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【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その1) →
【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その2) →
【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その3) →
【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その4)
■ 第30節J2の第30節。9勝12敗8分けで勝ち点「35」のロアッソ熊本(15位)がホームのうまかな・よかなスタジアムでコンサドーレ札幌(12位)と対戦した。札幌は8勝8敗13分けで勝ち点「37」。札幌は11試合勝ちなしで、四方田監督になってからは0勝2敗2分け。初勝利どころか、初ゴールも生まれていない。中位グループは混戦で12位の札幌と15位の熊本の差はわずか「2」のみ。熊本が勝利すると札幌よりも上の順位となる。
ホームの熊本は「4-2-3-1」。GKシュミット・ダニエル。DF養父、鈴木翔、クォン・ハンジン、黒木晃。MF園田、高柳、中山雄、清武功、嶋田慎。FW巻。29試合全てでスタメンフル出場を続けていたFW齊藤和は累積警告で出場停止。FW齊藤和はここまで11ゴール6アシストとチーム全体の6割以上のゴールに絡んでいる。代役として起用されたのは元日本代表のFW巻。彼が1トップの位置でスタメン出場となった。
対するアウェイの札幌は「3-4-1-2」。GK金山。DF櫛引、河合、福森晃。MF宮澤裕、上里、前寛之、古田、菊岡。FWナザリト、内村。エースのFW都倉は怪我で離脱中。FC岐阜から加入したFWナザリトが2試合連続スタメンとなった。元日本代表のMF小野伸とMF稲本は揃ってベンチスタートとなった。FWナザリトはここまで5ゴールを挙げているが、6節の東京V戦(H)を最後にノーゴールの試合が続いている。
#29 試合前の整列
#30 誓いの言葉
■ 痛み分けのドロー試合はアウェイの札幌ペースで進んでいく。札幌の2トップのFWナザリトとFW内村のスピードが生きる場面が立ち上がりから続いていく。すると、前半22分にFWナザリトが起点となった連続攻撃から左WBで起用されたMF古田のクロスを逆サイドから入ってきたMF前貴之が頭で合わせてアウェイの札幌が先制する。MF前貴之は今シーズン初ゴール。四方田監督になって5試合目にしてようやくチーム初ゴールが生まれた。
なかなか決定機を作れなかった熊本だったが、前半33分に左サイドのMF嶋田慎のファーサイドへのクロスをFW巻が豪快に頭で合わせて1対1の同点に追いつく。元日本代表のFW巻は今シーズン3ゴール目。FW巻は加入2年目にして待ちに待ったホームでの初ゴールとなった。DF福森晃に完全に競り勝って決めたFW巻らしいゴールだった。やや劣勢だった熊本が同点に追いついて前半は1対1で終了する。
後半は慌ただしい展開となる。後半の半ば以降は両チームとも中盤での不用意なパスミスが増えてカウンターからチャンスを作っていく。特に運動量が落ちた試合の終盤はカウンターの応酬となる。終了間際の後半48分に札幌はFW内村がドリブルから大チャンスを迎えるが、ほぼフリーで放ったシュートは枠を捉えることができない。ここ数試合と同様で札幌はまたしても決定力不足に泣くことになった。
結局、試合は1対1のドロー。札幌は12試合勝ちなしとなった。この日も内容では相手を上回ったが、呪われているかのように決定機をことごとく生かせなかった。一方の熊本は今シーズンは先制されるとそのまま完封負けを喫する試合が多かったので、FW巻のゴールで同点に追いついて勝ち点「1」を獲得できたのは1つの前進と言えるが、後半31分の大チャンスの場面でMF嶋田慎が決められなかったシーンが悔やまれる。
#31 スタジアム全体の景色
#32 ハーフタイム
■ ようやく生まれたFW巻誠一郎のホーム初ゴール熊本はアウェイで千葉に勝利するなど3連勝を達成してホームに戻ってきたが、29節は大の苦手にしている北九州に0対1で敗れて、今節は相性の悪くない札幌と1対1のドロー。ホーム2連戦は勝ち点「1」を積み上げるにとどまった。この2連戦でいい結果を得ることができると残留争いからは完全に抜け出してプレーオフ出場への希望が出てきたが、0勝1敗1分けに終わったことでプレーオフの可能性は小さくなった。
この日は押しも押されぬ熊本のエースに成長したFW齊藤和が出場停止。ここまでずっとスタメンフル出場を続けていた選手なので当然のことながらダメージは小さくなかったが、代役で1トップに入ったFW巻が奮闘した。2列目の3人との距離感はあまり良くなかったので最前線で孤立するシーンは多かったが、孤立したときでも何とかしてしまう力を持っている。熊本のチャンスシーンの多くは彼の頑張りから生まれた。
