■ 21位が確定しているロアッソ熊本ロアッソ熊本は大宮で実績を積んだ渋谷監督を招聘。スタートダッシュに成功して序盤は上位争いに参加することが出来たが急失速。最終的には21位と自動降格圏内でシーズンを終えた。J3で2位を走る鹿児島が自動昇格を達成した時点で熊本は初のJ3降格となるが鹿児島のJ2昇格は目前に迫っている。昨シーズンは21位ながら「他力でのJ2残留」を果たしたがさすがに「2年連続での他力残留」は難しくなった。
昨今はJ2でプレーすることに抵抗感を感じる選手は少なくなったが、やはり、J3でプレーすることに抵抗感を感じる選手は多い。正式にJ3降格が決まった場合はFW安柄俊やMF田中達など主力選手の流出を阻止するのは難しくなる。激動のオフになる可能性が高まっているが渋谷監督の続投は正式に決定している。今シーズンと同じようにパスをつなぐサッカーで「1年でのJ2復帰」を目指すことになりそうだ。
今シーズンの熊本の平均年齢は28.31才だった。これはJ2では5番目に高い数字になる。J2平均は27.62才だったこと考えると「若返り」は必須のテーマと言えるが、DF園田、MF上里、MF上原拓、DF多々良など計9名の契約満了が発表された。先のとおり、MF田中達やFW安柄俊など主力数名は他クラブに流出する可能性が高いので半分以上の選手が入れ替わった状態で新シーズンを迎える可能性が高い。
■ 9人の選手が契約満了になった。加入5年目でずっと最終ラインの中心として活躍してきたDF園田の契約満了はかなり意外だった。J2最多の失点数と守備陣が崩壊したのでCBの補強は必須の情勢ではあるがチーム事情をよく分かっている経験豊富な選手は必要。34才という年齢はネックになったと思うが驚きの決断だった。今後、追加で契約満了のニュースが流れる可能性はあるがDF青木剛やDF小谷やDF植田龍やDF鈴木翔はひとまず生き残った。
大卒2年目のMF林祥太の契約満了も驚きの1つだったが、何と言っても最大の驚きは大卒ルーキーのMF池谷の契約満了になる。プロ1年目はJ2で2試合の出場のみ。合計しても24分の出場時間にとどまったので「即戦力」という期待に応える活躍は出来なかったが熊本ユースで育った選手でサポーターからの期待は大きかった選手である。MF池谷の契約満了を残念に感じているサポーターは多いようだ。
プロ野球と比べるとJリーグは移籍が活発である。プロ1年目の選手がオフに他クラブに移籍するケースはもはや珍しくなくなっているが、それでも、新卒で加入した選手がルーキーイヤーのオフに怪我や進学といった個人的な事情以外で「契約満了」という形でチームを離れる例は珍しい。契約満了なので1年契約だったと推測できるが「大卒で加入したMF池谷が1年契約を結んでいた。」というのも驚きである。
■ 1年で契約満了になった新卒の選手「高卒あるいは大卒のルーキーが契約満了になってチームを離れるというニュース」は最近はあまり聞いていなかったので試しに2010年以降で調べてみると以下の12件が該当する。
・2010年 大卒 MF 海老沢宏樹 (東京ヴェルディ)
・2011年 大卒 FW 神村奨 (水戸ホーリーホック)
・2011年 大卒 MF 鈴木将也 (水戸ホーリーホック)
・2011年 大卒 MF 小幡純平 (水戸ホーリーホック)
・2012年 高卒 MF 後藤寛太 (セレッソ大阪)
・2012年 大卒 GK 三浦雄也 (柏レイソル)
・2012年 大卒 MF 熊澤圭祐 (ガイナーレ鳥取)
・2013年 大卒 MF 平野又三 (FC岐阜)
・2014年 大卒 MF 上原拓郎 (コンサドーレ札幌)
・2014年 大卒 MF 篠原宏仁 (レノファ山口)
・2015年 高卒 DF 笹原脩平 (サガン鳥栖)
・2018年 大卒 MF 池谷友喜 (ロアッソ熊本)
ここでは加入時にアマチュア契約を結んでいて、かつ、1年で契約満了になった選手は省いている。MF後藤(C大阪)については契約満了のリリースと同時に高知大への進学の話も紹介されているので「進学を決意→契約満了」という流れなのか?「契約満了が決定→進学を決意」という流れなのか?ははっきりしないが、一応、カウントした。ちなみにJ3の選手に関してもカウントしていない。J1とJ2だけで12例となる。
