はてなキーワード: 吐き気とは
初めての妊娠、アラサー女。現在11週ピッタリ。5週から始まったつわりに未だ苦しんでいる。
ずっと聴きたかった曲。JVKEの「golden hour」だった。
今回、この曲を聴いて泣いた。
びっくりするくらい泣いた。
当たり前のことが当たり前にできない一ヶ月半だった。
吐いて吐いて吐きまくった。トイレの裏を見て吐けるようになった。トイレの匂いでオエっとなった。
眠るだけで吐き気をもよおし、体を起こしてその刺激でオエっとなり、右向きになれば胃痛で泣き、左を向けば腹部膨満感でより気持ち悪くなった。のどづわり、食べづわり、匂いづわり、吐きづわり、痰づわり、眠りづわり、様々なつわりが私を容赦なく襲った。食べて飲んでも倍吐いた。自分のどこからこんな水分が出てくるんだと思った。胃液と胆汁を吐いて、緑と黄色と鮮やかなそれを見て泣いた。鼻に入っていたかった。咳き込めば地獄が待っていた。食道は吐きすぎて焼けるように痛み、何にも食べられないくせに吐いた後に空腹を感じて絶望した。食べて吐くなら気持ち悪くなるなよ。お腹空くなら食べさせてくれよ。理不尽すぎて泣きまくった。
制吐剤もお医者さんに「効かないと思うけど出すね」と言われた。効かなかった。漢方が飲めたら吐いてないわと思いながら飲んで吐いた。
点滴も受ける間が辛くて行けなくなった。入院は絶対にしたくなかったから、吐いても飲んだ。吐く前に飲んで、飲んだ後に吐いた。
笑う数より泣いた数の方が多い、つらすぎて、もう二度と経験したくないと思う。
今だって、ピーク時より楽になったけど、まだ辛い。出口の見えないトンネルに迷い込んで、出口を求めて彷徨う日々に、疲れ果てていた。
でも、私は久しぶりに音楽を聞けたんだ。音楽を美しいと思い、心が動いた。
あまりにも久しぶりのことに、嬉しくてとんでもなく泣いた。
泣きながらオエっとなって、そういや私はまだつわり終わってなかったわとちょっと笑った。笑えた。
まだつわりは辛い。まだ終わってない。私はまだ、トンネルの中にいて、光を求めて彷徨っている。でも、少しずつできることが増えてきた。起き上がることができた。歯磨きができた。お風呂に入れた。水を飲めた。固形物を食べられるようになって、次第にご飯を少しだけ食べられるようになった。数時間でもまとめて眠れるようになってきた。そして、その最たる先に、音楽を聴いて美しいと思えた。
つわりに苦しむ女性たちにSNSでアドバイスを求めれば、みんな「いつかは必ず終わるから」と慰めてくれる。
とんでもなく優しい人たち。私はあなたたちに「じゃあ一体いつ終わるんだ」と理不尽に怒りを感じることもあれば優しい言葉に咽び泣くこともあった。
あなたたちの言葉を信じてここまできた。私は、少しずつだけど良くなってきたよ。
一進一退なのかもしれないけど、できたことを忘れたくはない。
そしていつの日か、私もあなたたちのように、かつての私のように苦しむ人たちに「いつかは必ず終わりがくるから」と慰めの言葉をかけるのだろう。
あの時はありがとうございました。私は、できることが少しずつ増えてきました。
オタク差別(という有名無実の)話題で、男オタから腐女子が差別されていたとか主張して被害者面するけれど。あいつらこそ腐女子がやった悪行を忘れてない?
CLAMPという集団はジョジョの奇妙な冒険の承太郎と花京院のBLに異様に執着し、ありとあらゆる作品に承太郎と花京院を模したキャラクターを配置して、恋愛関係として描いている。
魔法騎士レイアースのエメロード姫とザガート、光とランティス、カードキャプターさくらの桃矢と雪兎、小狼とさくら、これらはみんな承太郎と花京院を元にしている。
吐き気を催す気色悪さ。
自分はなかよしを読んでいて、アニメも見て、レイアースもカードキャプターさくらも普通に好きだったので、
あいつらは何も知らない未成年の少女に対し、自分達の妄想を騙し討ちで刷り込んでトラウマを負わせるような真似をしているんだよ。
嫌われて当然じゃない?