前半33分の同点ゴールは本当にFW巻らしいゴールだった。意表を突くセットプレーから左サイドでMF嶋田慎がフリーになって左足で精度の高いクロスを供給したが、FW巻の良さがフルに発揮されるように計算しつくされた120点のクロスだった。なかなか決定機を作ることができなくて静かだったスタンドは地元の英雄が決めたようやくのホーム初ゴールに大いに盛り上がった。打点の高さは見事というしかない。
#33 試合が終了した直後
#34 場内へのあいさつ
■ 大きな期待を背負ってプレーするMF嶋田慎太郎熊本にとって悔やまれるのは1対1で迎えた後半31分のビッグチャンスでMF嶋田慎がシュートを決められなかったことである。いい連携から完璧に崩して決定機を作って、左足が得意なMF嶋田慎のところに「あとは決めるだけ。」という絶好のパスが途中出場のMF岡本賢から出てきた。シュートを放った瞬間、多くの観衆は立ち上がったが、その次の瞬間に多くの人が頭を抱えた。まさかのシュートミスだった。
ファンタジスタの香りを漂わせるユース出身の19歳のアタッカーに対して熊本のサポーターはやはり特別な感情を抱いているようだ。いい形でボールを持ったときの歓声の大きさはダントツ。(サポーターの番号である12番を除くと、)39番のユニフォームを着ている人の数はチーム内でトップクラスだった。見た限りでは7番(=片山奨典)と36番(=巻誠一郎)と39番(=嶋田慎太郎)の3人の割合が非常に高かった。
試合前には7月のJ2の月間最優秀ゴールの表彰が行われた。フクダ電子アリーナで行われた第26節の千葉 vs 熊本の試合で生まれたMF嶋田慎のゴールがベストゴールに選出されたが、「選ばれて当然」と言えるゴールだった。事前にイメージできていないとなかなか完結しないプレーなので全てイメージ通りであったならば素晴らしい。逆に全くイメージしておらず、咄嗟に出たプレーであったならば末恐ろしい。
試合前にセレモニーが行われたMF嶋田慎が逆転ゴールを決めて熊本が勝利するという展開になっていたら熊本のサポーターにはこれ以上ないほど最高だったが、さすがにそこまでうまく事は運ばなかった。彼の技術をもってすれば「かなりイージーなシュート」だったが、結局のところ、こういうイージーなシュートを確実に決めることができるのか否かでプレーヤーとしての評価並びに価値は大きく変わってくる。
もちろん、決定機に絡んでいる点は評価できる。その回数をさらに増やすことも大事であるが、こういうシーンできっちりと決めることができるか、外してしまうのかで、最終的な数字も、周囲に与える印象も全然違ってくる。シーズン序盤は思うようなプレーができずに苦しんだが小野監督はチャンスを与え続けた。大きな期待を背負いながらプレーをして試合を決めることができる選手に育っていくことが期待される。
#35 7月度の月間ベストゴール
#36 南関町(なんかんちょう)の名物
■ はるばるやってきたサポーターの期待に応えることはできず・・・。一方の札幌は12試合勝ちなし。この日もFWナザリトには何度か決定機があった。最後の最後にはFW内村にも決定機があった。FWナザリトは昨シーズンは17ゴールを挙げており、FW内村はJ2で抜群の実績を持った選手である。ここ数試合は目論見通りにフィニッシャーに決定機が訪れているが、決めるべき選手があと少しのところで決めることができない。1つ勝つまでは悪い流れを断ち切ることはできないだろう。
もちろん、技術的な問題もあるとは思うが、やはり、四方田監督になってから勝てていないこと、もっと言うとバルバリッチ監督時代の末期からずっと勝てていないことが大きなプレッシャーになっているのは間違いない。3月上旬の開幕からずっと休みなしで戦ってきたJ2リーグであるが、来週と再来週はリーグ戦はお休みとなる。中断期間前の最後の試合もサポーターをモヤモヤさせる試合になってしまった。
終盤に不用意なミスからカウンターを食らうシーンが何度かあった点は気になるが、内容自体は決して決して悪くない。この日もFWナザリトとFW内村の2トップだったが、2人のスピードが熊本の最終ラインをかき回すシーンは多かった。アンラッキーだったのは前半終了間際にMF菊岡がペナルティエリア内で倒されたにも関わらず、PKが与えられなかったシーンである。リプレーを観る限りではPKが妥当だったと思う。
流れのいいときはいくつか自チームに不利なジャッジがあったとしても他の部分でカバーして勝利を手にすることができるが、流れが良くないときは何もかもが悪い方向に働いてしまう。かなり多くの札幌サポーターがスタジアムを訪れていたが、相当なお金と時間がかかっているのは間違いない。勝てていない状況であるにもかかわらず、遠くまで足を運んでくれるサポーターのためにも選手は戦い続ける必要がある。
#37 試合後のあいさつ (コンサドーレ札幌)
#38 試合終了後のスタジアム
#39 JR熊本駅前
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【熊本×札幌】 初めてのうまかな・よかなスタジアム (生観戦記) (その4) に続く。
2015/08/28
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