■ 日本勢は3チームがGLを突破!!!4月22日(火)と4月23日(水)にACLのGLの最終節が行われた。日本勢は4チームともGL突破の可能性を残した状態で最終戦を迎えたが、広島と川崎Fはホームで勝利して2位でGL突破を決めて、C大阪はアウェーで山東魯能に2対1で逆転勝利して同じく2位で突破を決めた。残念ながら、横浜FMはアウェーでアジア王者の広州恒大に1対2で敗れてグループ4位に終わったが、広島・川崎F・C大阪の3チームが決勝トーナメント進出を決めた。
ACLは東地区と西地区に分かれているが、結局、東地区は、広島(日本)・川崎F(日本)・C大阪(日本)・浦項(韓国)・FCソウル(韓国)・全北現代(韓国)・広州恒大(中国)・WSワンダラーズ(豪州)の計8チームが決勝トーナメント進出を決めたので、日本と韓国が3チームで、中国とオーストラリアが各1チームだった。2013年は中国と韓国が2チームで、日本とオーストラリアとウズベキスタンとタイが各1チームだったので、日本勢はよく頑張ったと言える。
数年前までは「韓国のチームは強敵である。中国のチームはホーム戦であれば何とかなる。そして、それ以外の国(タイやインドネシアや豪州など)から取りこぼすことは避けたい。」と認識していた人が多かったが、最近は、口が裂けてもそんなことは言えない。広州恒大を筆頭に中国のチームは豊富な資金をバックに力を付けており、タイやインドネシアのチームも一筋縄ではいかなくなっている。ホーム戦であっても、勝ち点「3」を計算できる相手は無くなったと言える。
ただ、残念ながら、そういったアジアの勢力図の変化を認識できていない人もいる。昨シーズン、ACLに出場した広島はGLの初戦でブニョドコル(ウズベキスタン)にホームで0対2で敗れて黒星スタートとなった。これに関して、「ブニョドコルはウズベキスタン代表の選手がたくさんいて、ACLの経験も豊富なので、ホーム戦であってもACLの経験の乏しい広島が勝利するのは難しいものがある。」とエントリーで記述したが、あまり事情に詳しくない人から批判されてしまった。
おそらく、その人はブニョドコルに関する知識は全く無かったと思う。また、その試合(広島vsブニョドコル)を観ていたかどうかもあやしい。そして、ウズベキスタン代表に関する知識もほとんど無かったと思うが、「日本代表はアジアでトップレベルなのに、JリーグのクラブがACLでウズベキスタンのチームに勝てないのは情けない。」、「そういうチーム(=広島)を擁護するのはいかがなものか?」とエントリー内容を批判する意見を頂戴した。
→ 2013/03/02
【ACL:広島×ブニョドコル】 効率的に強化を進めるウズベク → 2013/03/14
セルジオ越後氏の「天国と地獄」を読んで
■ ACLに関する誤った認識残念ながら、こういう意見を持っている人は、ライトなサッカーファン(あるいはサッカーファンではない人)にはたくさんいると思う。「ACLは勝って当たり前。」という認識で、「Jリーグのクラブが中国やタイやインドネシアのチームに負けるわけが無い。」、「そういったチームに負けるのは恥ずかしい。」と彼らは考えているが、様々な事情があって、日本勢はACLに出場するクラブでも効果的に補強を進めるのは難しくなっており、なおかつ、他の国は着々と強化を進めている。
今の段階では、欧州で活躍する選手が増えると日本のクラブがACLで好成績を残す確率は下がるし、その反対で、欧州で活躍する選手が減ると日本のクラブがACLで好成績を残す確率は高くなる。例えば、MF本田圭、MF香川、DF内田、DF長友、MF岡崎、DF吉田、GK川島などが欧州で出場機会が無くなって、欧州リーグから撤退して、Jリーグのクラブでプレーするようになったら、ACLで好成績を残すクラブが出てくる確率は高くなると思う。
彼らが揃って欧州から撤退したら、下の年代の選手が欧州移籍するときのハードルは高くなる。結果として、Jリーグに優秀な選手がとどまって、ACLでは好成績を残すようになると思うが、それが日本代表ならびに日本サッカー界全体のことを考えて、「いいことなのか?」というと、全くそうではない。「欧州組は活躍してほしいし、欧州でプレーする日本選手も増えてほしいが、ACLでも日本勢に好成績を残してほしい。いや、結果を出さなければ許さない。」というのは、欲張りさんである。
■ 選手やクラブはもっと評価されるべきしたがって、日本勢のACLの成績が奮わなかったとしても、必要以上に悲観的になったり、必要以上に批判的になる必要は全く無いと思うが、そうは言っても、全てのJリーグクラブにとって、ACLに出場することは大きなステータスであり、ACLで結果を出すことができればクラブのブランド力はアップするし、アジア全域や世界中に名前を売ることができる。選手はもちろんのこと、クラブにとってもステップアップする大きなチャンスである。決して軽視してはいけない大会だと思う。
ちなみに、今回は横浜FMだけがGLで敗退したが、横浜FMも最後まで諦めることは無かった。なので、外野にいて、試合をダイジェストでしか観ていない人やダイジェストも観ていない人が横浜FMを批判するのはどうかと思う。2勝3敗1分けという成績だったが、3試合を終えて0勝2敗1分けという状態から、4節はメルボルンに3対2で勝利して、5節は全北現代に2対1で勝利した。ホームで連勝して最終節まで可能性を残したので、「アジアのステージで意地を見せた。」と言える。
したがって、横浜FMをバッシングする雰囲気にも違和感を覚えるが、それ以上に、「ACLで結果を出したチームならびに結果を残した選手に対する評価が低すぎる。」という点に苦言を呈したい。考えてみると、ACL組はGLの最終節までの約2ヵ月間で合計で14試合もタフな試合をこなしている。ナビスコカップはメンバーを落とすチームが多いので、ACLが無ければ、2ヶ月で計8試合で済むので大きな違いがある。この中で結果を出したチームや選手はもっと称えられるべきである。
例えば、広島のDF塩谷である。最終節のCCマリナーズ戦(H)も決勝ゴールに絡んだが、明らかに疲れ切っていることが分かる状態でプレーしている。結果を出しているので「絶好調」と思われがちであるが、最近のパフォーマンスは決して良くない。日本代表候補の合宿に参加して、注目度が劇的にアップしたことも疲弊の一因だと思うが、途中でベンチに下がったり、負担が少なくなる3バックの中央で起用されたり、森保監督の的確な配慮もあって、チームの勝利に貢献し続けている。
第4節のFCソウルと広島の試合に象徴される主審の質の問題であったり、コアなサッカーファン以外はACLの試合をほとんど観ることが出ないという視聴環境の問題であったり、ACLの問題点は少なくないが、サッカーファンも、それ以外の人も、タフな環境で頑張ったチームや選手、結果を出したチームを選手に対しては、もっと高く評価しなければならないと思う。なので、「ACLで頑張ったチームと選手はもっと評価されるべきだと思う。」と声を大にして言いたい。
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