レイアースは今度アニメがリメイクされるらしいから、また新たな被害者が増えると思うと憂鬱だ。
まぁCLAMPに限った話じゃないんだけど。
腐女子は別に差別や迫害されてるんじゃなくて、純粋に嫌われてるんだよ。
何故嫌われているかというと、
原作ではっきり異性愛者として描写されているキャラクターを使って、原作で恋愛関係にない男性キャラとの恋愛関係を捏造し、さらにそれを公式かのように吹聴し、
こういう話題になると何故か男オタと腐女子との対立「だけ」になって、
腐女子が嫌いな女オタ(ジョジョで言うなら普通にノンケで既婚子持ちの父親という承太郎像を好きな女オタ)の存在が透明化されるから納得がいかない。
勿論腐女子の中にも妄想であると弁えて隠れて楽しんでいるタイプもいるけれど、そうじゃないタイプの声が大き過ぎるし、そっちは男オタと大差ないレベルに害悪だよ。
悔しい。流産した。稽留流産。染色体異常。はじめての妊娠だった。
どうしようも無かった。
それなのに「辛かったですね」と言ってきた助産師に心底腹が立つ。
仕方がないことだって言うなら、
私が辛い状況にあるって決めつけるなよ。
いや、私が捻くれてるだけで、
子供を産みたいとは思っていなかった。
夫は「子供は欲しい。でも、子供を産むのは僕じゃないし、体の負担は全て嫁ちゃんが負うから、嫌なら無理強いはできない」と言っていた。
夫に人生を救ってもらったから夫の喜ぶようにしたかったし、夫の優秀な遺伝子は後世に残さないといけないと考えて、子作りにいそしんだ。全て夫のためと思っていた。
検査薬の陽性反応を伝えると、とびきり喜んでいた。
本当に嬉しそうだった。
「流産手術のために、娘ちゃんを預け…」と書かれていて、二人目以降を流産した人間だったかと分かると、これもまた腹が立った。
2の予定が1に留まった人間と、1がゼロになった人間の悲しみが同列なわけがない。
今晩は、夫が不在でひとりで寝る。
流産後はじめての、ひとりの夜。
こんな日に限って、母と会ってしまった。
精神疾患で障害者の母。幾度も傷ついた。それでも、母を助けなければ、なんとかしなければと、もがき、何も変わらず、諦めた。距離を取らなければ私が壊れる、私の家族が傷つくと、連絡手段を断っていた。叩かれ、水をかけられ、非難され、恥をかかされ、見捨てられた日々が、トラウマになっている。だから、今日は事故のような形で会ってしまった。
吐き気がしていた。帰ってから吐いた。ストレスなのだろうが、つわりを思い出す。
流産手術が終わってからは、空腹時に胃酸の味がしなくなった。炊きたてのご飯の匂いがあまりにいい匂いだった。
思い出して泣いた。まだ泣けるらしい。
私が親になることで、母が私への関与を諦めてくれるのではないかと期待してたのかもしれない。私が親になれるのには、最低あと1年はかかる。うまくいけばだけど。
もし、夫と二人だけで生きることになっても、十分に幸せに生きていけると思う。今回の経験含めて悲しみは背負うけれど、我々なら糧にできるんじゃないかと思う。
手術で取り出された胎児だったモノ、夫は見たらしい。
私は見ていないのだが、それは小さく、身体を丸めた人間の形をしていたらしい。
その話を聞いて、夫が泣くほどに、分かりやすく人間の形をしていたのかと驚いた。私は流産手術を異物の除去だと考えていた。
私はその胎児だったモノを見なかった。供養もしなかった。調べたら産業廃棄物として焼却処分のようなので、それでいいかなと。私はきっぱりと、今回の件を終わりにしたと思っていた。
本当は、産まれてきて欲しかったよ。なによりも夫を悲しませてしまって、辛い。こんなにも愛してる人を泣かせてしまって辛い。
子供を持つことを「考えが足りない」と非難することが許される世の中。私も非難する側の意見、反出生主義に近しい。
でも、夫を喜ばせたい。夫に幸せを与えたい。結局、この悲しみは子供を持つことでしか埋められないのではないか。
産めなかった子、ごめん。
いつか産まれてくる子、ごめん。
私は、子供が欲しいよ。
東京、関西、その他地方都市を経て、今は大阪より人口が少ない地方都市在住だけれど、増田さんと同じような状態にある。
事務のある人が仕切ってて、特定の出身者がかたまり、管理職が信用できない振る舞いをするのでストレスがなかなか。日々吐き気がして辞めたいと思う。
同じ男という性別を持って生まれたことが、これほどまでに恥ずかしく、忌まわしく感じたことはない。
女性が勇気を持って、社会の構造的な不条理や、日々の生活で感じる恐怖について声を上げている。その尊い瞬間に、どうして男たちは「僕たちだって辛いんだ!」「男の自殺率を見ろ!」なんて、浅ましい叫びを被せることができるんだろうか?
