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【移籍市場】 MF高木大輔(レノファ山口→ガンバ大阪)の獲得を酷評するのは時期尚早 | | |　

■　選手の入れ替えが激しいガンバ大阪

J1屈指のビッグクラブであるG大阪は選手の入れ替えが激しい夏になっている。FWパトリック(広島)とMF井手口(グロイター・フュルト)とMF宇佐美(デュッセルドルフ)というかつての主力3人の獲得は大きなプラスと言えるが、FWファン・ウィジョ(→ボルドー)の移籍は大きなマイナスである。また、MF今野(→磐田)やMF藤本淳(→京都)が抜けて、MF中村敬(トゥウェンテ)とMF食野壮(→マンC)は海外移籍となった。

特に入れ替えが激しかったのは右SB/WBになる。DFオ・ジェソク(→FC東京)が抜けて、MF田中達(→大分)が流出して、DF米倉(→千葉)は古巣である千葉に戻った。近年のG大阪の右サイドを支えて来たDFオ・ジェソクとDF米倉が揃って抜けただけでなく、加入1年目のMF田中達も抜けている。MF田中達の移籍は電撃的だったが右SB/WBの主力として起用されるようになってきたタイミングでの移籍なので驚きだった。

最近の試合は中盤であればどこでもこなす高卒2年目のMF福田湧が右WBで起用されてまずまずのプレーを見せているが右SBが本職となるDF高尾が右ストッパーの位置で起用されて定位置を確保していることもあって明らかに右サイドは手薄である。補強が必要なポジションだったがMF鈴木雄(川崎F)を獲得して、さらにはMF高木大(山口)も獲得した。MF高木大はG大阪にとって今夏の5人目の新戦力になる。

■　予想はできたMF高木大の移籍だったが・・・。

MF高木大は2018年は「3トップの左」で起用されるケースが多かったが38試合で8ゴール。飛躍のシーズンになったが今シーズンは右WBや左WBの位置で起用されるケースが増えており、26試合で2ゴール2アシストを記録している。もともとはCF系の選手になるがSBやWBでもプレー可能。豊富な運動量と献身的な守備も特徴になるがずっとJ2でプレーしてきた選手なので「J1でプレーするのは自身初」となる。

山口側の視点から話をすると「先日、右SBが主戦場となるDF石田崚の獲得が決まった時点で右SB/WBでプレーする誰かが移籍する可能性もしくは流出する可能性が高まった。」と言えた。広島からの期限付き移籍になるMF川井が期間を切り上げて広島に戻る可能性もあるが普通に考えるとその可能性は低い。「DF前貴之か、MF高木大のどちらかに移籍話が舞い込んでいるのだろう。」ということは容易に予想できた。

結局、「山口はMF高木大が抜ける可能性が高まった or 確実になったのでDF石田崚の獲得に動いた。」と考えられるが、ここ5試合は連続でMF高木大は左WBでプレーしている。「MF川井を左に回して、DF石田崚を右WBで起用する。」というのも考えられるが、左サイドはMF瀬川和(→栃木SC)が抜けてDF鳥養(→FC琉球)も抜けたのでSB/WBの駒は明らかに不足している。さらなる補強が必要な状況になっている。

　→　2019/08/01 　【移籍市場】不可解なDF石田崚真(ジュビロ磐田→レノファ山口)の獲得の裏にあるのは何なのか？

■　一般的な評価はそこまで高くないが・・・。

今シーズンのJリーグの第2登録期間(ウインドー)は8月16日(金)までなので「MF高木大を抜かれることになった山口の動向」も注目しないといけないが、G大阪側の立場から考えた場合、「右WBの補強が必要だった。」とは言ってもMF高木大の獲得に動いたというのは驚きだった。昨今のJリーグはJ2からJ1のクラブに個人昇格をする選手が増えているがMF高木大はJ2の中でも目立った活躍を見せていた選手ではない。

今シーズンのJ2でベストイレブン級の働きを見せていたDF伊藤槙(水戸→横浜FM)やFW鈴木孝(FC琉球→C大阪)あたりがJ1のクラブに引き抜かれるのはある意味では自然な話である。昨夏に山口からG大阪に移籍したMF小野瀬、同じく昨夏にFC岐阜から神戸に移籍したMF古橋なども「2018年の前半戦のJ2でベストイレブン級の働きを見せた選手」なので予想のできた移籍になるがMF高木大はそうではない。

「様々なポジションでプレーできること」、「ムードメーカーとしてもチームに貢献できること」、「どのポジションで起用されても頑張れるところ」などは大きな魅力と言えるがJ1のクラブが、しかも、G大阪のようなビッグクラブが即戦力が必要となる夏の移籍市場で動くことは予想できなかった。似たようなことは、先日、獲得したMF鈴木雄(川崎F→G大阪)にも言えるが今夏のG大阪の補強はある意味では面白い。

別の表現をすると「不思議な補強が続いた。」とも言えるが、当然、各選手に対する評価というのはクラブごとに微妙にもしくは大きく異なるのが普通。G大阪は「MF高木大は十分にJ1でも十分にやれる選手」と高評価しているのだろう。他のクラブがそこまで評価していない選手や世間一般の評価はそこまで高くない選手を獲得して戦力化できるとリーズナブルな価格で戦力となる選手を獲得できるので効果的な補強になる。

選手補強を評価するときは「評価の高い選手を獲得できたか？」、「将来性の高い選手を獲得できたか？」に注目が集まる。一般的な評価がそこまで高くない選手をたくさん獲得したチームは低評価されることになるが、そういう選手が移籍先で化けるケースは多々ある。そして、そういうことが多いクラブは「補強が上手」と高評価されることになる。MF鈴木雄やMF高木大がG大阪でどんな活躍を見せるのか？は興味深い。