■ 首位攻防戦ブンデスリーガの第30節。20勝3敗6分けで勝ち点「66」のボルシア・ドルトムントが、ホームのシグナル・イドゥナ・パークでバイエルン・ミュンヘンと対戦した。2位のバイエルンは20勝6敗3分けで勝ち点「63」。得失点差では、バイエルンが上回っているので、バイエルンは勝つと首位に浮上することができる。マイスターシャーレの行方を占うビッグマッチで、ドイツ注目する大一番となった。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFギュンドガン、ケール、ブラスチコフスキ、香川真司、グロスクロイツ。FWレワンドフスキ。怪我が回復して、「この試合から復帰するのでは?」と報道されていたMFゲッツェは、この日もスタンド観戦となった。
対するアウェーのバイエルンは「4-2-3-1」。GKノイアー。DFラーム、ボアテング、バットステューバー、アラバ。MFルイス・グスタヴォ、トニー・クロース、ロッベン、トマス・ミュラー、リベリ。FWマリオ・ゴメス。怪我から回復してきたMFシュヴァインシュタイガーはベンチスタート。MF宇佐美貴史はベンチ外となった。
■ ドルトムントが逃げ切る試合は前半2分にドルトムントがチャンスを迎える。MFギュンドガンの絶妙のスルーパスパスを受けたMFブラスチコフスキがディフェンスラインの裏に飛び出して、GKノイアーも外して右足で無人のゴールにシュートを放つが、角度がなかったため、枠に飛ばすことはできない。さらに、前半5分にも、MF香川のクロスからMFグロスクロイツが決定機を迎えるが、GKノイアーがビッグセーブを見せて、ゴールを許さない。対するバイエルンは、右サイドのMFロッベンと左サイドのMFリベリを軸に攻撃を仕掛けるが、ドルトムントはしっかりと対応して自由を与えない。前半は0対0で終了する。
後半になると、ドルトムントに疲れが出てきて、バイエルンのペースとなる。しかしながら、先制したのはホームのドルトムントで、後半32分にコーナーキックの流れからMFグロスクロイツがシュートを放つと、ゴール前でFWレワンドフスキがヒールで軌道を変えて先制ゴールを奪う。FWレワンドフスキは今シーズン20ゴール目となった。バイエルンはオフサイドトラップをかけていたが、MFロッベンだけが残っていて、オフサイドを取ることができなかった。
ビハインドとなったバイエルンは、後半40分にペナルティエリア内でMFロッベンが倒されてPKを獲得するが、左足のシュートはGKヴァイデンフェラーがキャッチして同点ならず。さらに、終了間際にもDFスボティッチのクリアがミスになってポストに当たったボールを、ゴール前でフリーのMFロッベンが左足で合わせるが、まさかのシュートミスで絶好のチャンスを逃してしまう。結局、試合は1対0でホームのドルトムントが勝利し、バイエルンとの差が「6」に広がった。
■ MFロッベンが大ブレーキバイエルンは、オランダ代表のMFロッベンがブレーキになった。FWレワンドフスキの先制ゴールのときは、ラインを乱してオフサイドを取ることができず、絶好の同点機だったPKも外し、さらには、終了間際の合わせるだけというシュートを大きく外してしまって、分かりやすい戦犯となった。
試合前の時点では、ドルトムントとバイエルンとの勝ち点差は「3」だったので、仮に引き分けであっても、バイエルンにチャンスが残ったが、残り4試合で、勝ち点「6」差というのは、絶望的な数字である。振り返ってみると、MFロッベンは、南アフリカW杯のときも、スペインとの決勝で絶好の決定機を逃しているが、プレッシャーのかかる試合は、意外と弱いのかもしれない。
MFロッベンだけではなくて、FWマリオ・ゴメスとMFトマス・ミュラーもさえなかった。ともに、途中交代となったが、ほとんどボールに絡むことができず、試合から消えてしまった。もともと、バイエルンは流動的なサッカーをするチームではないが、MFリベリの個人技に頼り過ぎて、ドルトムントにきっちりと対応されてしまった。
■ 優勝に大きく近づいたドルトムント一方のドルトムントにとっては、大きな勝ち点「3」となった。31節にシャルケ戦(A)、32節にボルシアMG戦(H)を残しているが、シャルケも、ボルシアMGも、最近はやや調子を落としていて、ドルトムントが苦労することは考えにくい。したがって、最終節よりも前に連覇が決まる可能性の方が、高くなってきたといえる。
ヒーローとなったのは、決勝ゴールを決めてFWレワンドフスキと、PKをストップしたGKヴァイデンフェラーだが、MFブラスチコフスキとMFグロスクロイツのサイドハーフ二人の貢献度も高かった。クロップ監督は、ロベリーに対しては、「サイドバックだけで対応するのは難しい。」と考えて、常に2対1になるように守備を徹底させていたが、MFブラスチコフスキとMFグロスクロイツの二人が忠実に役割を果たして、サイドでアップダウンを繰り返した。
サイドハーフの二人が守備に重きを置いたため、FWレワンドフスキとMF香川は、味方との距離が空いてしまって孤立することになったが、それでも、しっかりとボールを受けて、確実にボールをキープした。特に、FWレワンドフスキは正確なポストプレーで前線の起点となって、味方が上がってくる時間を作った。FWレワンドフスキは、ヒールでのシュートも見事だったが、ポストプレーも非常に良かった。
■ リーグMVPは誰になるか?ドルトムントは、残り4試合で、2位のバイエルンとの差が「6」となった。バイエルンはCLのレアル・マドリー戦も控えているため、リーグ戦だけに集中できない状況で、ドルトムントの優勝は「ほぼ確実」と思える情勢となった。バイエルン以外のチームがブンデスリーガで連覇するのは、1994-1995年、1995-1996年のドルトムント以来なので、歴史的な快挙と言える。
連覇が見えてきたことで、「今シーズンのMVPは誰がふさわしいのか?」という話題も出てくるだろう。そして、その候補として名前が挙がってくるのは、ドルトムントのGKヴァイデンフェラー、DFフメルス、MF香川、FWレワンドフスキの4人である。GKヴァイデンフェラーは、安定感と爆発力を兼備したGKで、安定したキャッチングが武器であるが、モードに入ったときの集中力は物凄いものがある。最後尾からチームを引っ張っていることもプラス評価となるだろう。
DFフメルスは、今シーズンは、守備だけでなく攻撃でも力を発揮した。DFフメルスのフィードを防ぐために、相手チームが最終ラインのDFフメルスにマークを付けることもあって、正確なフィードがチームの助けとなった。一方、MF香川は、前半戦こそ低調だったが、後半戦は12試合に出場して8ゴールと文字通り大爆発している。MFゲッツェが抜けてチーム力が落ちそうになった時期を支えたことは、高く評価されるだろう。
ただ、現時点で、最有力なのは、ポーランド代表のFWレワンドフスキだろう。昨シーズンは、FWバリオスのバックアッパーにとどまっていたが、今シーズンは、FWバリオスが戦列を離れている間に1トップのポジションを勝ち取って、チーム最多の20ゴールを挙げている。大一番のバイエルン戦でゴールを決めたこともアピールポイントになる。
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