■ 入替戦の1試合目入替戦の1試合目。23勝4敗9分けという好成績でJ3の2位になって入替戦に進んだ町田ゼルビアがホームの町田市立陸上競技場で大分トリニータと対戦した。大分は8勝20敗14分けで勝ち点「38」。20位のFC岐阜との差が「5」で入替戦に回ることになった。下のカテゴリーとなる町田は最後の9試合は7勝2分けと負けなしであるのに対して、上のカテゴリーとなる大分は4連敗でリーグ戦をフィニッシュした。
ホームの町田は「4-2-2-2」。GK高原。DF土岐田、深津、増田、平。MF李漢宰、森村、鈴木崇、重松。FW戸島、鈴木孝。31試合で12ゴールを挙げているエースのFW鈴木孝はJ3の得点ランキングは5位だった。2014年は33試合で19ゴールを挙げてJ3の初代得点王に輝いている。元北朝鮮代表のMF李漢宰は広島やFC岐阜などでプレーした経験がある。湘南などでプレーしたFW中村祐などがベンチスタートとなった。
対するアウェイの大分は「4-2-2-2」。GK武田洋。DF若狭、ダニエル、鈴木義、安川。MF松本昌、阪田、伊佐、為田。FW荒田、三平。絶対的なエースであるMF為田は9月に佐賀で行われたU-22日本代表候補合宿のメンバーに選ばれている。プレイスキッカーで攻守の要であるMF兵働はこの日も欠場。ただ、怪我で最終節の磐田戦(H)は欠場したMF松本昌がスタメンに復帰。MF阪田とWボランチを組む。
■ 2対1でホームの町田が勝利試合の序盤はホームの町田ペースとなる。前半7分には左サイドハーフのMF重松のクロスから191センチのFW戸島がヘディングで狙ったシュートが左ポスト直撃。最初の決定機を作ったのは町田だった。しかし、前半22分に大分は左サイドでFKを獲得するとボランチのMF松本昌が右足で蹴ったボールを中央でDFダニエルが頭で合わせてアウェイの大分が先制する。大分は貴重なアウェーゴールを奪った。
1対0で迎えた前半47分に町田はMF李漢宰が頭でつないだボールに反応したFW鈴木孝が右足でシュートを狙うような雰囲気を出しながら左足でシュート。これが鮮やかに決まってアディショナルタイムに町田が1対1の同点に追いついた。迎えた後半27分に町田は細かいパスで中央を崩すと、最後はMF森村の折り返しを再びFW鈴木孝が決めて町田が2対1と逆転に成功する。FW鈴木孝は2ゴールの活躍だった。
1点を追う大分だったが、後半31分に「相手のスローインのリスタートを遅らせた。」という判断で右SBのDF若狭が2枚目のイエローカードを受けて退場。さらに後半43分には裏に抜け出してキーパーと1対1になりかけたFW鈴木孝をファールで止めたDF鈴木義が一発レッドで退場。大分は9人になってしまう。結局、2対1でホームの町田が勝利。第2戦は12月6日(日)に大分銀行ドームで行われる予定になっている。
■ エースの仕事をしたFW鈴木孝司注目の入替戦の1試合目はホームの町田が勝利した。町田は2012年以来となる「J2昇格」に一歩前進した。前半22分にセットプレーからDFダニエルに先制ゴールを許したが、前半アディショナルタイムにFW鈴木孝の同点ゴールが生まれた。エースのFW鈴木孝は最終節の長野戦(A)で決めたダイビングヘッドのような「泥臭いゴールが多い選手」というイメージが強いが、なかなか真似のできない技ありのシュートだった。
ホーム&アウェイの戦いの初戦が1対1のスコアで終了すると第2戦をホームで戦えるチームが圧倒的に有利である。大分は「1対1であれば十分」と言えたが、後半27分にFW鈴木孝とMF森村の鮮やかな連携から相手の守備陣をきれいに崩して逆転ゴールが生まれた。最後はスライディングをしながらゴールに流し込んだが、2点目のゴールはFW鈴木孝らしいゴールだった。エースがここ一番で大仕事をした。
終わってみると町田のシュート数は19本で大分は3本だけ。特に後半になると大分はほとんどチャンスシーンを作れなかった。41節は大宮(A)、42節は磐田(H)に競り負けるなど最後は4連敗でシーズンを終えたが、ラスト2試合はむしろいい出来だった。4連敗中とはいっても「大分の調子自体は決して悪くはない。」と思っていたが、試合内容は一方的だった。入替戦の初戦は意外な展開になったと言える。
町田は次の試合で引き分け以上の結果を残すと悲願のJ2復帰となる。レギュラーシーズンは36試合でわずか18失点。驚異的な失点率を誇る自慢の守備陣の見せ場がやってきたと言える。アウェイゴールを許しているので0対1で敗れると「大分のJ2残留」が確定する。「ホーム&アウェイの初戦でホームチームが2対1で勝利」というのは決して十分な結果ではないが、精神的にやや有利になったのは間違いない。
■ 大きなものがかかった大分銀行ドームでの2試合目大事な初戦で逆転負けを喫した大分はプレッシャーのかかる状態で第2戦を迎えることになった。ここまで内容的に圧倒される試合になるとは誰も考えていなかったと思うので精神的なダメージは小さくない。次の試合で1試合平均の失点数が「0.50」という町田からゴールを奪うことができないと「J3降格」となる。右SBのDF若狭とCBのDF鈴木義の2人が退場処分になったため、次の試合に出場できないのも痛い。
後半31分のDF若狭の退場シーンについては「やや厳しかったかもしれない。」と感じる。もちろん、相手のスローインを遅らせようとしたのは確かであるが、即、チャンスにつながるような位置ではなかった。注意だけで済ませるのがベターだったと思うが、DF若狭が余計なことをしたのは間違いない。後半43分のDF鈴木義の一発レッドに関しては決定機を阻止しているのは間違いないので退場になるのは致し方なし。
初戦を落としたことで「かなり追い込まれてしまった。」という印象もあるが、これだけシュート本数やチャンスシーンの数に差があるにも関わらずスコアは1対2である。10対11になった後も、9対11になった後も、3失点目を奪われることはなかった。1対3で試合が終了すると「2点差以上の勝利」が最低条件となるので挽回するのは厳しくなるが、「1点差以上の勝利」が最低条件となると希望が見えてくる。
後半47分には途中出場したMFパウリーニョを下げてベテランのFW高松を投入したが、「3失点目だけは絶対に避けたい。」という強い意志を感じる交代だった。DF若狭とDF鈴木義という高さのある選手が2人いなくなったが、途中出場したMFパウリーニョは168センチでMF姫野は164センチ。町田にセットプレーの機会が訪れるとマークを付くのが難しい状態だった。柳田監督はある程度は落ち着いていたと思う。
第2戦は町田にとっても大きな試合と言えるが、大分にとってはさらに大きなものがかかった試合になる。過去にJ2からJFL(or J3)に転落したチームのその後を考えると大変なことになるのは確実である。大分の場合はクラブ規模的には大きいので「クラブ消滅の危機」が訪れるとは思わないが、「降格したとしても1年でJ2に戻ってくることが出来るだろう。」と思えるのはよほどの楽観主義者のみだろう。
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