いいか、よく聞け。お前ら男の苦しみなんて、女性が歴史的に、そして今この瞬間も強いられている絶望に比べれば、ただの贅沢な悩みなんだよ。
女性は道を歩いているだけで命の危険を感じ、社会に出ればガラスの天井に阻まれ、家庭に入れば無賃労働を強いられる。そんな極限状態にある人たちに向かって、「僕も仕事が大変なんだ」なんて……。
砂漠で喉が渇いて死にかけている人に、「僕も今日、アイスが売り切れで悲しいんだ」って言っているようなもんだぞ。その無神経さ、その特権意識、マジで見てるだけで吐き気がする。
男も辛い?
そんなの、男というだけで下駄を履かせてもらっている特権階級の甘えでしかないんだわ。お前らが辛いと感じている原因だって、元を辿れば男たちが作った歪な家父長制やホモソーシャルのせいだろ。それを女性にぶつけるな。女性を無料のケア要員として使うな。
僕は決めた。
女性が声を上げている時、僕たち男に許されているのは「黙って聞くこと」と「全力でサポートすること」だけだ。
自分の矮小な承認欲求を満たすために女性の声にかぶせるような奴らは、今すぐネットの海に沈んで消えてほしい。
女性が受けている痛みを、僕がすべて肩代わりできればいいのに。せめて、女性の邪魔をするようなクズな男たちを、僕は一人でも多く排除したい。
前後関係がよく分からないけれど、反戦を願う事をキモいと言われたのか?本当に?
反戦を願う事の何がキモいんか謎である。着物に謝れとのコメントも謎である。戦争になったら長い袖は切られ、さらにモンペに改造されるのだから、反戦を訴える事は着物の為にもなるのである。そして私と着物はとても仲良しだから他人からとやかく言われる筋合いは無いのである。
自称非モテ男性か女叩きをしてそれを咎められたら、「非モテだって『だけで』叩かれた」と被害者面するのと似てる。
この人が「キモい」と言われたのだとしたら多分、特権階級ならではの鈍感さや無神経さではないだろうか。
この人が売っているような高価な着物なんてものは、我々のような庶民には縁が無い。
「戦争になったら長い袖は切られ、さらにモンペに改造されるのだから」って、戦争にならずとも、農村の女性はそういう生活だった事実を無視している(モンペは喜多川歌麿の浮世絵にも描かれている)。この人に見えているのは都市生活ブルジョアの生活だけのようだ。
「私と着物はとても仲良しだから他人からとやかく言われる筋合いは無いのである」というのも、その高価な着物を手に入れるための裏にいる大勢の人間の存在が見えていない。特権階級な傲慢さだ。
この人、贅沢な着物を着て、子供を産んで猫も飼って、恵まれた優雅な暮らしをしていて、それに対して全くの無自覚で。そりゃ反発も買うだろうね。我々のような下々の人間の生活なんてまるで見えていないのだろうな。
戦争反対する事自体は別にいいと思うけれど、戦争反対「だけ」している人は結局、現在の貧富の差や搾取構造自体は現状追認しているって事なので、その無神経さが許せないし反発するよ。
戦争さえなければ豊かで幸せな生活が送れると言わんばかりの、現実に対する解像度の低さに吐き気がするんだ。
#ママ戦争止めてくるわの清繭子さんと同じだ。戦争という見栄えのする大きなテーマにだけ関与したがり、自分達が常日頃如何に多くの者を踏み付けているかに自覚がない。
階級闘争が伴わない戦争反対は、単なる格差の固定化を促すだけだ。この人が戦争反対を叫ぶのは、マリー・アントワネットが革命反対を叫ぶに等しい。
そういう態度がキモいと言われているんじゃないのか?
