■ 快進撃を続けるツエーゲン金沢J2は29節が終了した。残りは13試合になるが好調の金沢は3連勝。順位は8位のままで変わらなかったが6位の水戸との差が「2」まで接近した。2位の京都との差も「6」になったので初のプレーオフ出場どころか、自動昇格も狙える位置になった。30節はホームの鹿児島戦になるが20位と低迷する鹿児島をホームで下すことが出来ると希望は膨らむ。得失点差「+14」は京都や大宮や山形や水戸とほぼ同じくらいになる。
直近の新潟戦(A)はシーソーゲームになった。常に金沢がリードを奪う展開になったが、2度、同点ゴールを許した。3対2で迎えた後半45分にはFWレオナルドへのファールでPKを献上。絶体絶命のピンチを迎えたがPKを得意とするFWレオナルドのシュートを守護神のGK白井がビッグセーブで防いだ。今シーズンも金沢はGK白井のビッグセーブに何度も助けられているがプレーオフ出場に向けて大きなPKセーブになった。
上位陣の背中が見えてきた8位の金沢に対して13位の新潟は痛恨の3連敗となった。6位の水戸との差は「11」。『残り13試合で11差を逆転する。』というのは不可能な話ではないが水戸と新潟の間にもたくさんのチームがあることを踏まえると「大逆転でのプレーオフ出場は現実的ではない。」と言える。直近の3試合で勝ち点「6」程度を積み上げることが出来れば面白い状況になったと思うがまさかの3連敗となった。
■ 3連敗でJ1再昇格は難しくなった。ホームの金沢戦は、2度、同点ゴールを奪うなど粘り強さを発揮したが終わってみるとCKから2失点。長身のDF舞行龍ジェームズを右SBで起用するなど高さのある選手をたくさん起用しているのでセットプレーは武器にしないといけないがこの日は対応が甘かった。ここ最近の金沢はセットプレーからたくさんのチャンスを生み出しているので警戒をしていたと思うが1失点目も3失点目もフリーで決められてしまった。
新潟は監督を交代した後、FWレオナルドがハイペースでゴールを積み上げており、右SHのMFフランシスのスピードも大きな武器になっている。46得点というのは50得点の横浜FCに次いで2位タイとなる。首位独走中の柏と総得点は全く同じなので「得点力はJ2屈指」と言えるが41失点というのは柏や横浜FCや水戸と比べるとほぼ倍の数字になる。これだけゴールを積み上げているが得失点差は「+5」である。
「2020年もJ2で戦う可能性が高まった。」と言わざる得ないが29節の金沢戦(H)ではビッグスワンスタジアムに13,608人の観衆が集まった。当然、3万人や4万人を動員するのが当たり前だった時期と比べると少ない人数になるが「J2の試合で1万人を大きく超える観衆が集まる。」というのは多くない。J2に落ちてもなお、多くのサポーターを集める人気チームであるがここ数年は期待に応える結果を出せていない。
■ 後半12分あたりのプレーについてJ1復帰が難しくなってきたのでサポーターはストレスを抱えていると思うが象徴的なシーンが29節の金沢戦(H)の後半12分あたりに見られた。後半5分にMF大石竜にPKを決められて1対2とリードを許す展開だったが金沢の守備ブロックが堅くてなかなか新潟は前にボールを運ぶことが出来ず。スタジアムは不穏な空気になった。「負けているのに何で後ろでボールを回しているのだ!!!」という怒りの声だったと思われる。
CBのDF大武がボールを受けたにもかかわらず、出しどころが見つからずに困った様子を見せていた中、結構な音量でサポーターからのアクションがあった。当然、ポジティブな反応(声援・応援)ではない。相手チームの選手がボールを持っているときに前にボールを出せずに後ろでパスを回しているときにブーイングが起こることは珍しい話ではないが味方に対してのアクションである。Jリーグでは珍しいシーンである。
サポーターの反応(声援・応援)が影響したのか?否か?についてはDF大武にしか分からない話にはなるが、傍から見ていると「味方サポーターからの圧力」に負けて苦し紛れのパスを出してしまって金沢にカウンターを食らいそうになったように見えた。MFシルビーニョがボールを収めきれずに相手にボールが渡る形になったが金沢にとっては狙い通り。新潟にとっては最も避けたい形のボールの失い方だった。
■ マイナスに作用するサポーターの反応(声援・応援)幸いにして金沢の選手が右サイドのスペースに出したパスが新潟の左SBのDF堀米悠の顔面に当たったので金沢のカウンターは成立せず。新潟ボールになったので事なきを得たが、「味方サポーターの反応が選手にマイナスの影響を与えてしまった。」と思えるシーンだった。DF大武はそこまでフィードの得意な選手ではなくてメンタルの強い選手でもない。こういう空気の中、平然とプレーできるタイプではない。
負けているときに後ろでボールを回す様子を見せられるとサポーターはイラッと来るとは思うが、「残り時間は30分以上あるので慌てる状況ではなかったこと」と「1トップのFWレオナルドは空中戦に強いタイプの選手ではないこと」と「金沢のブロックは堅くて、かつ、カウンターを得意にしているチームであること」を踏まえるとこの場面での新潟のサポーター席からの反応はあまりクレバーではなかったと思う。
先のとおり、この試合は13,608人という結構な数の観衆が集まった。その中で金沢のサポーターは700人程度だったと中継中に紹介されている。大多数が新潟のサポーターだったが「夏休み最後のホーム戦だった。」ならびに「異常な暑さがおさまって観戦しやすい状況になって初めてのホーム戦だった。」という事情もあって「初めてビッグスワンに来た。」というサポーターも少なくなかっただろうと考えられる。
この件について端的に思うことをまとめると
・あの場面でサポーターからあのような反応をされると選手は大変。
・ある程度のレベルでサッカーを理解しているサポーターであればあのような反応はしない。
・コアなサポーターから出た反応ではない(はず)。
となる。初めてサッカーを観に来た人に「バックパスの意味」や「横パスの意味」を理解してもらうというのはかなり難しいが、その一方で「吉永監督になってある程度はボールを保持して試合を進めたいと考えているが実際にはFWレオナルドとMFフランシスの「個の力」に頼ったサッカーになっていて、結局、どうしたいのかが選手もサポーターもよく分からない状況になっていること」も遠因の1つだと思われる。
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