■ 第6節ブンデスリーガの第6節。4連勝中のボルシア・ドルトムントはアウェーで昇格組のザンクトパウリと対戦。元日本代表のFW高原直泰が所属したハンブルガーSVと同じハンブルグ市をホームタウンとするチームで、先日、行われた久々のハンブルグ・ダービーは1対1のドローに終わっている。5試合を終えて2勝2敗1分けとまずまずの成績を残している。初めての黒人のドイツ代表として知られるFWアサモアが所属しているチームである。
アウェーのドルトムントのシステムは<4-2-3-1>。GKヴァイデンフェラー。DFオヴォモイェラ、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、サヒン、ゲッツェ、香川、グロスクロイツ。FWバリオス。ミッドウイークのカイザースラウテルン戦でスタメン出場したDFピズチェクとMFブラスチコフスキがスタメンから外れた。
■ 香川1ゴール1アシスト試合は地力に勝るドルトムント優勢で進む。前半17分にドルトムントは素晴らしい連携からFWバリオス→MF香川とつないでMF香川が右サイドの裏に飛び出すと中央に正確なクロスを送る。これをゴール前でフリーになっていたMFグロスクロイツがヘディングで決めて先制する。MF香川はリーグ戦で初アシスト。しかし、前半25分にザンクトパウリのFWヘニングスに決められて同点に追いつかれる。前半は1対1で終了。
後半立ち上がりにザンクトパウリがビッグチャンスを作るが決められず。その直後、ドルトムントは右サイドに流れたFWバリオスのキープからMFゲッツェがゴール前に侵入しラストパス。MF香川がうまく右足で合わせて勝ち越しに成功する。MF香川はリーグ戦で4ゴール目。
これで試合の流れをつかんだドルトムントは後半15分にもFWバリオスのシュートのこぼれ球をMFグロスクロイツが押し込んで追加点を挙げる。MFグロスクロイツは2ゴールの活躍。結局、後半25分にMF香川は途中交代するも、1ゴール1アシストの活躍。チームの5連勝に貢献した。
■ 5連勝ピッチ状態が悪かったのか、この試合のドルトムントは中盤のエリアでのパスミスが多くて、昇格チームに押される時間帯も長かったが、しっかりと結果を残したMF香川の活躍もあって勝利を飾った。これで6節を終えて5勝1敗。快進撃を続ける6連勝のマインツに次いで2位と好スタートを切っている。
この試合のヒーローは左サイドのMFグロスクロイツ。ドイツ代表に選ばれた経験もある22歳のサイドアタッカーは「先制ゴール」と「ダメ押しゴール」を決める活躍。左サイドが基本ポジションであるが、中央に入ってきて2ゴールをマークした。MFグロスクロイツとMF香川は相性が良くて、第3節のヴォルフスブルク戦のMF香川のブンデスリーグ初ゴールはMFグロスクロイツのアシスト。ボールを持ちすぎないMFグロスクロイツのプレースタイルはチームに好影響を与えている。
そして、ゴールはなかったが、パラグアイ代表のFWバリオスも3ゴール全てに絡む活躍を見せた。MFグロスクロイツの1点目につながったMF香川へのパス、MF香川のゴールにつながった2点目のMFゲッツェへのパスはともに最高のパスであり、味方を生かすのもうまい。パラグアイ代表で南アフリカ大会にも出場したがアルゼンチン出身。アルゼンチンのフォワードらしく、長身でありながらテクニックもある。
■ 今シーズン4ゴール目決勝ゴールを決めたMF香川はこれでリーグ戦は4ゴール目。6試合で4ゴール1アシストと順調な滑り出しを見せている。この試合はトラップミスが多くて、ボールコントロールに戸惑った印象もあるが、肝心なところでは正確なプレーを見せて1ゴール1アシスト。チームを勝利に導いた。
試合中にミスが出ると、どうしてもプレーが消極的になりがちであるが、MF香川の場合はミスを引きずらない強さがあって、悪い出来の試合でもしっかりと結果を残すことが出来る。これは、自分の技術に絶対の自信があるからだろうか?
