■ C大阪の戦い方には賛否両論5月13日(火)と5月14日(水)にACLのラウンド16の2試合目が行われる。日本勢で勝ち残っている3チームの1つであるC大阪が初日に登場して、中国の広州恒大と対戦。アウェーで1対0で勝利したが、長居スタジアムで行われた1戦目は1対5で大敗しているので、結局、トータルスコアは2対5。ベスト8進出はならなかった。これでC大阪のアジアの戦いは終了となった。
C大阪は1戦目は1対5で敗れているので、2戦目は5対0や6対2といったスコアで勝利する必要があった。突破の可能性は非常に低かったが、C大阪はメンバーを大きく入れ替えてきた。結局、FWフォルランはベンチ外で、FW柿谷やMF山口蛍やDF丸橋はベンチスタートで、オーストラリアから戻ってきたFW永井龍、大卒ルーキーのDF小谷を起用するなど、サブ組中心のスタメンとなった。
これに関しては、賛否両論あるだろう。「ベストメンバーで全力を尽くすべきだった。」という意見は少なくない。また、「もっと攻撃的に戦うべきだった。」という意見もあると思う。1点差や2点差で勝ってもここで敗退となるので、それならば、撲殺されることを覚悟した上で、、「5点あるいは6点を狙えるメンバーならびに布陣で戦うべきだったのでは?」という意見も一理ある。
ただ、アウェーで、アジア王者の広州恒大を相手に攻撃的な選手を並べたり、攻撃的なサッカーをしたら、どうなるか。5対0や6対2のスコアになるかというとなかなか難しい。むしろ、隙を作ってしまって、やられる可能性の方がはるかに高い。初戦でホームで大敗したことが全ての元凶であり、2戦目のメンバーや戦い方に関しては、「こうせざるえなかった。」というが本当のところである。
1対0で勝利したが、はっきり言うと、突破するための最低限のノルマだった「5ゴール以上」を奪う可能性のあるサッカーではなかった。3対0で勝っても、0対5で負けても、同じで、ラウンド16で敗退となるのは変わらない。なので、玉砕覚悟でわずかな可能性に賭ける手もあったとは思うが、そうは言っても、「C大阪の今シーズンの戦いはこれで終わり。」というわけではない。
無謀な戦いをして、「結果も出なくて、内容もダメで、選手が自信を失っただけ。」となるのが、一番、良くないことである。この日は、リーグ戦ではほとんど出番が無かったFW永井、MFミッチ・ニコルス、MF楠神、DF安藤、DF小谷らがスタメンで出場したが、ベストメンバーに近かった広州恒大に勝利した。ベスト8進出は逃したが、次につながる試合になったことは間違いないところである。
■ 2ヶ月半で合計20試合FW柿谷やMF山口蛍など日本代表や日本代表候補がたくさんいて、FWフォルランなども加わった今シーズンのC大阪には多くの期待が集まった。したがって、広州恒大が相手とは言っても、「ラウンド16で敗退」というのは、ちょっと物足りなく感じる。そして、「(同じ負けるにしても、)もう少し、広州恒大を苦しめてほしかった。」というところもある。残念な結果であることは間違いない。
なので、ラウンド16で敗退という結果は不十分と言えるが、スーパー過密日程であることを考えると、C大阪の選手あるいはスタッフを責めることはできない。C大阪だけでなく、同じようにラウンド16に進出した広島と川崎Fにも全く同じことが言えるが、ここ1カ月ほどのスケジュールは尋常ではない。C大阪や広島や川崎Fの試合を観ると一目瞭然であるが、主力のほとんどはクタクタである。
もちろん、例外も何人かいる。日本代表に召集された川崎FのFW大久保などは元気である。また、C大阪のMF山口蛍も疲れを感じさせないプレーを見せており、広島ではDF水本などは疲れた様子をほとんど見せていない。ただ、C大阪のFW柿谷やDF山下、広島のMF青山敏やDF塩谷などは、プレー中の表情もあまり冴えないし、いっぱいいっぱいでプレーしていることがよく分かる。
その他の選手も疲れの色は隠しきれない。今年はブラジルW杯が開催されるので、5月中旬から7月中旬までJ1やACLの試合は開催できない。そのため、例年以上に過密日程になっており、C大阪の場合、2ヶ月半ほどで、公式戦を20試合戦っている。「試合をこなすだけで精いっぱい」という感じになっているので、「もっと頑張れ。」、「もっと頑張れるだろう。」というのは酷である。
■ 重要度を増すコンディションサッカーの試合は、基本的には週に1試合である。土・日のいずれかに試合をして、翌週、中6日で次の試合を迎えるのが通常である。もちろん、水曜日などに試合が組まれることもあるが、土・水・土という感じで、中3日と中2日の3連戦になると、3試合目のパフォーマンスというのは急激に落ちてしまう。特に気温の高い時期になると、3連戦になっただけでもかなりキツイものがある。
