。やはり、これだけミスが出てしまうと勝つのは難しくなる。
ドルトムントは若いチームなので、仕方がないところもあるが、一度、リズムが悪くなると立て直せないときがある。CLでは、そういう試合が続いてGL敗退に終わったが、相手に攻め込まれて受け身になると、途端に脆さを見せて、バタバタしてしまう。DFフメルスも、DFスボティッチも、若くて能力の高い選手で、多くのメガクラブが注目しているが、ミスを引きずるところがあるので、改善が必要である。
一方で、失点シーンも悔やまれるが、2対0とリードを奪った後、畳み掛けることができずに、試合を決めることができなかった点も悔やまれる。シュツットガルトも、前半はかなり飛ばしていたので、2対0となったときは、ゴールラッシュの予感がしたが、急に足が止まって、ボールがつなげなくなった。ケルン戦が日曜日の試合で、この試合は金曜日の試合だったので、間隔が短かったことも影響したのか、後半の戦いはドルトムントらしくなかった。
■ MF香川は今季12ゴール目25日(日)のケルン戦で2ゴールを決めたMF香川は、この試合も先制ゴールをマークし、トータルで12ゴール目となった。立ち上がりからゴール前に人数をかけて攻め込みながらゴールが奪えずに嫌な雰囲気になっていたが、いいところでゴールを決めることができた。MFケールの落としが良かったので、右足で合わせるだけだったが、いいポジションを取って確実にネットを揺らした。
これで、2006-2007年にFW高原が記録した11ゴールを抜いて、欧州の主要リーグでの日本人最多記録を更新した。当時、世界最高のリーグだったイタリアのセリエAで10ゴールを決めているMF中田英の活躍もすごかったが、MF香川も負けず劣らずの活躍である。弱小チームだったペルージャで10ゴールを挙げたMF中田英と、ドルトムントという首位のチームで12ゴールをMF香川のどちらが凄いかは、主観にも左右されるが、いずれにしても、見事な活躍を見せている。
MF香川の場合、ゴールを決めても「当たり前」のようになっている。これも、改めて考えると凄い話である。この日は、4対4という打ち合いの試合で、しかも最初のゴールだったので、インパクトは薄くなったが、終盤戦に入っても、大事な試合の、大事なところでゴールを奪うことができている。
■ レギュラーを確保したDF酒井高徳一方のDF酒井高は、右サイドバックで先発フル出場した。右サイドバックでレギュラーだったDFブラルズが怪我で離脱したため、先日の試合から右サイドバックに回っているが、右サイドでも、左サイドでも、違和感なくプレー出来ている。これで8試合連続スタメンとなって、完全にレギュラーポジションを確保したが、ビルドアップのときに非常に落ち着いており、効果的な縦パスを送って、攻撃のスイッチを入れるプレーが目立っている。
課題はクロスの精度と守備のときのポジショニングで、左足でクロスを入れるときは、力が抜けていて、精度の高いボールが入るが、右足で蹴るときは、鋭いボールを供給できていない。シュツットガルトは、中央にFWイビセヴィッチがいて、ファーサイドにも、MFハルニクやMF岡崎といった動き出しに優れた選手がいるので、ターゲットは豊富でクロスは入れやすいと思うが、右足のキックは精度を欠くシーンが多い。
したがって、改善すべきところがいくつかあるが、ここまでは想像以上に頑張っている。MF本田圭、MF香川、DF長友といった日本代表の主力選手が欧州の舞台で活躍することも、日本サッカーを盛り上げていくには必要なことであるが、DF酒井高のような日本代表に入れるか、入れないかギリギリの選手が活躍すると、層が厚くなったことを実感できるし、欧州のスカウトたちは、これまで以上にJリーガーに注目することだろう。インテルのDF長友も同様だが、左右どちらのサイドでもプレーできる点は大きな魅力で、可能性は無限大に広がっていく。
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