■ ハノーファー96戦プレミアリーグの開幕まであと1週間となって、マンチェスターUのプレシーズンツアーも最終戦を迎えて、ブンデスリーガのハノーファー96と対戦した。ハノーファー96には、五輪代表のDF酒井宏が在籍しているが、ロンドン五輪の活動が終了したばかりなので、この試合は欠場となった。
アウェーのマンチェスターUは「4-2-2-2」。GKリンデガード。DFキーン、ヴィディッチ、キャリック、エブラ。MF香川真司、クレバリー、ナニ、アシュリー・ヤング。FWエルナンデス、ルーニー。ロンドン五輪に出場したMFギグス、GKデ・ヘアはベンチスタートで、MF香川はセントラルMFでスタメン出場となった。
■ マンチェスターUが逆転勝利!!!試合は前半25分にハノーファー96が先制する。DFヴィディッチの中途半端なクリアボールを拾ったFWシュラウドラフが右足でシュートを放つと、GKリンデガードがはじいたボールをFWソビエフが押し込んで先制ゴールを奪う。しかし、マンチェスターUは、前半31分にFWルーニーのシュートのこぼれ球をFWエルナンデスが決めて同点に追いつく。前半は1対1で終了する。
追いつかれたハノーファー96は、後半3分にコーナーキックの流れからチュニジア出身のDFハギがヘディングで決めて2対1と勝ち越しに成功すると、さらに、後半21分にもノルウェー出身のFWアブデラウェのテクニカルなシュートで3対1とリードを広げる。
しかし、マンチェスターUは、後半24分にFWルーニーの直接FKで1点を返すと、後半37分にはFWルーニーがペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。これをFWルーニーが決めて3対3の同点に追いつくと、後半40分にもFWルーニーのヘディングの落としからトップ下にポジションを移していたMF香川が右足で決めて4対3と逆転に成功する。
結局、FWルーニーが4ゴール全てに活躍を見せて、4対3でマンチェスターUが逆転勝利を飾った。マンチェスターUは20日(月)にアウェーでエバートンと開幕戦を行って、ハノーファー96は26日(日)にホームでシャルケと対戦する。
■ 3試合ぶりのスタメンFWルーニーらユーロ組が戻ってきてからは、バレレンガ戦とバルセロナ戦と2試合連続で途中出場だったので、「開幕スタメンは難しいかも・・・。」という状況になっていたMF香川だったが、最終テストマッチで先発フル出場すると、決勝ゴールを挙げる活躍を見せて、存在を強烈にアピールした。
驚いたのは、MF香川のポジションである。マンチェスターUに加入してからは、ずっと1トップ下で起用されていたので、このポジションがメインになるかと思われたが、この日は、MFクレバリーと並んでセントラルMFで起用された。
クルピ監督によって、2007年シーズン途中にボランチから攻撃的MFにコンバートされてからは、下がり目でスタメン起用されたことはなかったと思うので、どんなプレーを見せるのか、注目されたが、頻繁にボールに触ってリズムを作った。MF香川とMFクレバリーのところに、あまりプレッシャーがかからなかった点は幸いしたが、散らしのパスや起点となるパスの精度と質は、想像以上にハイレベルだった。
一方で、守備のところは、不安が残る。もともとボランチの選手といっても、ここ5年ほどは、ずっと前目のポジションでプレーしているので、不慣れな点を隠すことはできず、守備のときに穴を作るシーンもあった。ただ、運動量はあるので、格下の相手と対戦するときは、大きな問題にはならないはずで、ゲームをコントロールしたり、組み立てる能力は、マンチェスターUの中でも、上位レベルと言える。
■ セントラルMFとしての可能性プレミアリーグのボランチは、セントラルMFと呼ばれて、ゴール前に顔を出すプレーも期待されるが、前半だけで3本のシュートを放っており、攻撃参加のタイミングも悪くなかった。FWルーニーやFWエルナンデスとのパス交換もスムーズで、攻撃的な布陣に変更するときは、「MF香川をセントラルMFで起用する。」というのも、今後、選択肢の1つになりそうである。
欲をいうと、前にスペースがあるときは、もっと、自らドリブルでボールを運んで行っても、いいかなと思う。C大阪のときも、ビハインドになって、途中出場で攻撃的な選手をたくさん投入したケースで、MF香川がボランチのポジションに入ることが何度かあったが、そのときは、下がり目の位置からドリブルで積極的に仕掛けてチャンスメークを行っていた。
2009年にJ2で得点王に輝くなど得点力が開花したので、ボランチではなくて前目の選手となったが、(数自体は少ないが、)セレッソ時代の「ボランチ香川」を見たときの印象は、ボランチでもトップレベルになれる選手であり、従来のボランチのイメージを変えてしまうのでは?と思うほど、面白いプレーをしていたので、今シーズン、マンチェスターUで下がり目で起用される可能性が出てきたことは、個人的には、嬉しいことである。
最後の試合で、いいアピールができたので、開幕スタメンになるのか、ベンチスタートになるのか、現時点では、5分5分くらいに上がっていると思うが、いずれにしても、新加入選手としては、これ以上ないほど、いい感じでチームに入り込んでいる。「重要な選手の一人」という地位を得ているので、新シーズンも、相当な活躍が期待できるだろう。
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