■ 第20節プレミアリーグの第20節。15勝3敗1分けで勝ち点「46」のマンチェスターUは、ホームのオールド・トラフォードでWBAと対戦した。WBAは10勝6敗3分けで勝ち点「33」。19節を終えた段階で6位と好位置につけている。
ホームのマンチェスターUは「4-2-3-1」。GKデ・ヘア。DFスモーリング、ヴィディッチ、エヴァンス、エヴラ。MFキャリック、クレヴァリー、バレンシア、香川真司、アシュリー・ヤング。FWウェルベック。日本代表のMF香川は負傷した10月23日のCLのスポルティング・ブラガ戦以来のスタメンとなった。
一方のWBAは「4-2-3-1」。GKフォスター。DFジョーンズ、マコーリー、タマス、、リッジウェル。MFソーン、ブルント、ローゼンベリ、ドアランズ、オデムウィンギ。FWロング。 ベルギー代表で193cmの大型フォワードのFWルカクはベンチスタートとなった。
■ マンUが快勝試合は立ち上がりからマンチェスターUが圧倒的にボールを支配して攻め込む展開となる。前半9分にMF香川からリターンパスを受けたMFアシュリー・ヤングが左サイドを抜け出して中央にグラウンダーのクロスを入れると、これがオウンゴールを誘発して、幸先よく、マンチェスターUが先制。前半は1対0とリードして折り返す。
後半になると、WBAがボールを保持する時間も長くなる。復帰戦ということもあって、MF香川は後半21分にFWファン・ペルシーと交代してピッチを去る。その後、WBAも惜しいシーンを作ってマンチェスターUも冷や汗をかくが、後半45分にFWファン・ペルシーがシュートを決めて2対0と突き放す。FWファン・ペルシーは今シーズン14ゴール目となった。
結局、試合は2対0でマンチェスターUで勝利し、2位のマンチェスターCとの勝ち点差は「7」で変わらず、依然として、首位をキープしている。ここ最近は大味な試合が続いていたが、14節のウェストハム戦以来で今シーズン4回目の完封勝利となった。
■ 2ヶ月ぶりの試合首位のマンチェスターUは、2位のマンチェスターCとの差が「7」で、3位のトッテナムとの差は「13」となって、独走体勢に入っている。20試合で28失点なので、守備はお世辞にもいいとは言えないが、20試合で50得点の得点力は脅威である。
FWファン・ペルシーが14ゴール、FWルーニーが7ゴール、FWエルナンデスも6ゴールを挙げているので、こういう選手たちとポジションを争うことになるMF香川は大変な状況であるが、復帰戦ということを考慮すると、まずまずの内容で約2ヶ月ぶりの試合を終えた。
FWウェルベックの1トップで、MF香川はトップ下で起用されたが、FWルーニーとFWファン・ペルシーが不在の中、比較的、ボールも集まってきて、アタッキングサードで攻撃がつまったときは、MF香川にボールが戻ってきて、MF香川がアイディアと技術を駆使して局面を打開するシーンが何度もあった。
先制ゴールにつながったシーンは、その典型で、MFアシュリー・ヤングに柔らかいロビングのパスを出して、相手の選手が処理を誤ったことがきっかけとなって、先制ゴールが生まれた。記録はオウンゴールとなったので、アシストは記録されなかったが、ゴールに絡む仕事ができて、アピールにもなった。
結局、後半21分で交代となったが、2ヶ月ぶりの試合なので、これくらいのプレイングタイムになるのは、ある程度は予想できたことで、悪くない復帰戦となった。プレミアリーグは、毎年、年末年始は過密日程になるので、マンチェスターUも試合が続いていくが、近いうちに、またチャンスはあるだろう。
■ 怪我したことをプラスに・・・怪我のため、2ヶ月程度、お休みすることになったが、この期間というのは、いい冷却期間になったのではないかと思う。怪我をした10月末の時点では、チームメイトとのコミュニケーションも十分ではなかったと思うので、欲しいタイミングでパスも回って来なくて、孤立することも多かった。
マンチェスターUは、伝統的に両サイドハーフの突破力を武器にしているので、ボールを奪ったあと、まず、サイドに起点を作ろうとする。MF香川という選手がもっとも生きるのは、奪ったボールを中盤で受けてカウンターを仕掛けるときであるが、マンチェスターUでは、カウンターを仕掛けられそうなときも、横パスが入ることが多いので、いい形でボールを受けることが少ない。
見ていると、無駄に思える横パスも多いので、もっと味方選手に要求していくことも大事になるが、こういうサッカーで、今まで結果を出してきているチームなので、MF香川もアジャストしていく必要はある。怪我をしてからは、ずっとスタンドやテレビで試合を観ていたと思うので、どうすればいいのか、しっかりと整理できたと思うので、チームから離れていた期間をプラスに変えて欲しいところである。
■ 2013年に期待されること次の試合は1月1日なので、2012年の戦いは終了となったが、先のとおり、ポジション争いは熾烈で、当然のことながら、レギュラーの座は約束されていない。FWルーニーは怪我で戦列を離れているが、FWファン・ペルシーは絶好調で得点ランキングでトップを走っており、FWエルナンデスも得点を重ねている。現状では、4番手や5番手あたりになるので、アピールしなければならない立場であるが、厳しいシチュエーションというのは、「成長できるチャンスが目の前に広がっている。」と言いかえることもできる。
もちろん、ドルトムントに残っていれば、ある程度、レギュラーの座は約束されており、MF香川の生かし方は味方選手も分かっているので、もっと楽にプレーできたと思われるし、また、結果を残す可能性も高かったと思うが、世界トップクラスの選手になるためには、さらに上のクラブにチャレンジすることは必要なことであり、ドルトムントからマンチェスターUへの移籍というのは、決して失敗ではないと思う。
C大阪のときは、MF乾という名パートナーがいて、ドルトムントのときも、MFゲッツェという感覚の似ている選手がいて、彼らとのコンビプレーが大きな武器となったが、マンチェスターUでは、FWルーニーも、FWファン・ペルシーも、いい選手ではあるが、MF香川とは全く系統の違うタイプであり、MF香川のような選手というのは、マンチェスターUには見当たらない。
自分と似たタイプの選手がいないというのは、MF香川にとっては、難しい状況を生み出している要因の1つとも言えるが、ポジティブに考えると、チャンスでもある。この試合を観ていても、バイタルエリア付近になって、攻撃に変化を出せるのは、MF香川くらいであり、崩しの局面では威力を発揮する。
C大阪やドルトムントのときは、もっとゴールを期待される立場だったが、マンチェスターUでは、点の獲れる選手が周りに何人もいることもあって、求められる役割が違っている。「ゴールチャンスが少ない。」という点が物足りなさを生み出す理由の1つになっていることは間違いないが、これまで、MF香川という選手は、困難な状況になっても、すべてをプラスに変えて成長してきた選手である。この状況をどのように打開して乗り越えていくのか、見物である。
関連エントリー 2009/01/19
日本代表MF香川真司を論ずる。 2010/05/12
本気(マジ)で落選ジャパン23名を考える。 2010/05/16
【C大阪×神戸】 シンジ 旅立ちの日 (生観戦記 #4) 2010/09/24
香川真司はドイツでどんな評価をされているのか? 2011/04/15
内田篤人はドイツでどんな評価をされているのか? 2011/04/28
長友佑都はイタリアでどんな評価をされているのか? 2011/12/20
乾貴士はドイツでどんな評価をされているのか? 2012/04/22
香川真司選手のこと
- 関連記事
-