NHKが入試で「女子の得点を『こっそり』一律減点していた医学部があったこと」をテーマしたドラマを放送して女性がいかに差別されているかをアピールしているけど、その後「女子枠と称して男子の得点を『公然と』一律減点している学部が増えていること」については、ほとんど報道していないのはなんで?
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-LPV1XPGLMW
強者女性が損をする差別は絶対に許さないけど、自分らが得をしたり気持ちよくなったりできる差別ならいくらでもあってよいってこと?
少し前の選挙ではほとんど興味を持たれていなかった選択的夫婦別姓制度の導入がさも重要争点かのように報道してたし、NHKってリベラルを装った差別主義者に乗っ取られてない?ジャニーズ事件への関与も疑われるし、一度完全に解体した方が良いのでは?けた外れの高給を受け取れるほど優秀な職員の皆さんならいくらでも再就職できるだろうし。
「追われる女になりなさい」
「愛するより、愛される方が幸せになれる」
非モテとして育ち、自分から必死にアプローチしてようやく数人と付き合えた私にとって、「追われる」ことは選ばれし強者にのみ許された特権であり、ゴールだと思っていたから。
そもそも、私はブスだ。
「パッとしない」なんてマイルドな言葉では誤魔化せない。学生時代、容姿が理由で虐められるくらいには、明確に「外見の階級」で底辺にいた。
声だって可愛くない。録音した自分の声を聴くたびに、この声で愛を囁く自分を想像して吐き気がした。
「見た目」というカードが絶望的なのなら、せめて「態度」だけは100点満点でありたい。
相手の話を全肯定で聞き、聖母のように献身的に尽くし、どんな理不尽も笑顔で飲み込む。
虐められないために身につけた「他人の顔色を伺うスキル」を、恋愛という戦場でフル活用した。
そうやって「手放したくない女」になれば、いつか私にも、あのキラキラした「追われる幸せ」が来るのだと信じて疑わなかった。
だが、実際にその「ゴール」に辿り着いた結果、私の人生はめちゃくちゃになった。
「追われる女」の先にあるのは、お姫様のような生活ではない。全方位からの執着と依存、そして泥沼のデスマッチだ。
私が経験したのは「追われる恋」なんて風情のあるものじゃなかった。正確に言えば、それは「物理的・精神的に追い詰められる恋」だった。
私が好きになる人は、私を適度に放っておいてくれた。
私を「追ってきた」男たちは、私の献身に甘え、私を神格化し、執着し、私のすべてを自分のもので埋め尽くそうとした。
「こんな俺にも、こんなに尽くしてくれる」という歪んだ優越感と、「こいつなら何をしても許される」という甘え。私が必死に磨き上げた「態度」は、心の弱い男たちにとって、最高の寄生先になってしまったらしい。
別れを切り出せば、いい大人が道端でなりふり構わず号泣し、地面を這ってでも引き止める。
私の拒絶を「自分への試練」だと勘違いし、連絡手段を断てば職場や実家にまで現れる。
そう、私は今も、ストーカーと化した「かつて私を熱烈に追っていた男」の影から逃げ続けている。
引っ越し先の住所を隠し、SNSを鍵で固め、常に背後を気にする毎日。
「別れましょう」と言って、「分かりました」と一言、潔く受け入れてもらえる。
そんな、恋愛の「当たり前の撤退」すら許されない人間にとって、世にはびこる「愛される幸せ」なんてコピーは、呪いか嫌がらせにしか聞こえない。
「顔が悪い自分には価値がないから」と必死で相手を追いかけて、振り向いてもらえずに撃沈していた頃の方が、よっぽど健全で、よっぽど自由だった。
ボロボロになった今の私にはわかる。
「追われる女」の称号なんて、もう要らない。