ゴールシーンは右サイドをコンビで崩したFWバリオスとMFゲッツェに感謝というシーンであるが、MF香川のゴール前への入り方も非常にうまくて、完全にフリーの状態とになった。ドルトムントはFWバリオスが長身でゴール前のターゲットになることがほとんどであるが、サイドからのクロスに対してMF香川がうまく合わせるシーンも目立ってきている。高さはないがゴール前に入っていくセンスはあるので、シュートシーンに持ち込むことが出来る。
9月は非常に過密日程になっていて、リーグ戦やヨーロッパ戦に加えて、日本代表の試合も絡んできてタフな日程になったが、何とか乗り切った。今週はミッドウイークにヨーロッパリーグのセビージャ戦、週末にバイエルン戦と大事な試合が続くが、もうひと踏ん張りを期待したい。
■ なぜゴールを量産するのか?①MF香川はJ2時代は2007年が35試合で5ゴール、2008年が35試合で16ゴール、2009年が44試合で27ゴールを挙げている。そして、2010年はJ1で11試合で7ゴール、ブンデスリーガで6試合で4ゴールをマーク。フォワードの選手でもこれだけの結果を残すのは難しいが、MF登録のMF香川がこの数字をマークしているのだから驚きである。
試合に出始めた2007年は35試合で5ゴール。「ドリブル突破」や「アシスト」、「運動量の多さ」は光ったがゴールセンスには乏しく、クロスバーやポストに当てるシュートが非常に多かった。18歳の選手に多くを望むのは酷ではあるが、誰しもが「これでシュートさえ上手ければ・・・。」と思った。が、その数年後に「ゴールゲッター」に進化するとは誰が予想できただろうか?
まず、大きかったのは、J2とはいえ試合に出続けて、ポストやクロスバーにシュートを当て続けるという苦い経験を積むことが出来たという点である。シュート練習はいくらでもできるが、やはり公式戦でしか経験できないことは多い。J1と比べてレベルは落ちるが、タフなJ2で数多くの「経験」を得たことは大きかった。レベルの高いところで、もがき苦しむ経験も大事であるが、少し下のレベルで(成功体験を含む)いろいろな体験を積むことは大事である、ということをMF香川のキャリアは証明している。
■ なぜゴールを量産するのか?②「技術レベルが高いこと」は、もちろんゴールを量産する理由の1つであるが、「メンタル的な強さ」もその理由といえる。すでに、「ノーゴールならば満足できない状態」になっているが、FWならともかくとして、攻撃的MFのポジションの選手がこういった意識でプレーし続ける選手は多くはない。
難点は、C大阪時代から考えすぎてどツボにはまるケースがみられることであるが、1年半前にC大阪のクルピ監督は、C大阪の未来を担う(はずだった)MF香川とFW柿谷に対して、以下のようなコメントを残している。
クルピ監督 「香川真司と柿谷曜一朗は非常に対照的なところがありまして、シンジの場合はプロフェッショナルとして責任感が強いあまり、ミスを恐れてしまうことがある。逆に柿谷は責任感がないがゆえに、時として非常に勇気のあるプレーができる。好対照な2人だが、お互いにそういったところを変えていけば、間違いなく日本を代表する選手になると思います」この発言から1年半が経過し、今ではいい意味での大胆さも備わってきている様な印象で、とにかくゴールに貪欲であり、向上心は誰よりも高い。「運動量」や「テクニック」といった部分的にみると、今後、MF香川に匹敵するだけのポテンシャルをもった選手は出てくるだろうが、これだけ「メンタル的なたくましさ」を持った選手はなかなか出て来ないのではないだろうか?少なくとも同年代の日本人の中では図抜けている。
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