日本の場合、GWに入ると、厳しい日程になる。集客のためには仕方が無い話で、祝日に試合が組まれるが、今シーズンは、多くのJ1クラブは4月26日(土)→4月29日(火)→5月3日(土)→5月6日(火)→5月10日(土)という5連戦が組まれた。J2のクラブも似たような日程だったが、やはり、4戦目や5戦目のパフォーマンスは厳しいものがあった。試合の質はあまり高くなかった。
日程であったり、コンディションの話をすると、「そんなのは言い訳だ。」、「理由にならない。」と語る硬派な人もいる。負けた側が日程やコンディショに言及することを「情けない。」と見る風潮もあるが、近年、コンディションの重要性はますます高まっている。少々の実力差であったならば、コンディションの差でカバーできるほどで、運動量の差で劣勢を跳ね除ける試合は珍しくない。
それほど運動量が必要とされなかった1980年代や1990年代あたりまでは、中3日であろうが、中4日であろうが、そこまで関係は無かったと思う。コンディションの重要性は非常に低かったと思うが、スピーディーなサッカーが主流となったここ最近は、試合の行方を左右することもしばしばである。「言い訳ではないか?」と言って、軽く扱う方がむしろ良くないことだと思う。
■ 11連戦の10試合目3連戦でもキツイし、5連戦でもキツイが、最近のC大阪は4月12日(土)→4月16日(水)→4月19日(土)→4月23日(水)→4月26日(土)→4月29日(火)→5月3日(土)→5月6日(火)→5月10日(土)→5月13日(火)→5月17日(土)と試合が続いていく。結局、11連戦になっており、ACLのラウンド16の広州恒大(A)は11連戦の10試合目だった。あり得ないスケジュールである。
これは、同じACL組で、ラウンド16に進出した広島と川崎Fもほとんど同じである。ACLの場合、海外遠征もあるが、こうなると、試合の合間に戦術的な練習をすることは難しくて、コンディション維持のトレーニングにならざるえないし、当然、疲れたままで試合に入っていくので、実力どおりの力を見せるのは難しい。特にキレで勝負するタイプの選手は実力を発揮するのは難しくなる。
もちろん、ポポヴィッチ監督が上手く選手をやりくりできなかったことは、反省材料である。10戦目の広州恒大戦(A)で初めてターンオーバーを採用したが、C大阪の場合、控えにもいい選手はたくさんいる。主力であっても、適度に休ませながら試合に使うべきだったと思うが、なかなかリーグ戦でも、ACLでも、結果が出ていなかったので、休ませるタイミングが見つからなかったところもある。
■ 殺人的なハードスケジュール11連戦というのは、なかなか無いと思うが、結局、C大阪の選手は4月6日(日)に行われたJ1の第6節の柏戦(A)から4月12日(土)に行われたJ1の第7節のG大阪戦(H)までの5日間が、しっかりと休むことができた最後になる。1か月以上、ほぼ休みなしで戦ってきたが、実は、もっと大変な人もいる。4月7日から9日にかけて行われた日本代表候補合宿に参加した選手たちである。
C大阪からはMF南野、MF長谷川、DF山下が選出されたが、日程を遡ると、4月6日(日)に柏戦(A)があって、4月2日(水)はブリーラム戦(A)があって、3月29日(土)は新潟戦(H)があった。その前が3月23日(日)の鹿島戦(A)なので、C大阪の選手に限らず、ACL組で、かつ、日本代表候補に呼ばれた選手は、3月24日(月)から3月28日(金)までの5日間がきちんと休めた最後となる。
もちろん、ACL出場というのは名誉なことである。選手たちは期待に応えようと頑張っていて、観ている側には、「日本のクラブには出来るだけ勝ち進んで欲しい。」と願う気持ちがあると思うが、ここまでになると、殺人的なハードスケジュールと言える。選手はロボットではない。今のところ、どうしようもないほどコンディションを崩している選手がいないことは幸運というしかない。
関連エントリー 2013/07/02
日本代表のコンディション作りに関するお話 2013/11/26
記憶に残る指導者 レヴィー・クルピ監督 2014/02/25
生・フォルランを観に行って来た。 2014/04/19
FW柿谷曜一朗とFWフォルランの微妙な関係 2014/04/25
韓国代表キーパーのGKキム・ジンヒョン(C大阪)について 2014/04/27
ACLで頑張ったチームと選手はもっと評価されるべきだと思う。 2014/05/01
【読エ】 セレッソ大阪 夢補強の憂鬱 2014/05/14
クラブ別エントリー (セレッソ大阪) 2014/05/14
全記事一覧(2005年-2014年)
- 関連記事
-