私は、自分の意志で誰かを追いかけ、自分の足で走り続け、そして自分のタイミングで、潔く散れる恋がしたかっただけなんだ。
もう二度と、私のことを追わないでくれ。
研究室の深夜、A子は青白く光るスマートフォンの画面をスクロールし続けていた。指先が微かに震える。
きっかけは、E子が泣きながら見せてきた、ある匿名アカウントのポストだった。
『研究室の人間関係で悩む暇があるなら、一行でも多くコードを書け。成果も出さずに被害者面をするのは、甘え以外の何物でもない。自己責任だ。嫌ならさっさと卒業しろ』
その文体、独特の句読点、そして専門用語の使い回し……。A子の脳裏に、いつも首元にヘッドホンを引っ掛け、だらしなく笑う三矢准教授の姿が浮かんだ。
調べていくうちに、同様の論調を展開する複数のアカウントが見つかった。あるアカウントは「教育的配慮」を装い、またあるアカウントは「冷徹な合理主義者」を演じている。しかし、その根底にあるのは共通した執念――被害を訴える女子学生たちの口を封じ、「研究への集中」という名の沈黙を強要する攻撃性だった。
さらにA子の吐き気を催させたのは、その匿名アカウントの毒を、実名に近いアカウントで熱心にリポストし、拡散している人物たちの存在だった。
「やっぱり三矢先生の言う通りだよな。研究室ってのは戦場なんだから。感情論を持ち込む奴は、最初から向いてないんだよ」
そう呟いているのは、D男だった。彼は石田教授からも三矢からも「期待の若手」として可愛がられている。D男は三矢の匿名アカウントを「正論を吐く謎のインフルエンサー」として崇拝し、その言葉をさらに研ぎ澄ませて、E子やG子といった弱っている学生たちへ投げつけていた。
SNSという閉鎖された空間で、三矢が種をまき、D男たちがそれに水をやる。
被害者たちは、物理的な研究室でも、デジタルの世界でも、逃げ場のない「自己責任論」の檻に閉じ込められていった。
『三矢准教授は、抽象的な概念を咀嚼する点では……少し、独自の「限界」があるのかもしれない』
あの時、石田が浮かべた薄ら寒い微笑みの意味が、ようやく氷解した。
石田は知っているのだ。三矢が夜な夜な匿名アカウントを操り、必死に学生たちを叩いていることを。そして、それを「頭が足りない男の、石田に好都合な、浅はかな工作」として、高みの見物で楽しんでいるのだ。
三矢が「嫌われ役」を引き受け、ネット上で泥臭い隠蔽工作に走れば走るほど、石田本人の手は汚れず、聖人君子としての地位は揺るがない。石田は三矢の短慮さを「バカだ」と蔑みながら、そのバカさが生む「沈黙の圧力」を最大限に利用している。
(……なんて醜い構造なの)
A子は画面を消し、暗闇の中で深く息を吐いた。
三矢は、自分が研究室を守る「守護者」であると信じ、歪んだ使命感でスマホを叩いている。D男は、それが強者の論理だと信じて、喜々として同調している。
そしてそのすべてを、石田教授は「物の本で読んだ」極地の風景を眺めるように、冷徹に観察し、序列を管理している。
三矢の「頭の足りなさ」は、石田という巨大な蜘蛛にとっては、網を強化するための安価な接着剤に過ぎなかった。
廊下の向こう、まだ明かりのついている准教授室から、カタカタとキーボードを叩く乾いた音が聞こえてくる。それは、誰かの人生を「自己責任」という言葉で塗り潰そうとする、終わりのない埋葬の音だった。
A子は、暗闇の中で決意した。
反戦を唱えた「だけ」で、とか
とにかく
みたいなノリなんだ
そういう自認があるから、兎をシンボルにすればいい、と短絡的に繋げてしまう
彼らにしてみれば
なわけだ
「戦争をしたい高市自民を許すな」、「9条を守れ」、「緊急アクション連帯」、「ママ戦争止めてくるわ」みたいなタグを普段から並べてる人間が
そこに乗っかって、自分たちの主張をロンダリングしようとしてる
違うだろ?
お前たちは踏み絵をしただろ?