「9年間で12例」となるので少なくはないが多いわけではない。印象的なのは2011年の水戸である。3人の大卒ルーキーが1年限りで契約満了になったが、当時、かなりの批判を浴びている。その後は安易に大学生を獲得してすぐにリリースすることはなくなったが、この年に水戸に加入した9人の大卒ルーキーのうちの1人がDF塩谷(アル・アイン)。GK笠原(大宮)もいるので「大学生の乱獲」は結果的には成功したと言える。
評判の良くない「群馬のアマチュア契約の乱発」もMF中村駿(山形)を輩出しているので強く否定することは出来ないが、やはり、1人の人間の人生がかかっているので門徒を広げ過ぎて1年で見限られる選手が続出するというのは絶対に良くない。プロ野球の育成制度もソフトバンクホークスの千賀を輩出するなど大成功例がいくつか出ているが「選手のことを考えるとあまり良くないシステムだ。」と個人的には考える。
■ デメリットが大きい1年での契約満了もちろん、上に挙げた12例もそれぞれに何かしらの理由があるはず。一緒くたに考えることは出来ないが、最も考えられる理由は「素行不良」というパターンである。懲役30年という判決が下されている水戸のFW神村については「水戸時代にも何かやらかしたのだろう。」と考えざる得ないが、団体競技であり、団体生活をしなければいけないので、チームの輪を大きく乱す選手を雇い続けるのはやはり難しい。
一方、「実力不足」という理由から新卒の選手が斬られることは考えにくい。新しい環境に慣れるまでに時間がかかる選手は少なくないので即戦力と期待される大卒ルーキーであったとしても「1年で斬る。」というのは出来る限り避けないといけない。実力不足が原因でわずか1年で新卒の選手を斬らざる得ない状況になったとしたら悪いのは選手ではない。フロントや強化担当やスカウトの方に問題があると言える。
今回のMF池谷の契約満了の理由が何なのか?は定かではないが本人のコメントを見る限りは「不本意ながら契約満了になってしまった。」というのは確実である。寝耳に水の話だったと思うが、「大卒1年目の選手が斬られる。」というのはJリーグ全体のことを考えても大きなマイナスである。熊本だけでなく、Jリーグ全体に対して、「不安定な職業である。」というイメージを世間一般に植え付けることになる。
箸にも棒にも掛からないレベルで、練習についていくこともできないレベルであったならば早めに肩を叩くことも必要になってくるが、MF池谷がそのレベルだったとは考えにくい。「新卒の選手に冷たいクラブ」というイメージが定着してしまうと今後の獲得競争にも不利に働く。年俸が高いわけでもないので不可解である。素行不良という理由以外で新卒の選手を1年で斬るのは極めてデメリットの大きい愚行である。
★ 現在の投票数 → 24票
→ 最大で10項目まで選択して投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
クラブ別の人気エントリー・ベスト10 (ロアッソ熊本編)
01位 2015/09/10 うまかな・よかなスタジアムでサッカー観戦したときに気になったこと (全部で10個)
02位 2017/09/16 【Jリーグ】 ロアッソ熊本の歴代ベストイレブンを考える。 (2008年-2017年)
03位 2015/02/15 【磐田×熊本】 未知なる可能性を秘めた19歳のアタッカーのMF嶋田慎太郎
04位 2007/02/13 ロッソ熊本の騒動
05位 2015/08/28 【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その1)
06位 2015/08/28 【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その2)
07位 2015/09/02 【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その3)
08位 2015/09/06 【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その4)
09位 2018/04/04 【東京世代】 「和製・レドンド」と呼びたいMF米原秀亮(ロアッソ熊本)
10位 2009/01/23 藤田俊哉のロアッソ加入とJリーグの広がり
00位 2018/11/23 クラブ別エントリー(ロアッソ熊本)
- 関連記事
-