■ 複数回出場は20人だけ 5月12日(月)にブラジルW杯の日本代表メンバー23名が発表される。登録メンバーは、日本が初出場を果たした1998年のフランスW杯のときは今と比べると1人少ない22名だった。このときはエースのFW三浦知が落選するというサプライズがあったが、2002年の日韓W杯、2006年のドイツW杯、2010年の南アフリカW杯のときも、大小さまざまなサプライズがあった。
結局、フランスW杯のときが22名で、以降の3大会は23名まで選手を登録することができたので、日本代表が出場した過去の4大会を合計すると、22人+23人+23人+23人=91人がW杯メンバー入りを果たしている。J1とJ2とJ3を合わせると51クラブあって、1500人ほどの選手がプレーしていることを考えると、改めて言うまでもない話であるが、狭き門であることが分かる。
もちろん、複数回、出場している選手もいる。カウントすると20人で、表1のようなメンバーとなる。W杯に1回出場できるだけでも名誉なことであるが、 複数回となると、日本サッカー界のレジェンドクラスとなる。そして、3回以上となると、10年以上、日本サッカー界のトップクラスで活躍していないと不可能で、GK川口、GK楢崎、MF稲本、MF小野、MF中田英の5人だけとなる。
表1. W杯に複数回出場している日本人選手 (全部で20名)
| 回数 | 出場した大会 |
川口能活 | 4 | 98・02・06・10 |
楢崎正剛 | 4 | 98・02・06・10 |
稲本潤一 | 3 | 02・06・10 |
小野伸二 | 3 | 98・02・06 |
中田英寿 | 3 | 98・02・06 |
遠藤保仁 | 2 | 06・10 |
宮本恒靖 | 2 | 02・06 |
玉田圭司 | 2 | 06・10 |
駒野友一 | 2 | 06・10 |
三都主アレサンドロ | 2 | 02・06 |
秋田豊 | 2 | 98・02 |
小笠原満男 | 2 | 02・06 |
森島寛晃 | 2 | 98・02 |
中山雅史 | 2 | 98・02 |
中村俊輔 | 2 | 06・10 |
中田浩二 | 2 | 02・06 |
中澤佑二 | 2 | 06・10 |
服部年宏 | 2 | 98・02 |
福西崇史 | 2 | 02・06 |
柳沢敦 | 2 | 02・06 |
■ クラブ別で最多は鹿島の13名 W杯メンバーを生み出すことはクラブにとっても名誉なことであるが、国内組と海外組に分けてカウントすると、表2のようになる。海外組は1998年のときはゼロだったが、 2002年に4人になって、2006年は6人になって、2010年は4人になった。今回は半数程度が海外組になると思われるので、海外組の経験値というのは、ザックジャパンの大きな武器と言えるだろう。
表2. 国内組と海外組の数の比較
| 国内組の人数 | 海外組の人数 |
1998年 | 22 | 0 |
2002年 | 19 | 4 |
2006年 | 17 | 6 |
2010年 | 19 | 4 |
2014年 | ??? | ??? |
今度はクラブ別でカウントすると、表3のようになった。もっとも多かったのは鹿島で13名。2番目に多かったのは磐田で10名で、3番目に多かったのは8名で横浜FM(※ 横浜M時代を含む。横浜Fは除く。)。そして、4番目に多かったのは7名の清水と名古屋で、6番目に多かったのは6名の浦和。ということで、Jリーグを代表する名門クラブが順当に上位に来ている。
海外のクラブを除くと、17クラブとなるので、「W杯に日本代表選手を送り出した経験が無い。」というクラブも少なくない。もっとも意外に感じるのは、ヴェルディ川崎(東京ヴェルディ)がゼロというところで、1998年のフランスW杯のときは、FW三浦知とMF北澤が大会前の合宿メンバー25名には選ばれたが、最後の最後で落選した。名門クラブがゼロというのは、一番のトリビアと言える。
その他では、リーグ優勝の経験もある広島と柏が1人だけ(広島は2006年のDF駒野、柏は2002年のMF明神だけ)というのは、意外な感じがする。その他で「1人だけ」というのは、Jリーグのクラブの中では新潟と神戸の2チームで、新潟は2010年のFW矢野、神戸は2010年のFW大久保だった。こうみると、日本代表選手というのは、特定のクラブに偏っていることが分かる。
表3. クラブ別のW杯メンバーの数 (全部で91名)
クラブ名 | 総数 |
鹿島アントラーズ | 13 |
ジュビロ磐田 | 10 |
横浜F・マリノス | 8 |
清水エスパルス | 7 |
名古屋グランパス | 7 |
浦和レッズ | 6 |
ガンバ大阪 | 5 |
FC東京 | 4 |
セレッソ大阪 | 3 |
ベルマーレ平塚 | 3 |
川崎フロンターレ | 3 |
グルノーブル | 2 |
ジェフユナイテッド市原 | 2 |
横浜フリューゲルス | 2 |
CSKAモスクワ | 1 |