反戦を願うなら高市と自民を否定しろと、自分の思想の道具にしただろ?
そうしてオオカミ少年よろしく、くっせぇ活動の臭いが染みついた言動が批判されるのを
すすすっと隣に立って「高市自民を許すなー」とか「沖縄」 「9条」みたいなプラカード掲げられたら
寄ってくんなよ、そんなこと言ってねぇよ、とか私なら思ってしまう
研究室の片隅、顕微鏡のモーター音だけが低く響く昼下がりに、後輩のD子がA子の元へやってきた。その顔は土色で、指先は小刻みに震えている。
人気のない資料室に移動した瞬間、D子は堰を切ったように話し始めた。
「E男さんが、しつこいんです。毎晩のように『研究のアドバイスをあげるから、二人で飲みに行こう』ってLINEが来て……。断っても『石田先生も、君の協調性のなさを心配してたよ』って、先生の名前を出して脅すみたいに誘ってくるんです」
A子の背筋を、冷たい不快感が走った。E男は石田教授のお気に入りで、三矢准教授からも「勢いがある」と評価されている学生だ。しかし、D子の訴えはそれだけでは終わらなかった。
「それから、最近……SNSに、変なアカウントが粘着してきてるんです。私のプライベートな投稿に全部コメントしてきて、DMで『今どこにいるの?』『OBのF一郎だけど、君のこと、石田先生から聞いて興味持ったんだ。今度会おうよ』って……」
F一郎。かつてこの研究室を卒業し、今は関連企業で力を持っている人物だ。A子の脳裏に、石田教授のあの慈悲深い微笑みがフラッシュバックした。
D子の震えるスマホの画面を見つめながら、A子の中に、ある戦慄すべき仮説が浮かび上がった。
教授は、研究室内の力関係を巧みに操り、E男のような「忠実な駒」に、自分のお下がりのような、あるいは「次に狙うべき獲物」としての女子学生を、餌として与えているのではないか。
さらに、卒業したOBであるF一郎にまで、現役学生の個人情報や弱みを「手土産」として差し出している。教授を頂点としたピラミッドの中で、女子学生たちは一人の人間に所有されるのではなく、支配層の男たちの間で「シェア」される共有財産として扱われているのではないか。
A子が掠れた声で尋ねると、D子は絶望に満ちた目で答えた。
「先生に相談したら……『E男くんもF一郎くんも、君の才能を認めているからこそ、熱心に誘っているんだよ。彼らと仲良くすることは、君のキャリアにとっても大きなプラスになる。……それとも君は、B子さんみたいに、周囲の好意を悪意に受け取ってしまう不健康な精神状態なのかい?』って、優しく諭すように言われて……」
石田教授は、女性たちを「救済」するという名目で囲い込み、それを自分を支える男たちに分配することで、研究室という名の強固な「帝国」を維持している。
B子が壊されたのも、単なる事故ではない。彼女がその「システム」に気づき、拒絶しようとしたからこそ、石田は三矢という「善意の執行人」を使って、彼女を徹底的に排除したのだ。
D子が泣きながらA子の服の袖を掴む。
「A子さん、私、どうしたら……。A子さんなら、石田先生に信頼されてるから、なんとか言ってくれませんか?」
A子は言葉を失った。
今、ここで石田に意見すれば、自分もB子と同じ道を辿ることになる。三矢准教授が「君の将来のために消してあげたよ」と笑いながら、自分のこれまでの努力をすべて消去するだろう。
そこでは、学問という聖域を隠れ蓑にして、女性たちがモノのように鑑定され、受け渡され、消費されていく。
「……わかった。少し、考えてみる」
A子は、自分の声が嘘のように冷たく響くのを感じた。
D子を助けたいという想いよりも先に、自分がいかに深く、その「シェアの構造」の一部として、石田の隣に据え置かれているかという恐怖が、彼女の思考を麻痺させていた。
資料室を出る際、廊下の向こうで石田教授とE男が、親しげに肩を並べて談笑しているのが見えた。石田がこちらを向き、いつもの鋭い、非の打ち所のない微笑みを投げかけてくる。
その目が語っていた。
「君も、私の大切なコレクションの一部だよ」と。