アーセナル | 1 |
アルビレックス新潟 | 1 |
ヴィッセル神戸 | 1 |
ウェスト・ブロムウィッチ | 1 |
ヴォルフスブルク | 1 |
カターニア | 1 |
サンフレッチェ広島 | 1 |
セルティック | 1 |
バーゼル | 1 |
パルマ | 1 |
ハンブルガーSV | 1 |
フェイエノールト | 1 |
ポーツマス | 1 |
ボルトン | 1 |
柏レイソル | 1 |
■ 貢献度ナンバー1は鹿島出場時間の多いクラブから順番に並べると、表4のようになる。1番多いのは鹿島で1945分。鹿島は人数でも一番多かったので、もっとも貢献しているクラブと言える。2番目に多かったのは横浜FMだった。人数では磐田の方が多かったが、出場時期では横浜FMに軍配が上がる。4番目はG大阪で、5番目は名古屋で6番目は清水ということで、こちらも名門クラブが上位に来ている。
表4. クラブ別のW杯における出場時間 (国内のクラブ限定)
クラブ名 | 人数 | 出場時間(分) |
鹿島アントラーズ | 13 | 1945 |
横浜F・マリノス | 8 | 1884 |
ジュビロ磐田 | 10 | 1302 |
ガンバ大阪 | 5 | 1038 |
名古屋グランパス | 7 | 934 |
浦和レッズ | 6 | 818 |
清水エスパルス | 7 | 783 |
川崎フロンターレ | 3 | 432 |
FC東京 | 4 | 425 |
ヴィッセル神戸 | 1 | 352 |
ベルマーレ平塚 | 3 | 332 |
横浜フリューゲルス | 2 | 270 |
柏レイソル | 1 | 270 |
ジェフユナイテッド市原 | 2 | 240 |
セレッソ大阪 | 3 | 172 |
サンフレッチェ広島 | 1 | 90 |
アルビレックス新潟 | 1 | 8 |
■ 日韓W杯では6名を送り出した鹿島最後に1大会で複数の選手が日本代表に選出されたチームを全て挙げると、表5のようになった。計23チームなので、「かなり多い。」と言えるが、鹿島と磐田の2チームに関しては、4大会連続で複数人をW杯に送り出している。90年代後半から00年代の前半まで「2強」と言われて日本サッカー界を引っ張ってきたが、継続していい選手が何人も出てきていることが分かる結果と言える。
1大会におけるクラブ別の最多は2002年の鹿島で6名となる。このときは、GK曽ヶ端、DF秋田、DF中田浩、MF小笠原、FW鈴木隆、FW柳沢の6人が選出された。2番目に多かったのは1998年のフランスW杯のときの横浜Mと2002年の日韓W杯のときの清水で、前者はGK川口、DF井原、DF小村、FW城で、後者はDF森岡、MF市川、MF三都主、MF戸田の4人が選出された。
■ 5大会連続のチームは出るのか?今後、日本代表における海外組の締める割合というのは、さらに高くなっていくと予想されるので、日韓W杯のときの鹿島の6人という記録を抜くチームは出て来ないだろうと考えられる。(横浜Mや清水の4人というのも、抜くのは非常に難しい記録である。)今回で言うと、FC東京やC大阪やG大阪あたりが3人選ばれる可能性を秘めているが、4人というのは相当に難しいだろう。
ちなみに、過去4大会全てでW杯メンバーを輩出しているのは、鹿島と磐田と横浜Mと名古屋の4チームである。今回の23人を予想した場合、この4チームで「当確」と言える選手はいないが、鹿島のMF柴崎岳、磐田のFW前田やDF駒野やDF伊野波、横浜FMのMF齋藤学やDF栗原には十分にチャンスがある。5大会連続のチームが出てくるのか?も注目ポイントの1つと言える。
表5. 1大会で複数の選手が日本代表に選出されたチーム
| クラブ名 | 人数 |
2002 | 鹿島アントラーズ | 6 |
1998 | 横浜マリノス | 4 |
2002 | 清水エスパルス | 4 |
1998 | ジュビロ磐田 | 3 |
1998 | ベルマーレ平塚 | 3 |
1998 | 鹿島アントラーズ | 3 |
2002 | ジュビロ磐田 | 3 |
2006 | ガンバ大阪 | 3 |
2006 | 浦和レッズ | 3 |
2010 | 川崎フロンターレ | 3 |
2010 | 名古屋グランパス | 3 |
1998 | 横浜フリューゲルス | 2 |
1998 | 浦和レッズ | 2 |
1998 | 清水エスパルス | 2 |
2002 | セレッソ大阪 | 2 |
2006 | FC東京 | 2 |
2006 | ジュビロ磐田 | 2 |
2006 | 鹿島アントラーズ | 2 |
2006 | 名古屋グランパス | 2 |
2010 | FC東京 | 2 |
2010 | ジュビロ磐田 | 2 |
2010 | 横浜Fマリノス | 2 |
2010 | 鹿島アントラーズ | 2 |
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