■ 4人目のCBは誰になるか?ザックジャパンになってDF吉田とDF今野がCBのレギュラーで起用されており、長らく、DF栗原が3番手の立場だったが、昨年7月の東アジアカップで活躍したDF森重の評価が上がっている。DF吉田が怪我をして6週間ほどプレー出来なくなったが、W杯の本大会の初戦まで2ヶ月半ほどある。「何とか間に合うだろう。」と言われているので、DF吉田とDF今野とDF森重の3人の最終登録メンバー入りは確実と言える。
難しいのは「4人目以降」である。CBを本職とする選手が23人枠の中に4人入ってくるのか、5人入ってくるのか、これは微妙なところである。3月5日(水)に国立競技場で行われたニュージーランド戦は「本職のCBは4人」だった。磐田のDF伊野波が選出されているが、長丁場の戦いになることが予想される(=期待される)W杯では、怪我や出場停止のことを考慮して「CBが5人」になることも十分に考えられる。
「日本代表の弱点はCB」と言われて久しいが、1993年1月1日以降に生まれた選手で構成されるリオ五輪代表チームは、むしろ、CBが最大の強みである。先日の合宿には、神戸のDF岩波、G大阪のDF西野、京都のDF高橋祐、鹿島のDF植田と実に185センチを超える長身のCBが4人も選出されている。「CBで苦労するのはザックジャパンが最後」となることを期待したいが、今回のW杯はCBが一番の悩みどころである。
■ ベテランの代表復帰の可能性経験豊富な横浜FMのDF中澤や名古屋のDF闘莉王の代表復帰を期待する声もある。DF中澤は2013年はJリーグのベストイレブンに輝いており、今なお、日本でトップレベルのCBであることを証明している。また、DF闘莉王は昨シーズンで連続ベストイレブン記録が「9年連続」で途絶えてしまったが、今シーズンはなかなかのパフォーマンスを見せている。明らかに状態が悪かった昨シーズンとは雲泥の差である。
年齢を考慮すると2人の代表復帰の可能性が低いのは間違いないが、W杯のメンバー23人というのは、「現時点でのベストメンバー23人」が選出されるわけではない。「ベテラン枠」あるいは「ムードメーカー枠」と言われることがあるが、経験豊富なリーダータイプのベテランが選出されることもある。その典型例は2002年のFW中山とDF秋田、2010年のGK川口で、この3人は正真正銘のサプライズ選出だった。
結局、試合に絡むことができるのは17人・18人程度である。5人ほどは出場機会を全く得ることができないままで大会を去ることになるが、そういう選手の振る舞いは大事になってくる。「2006年のドイツW杯ではそのあたりが上手くいかなくて、チームとしての一体感が無かった。」と言われているが、試合に出場できないのは選手にとってはキツイ話なので、かなりの人格者でないと務まらない役回りである。
いろいろなことを総合して考えるとDF中澤などは「ベテラン枠」として打ってつけの存在である。もちろん、戦力としてもチームに貢献できる選手で、試合終盤に高さが必要なときに投入することができるが、2006年と2010年と2度のW杯を主力として経験してことは何事に代え難い財産である。ザッケローニ監督が「ベテラン枠」を考えているのであれば、DF中澤が最有力ではないかと個人的には思う。
■ いくつかの不安要素もちろん、次の2018年のロシアW杯のことを考えて、次世代の中心選手を4人目や5人目で連れていくことも考えられるし、継続性を重視して、ずっと代表に召集してきたユーティリティー性の高いDF伊野波を4番手で召集するというのも考えられる。このあたりはザッケローニ監督の考え方次第であるが、若手から中堅のCBで評価を高めているのは、何と言っても広島のDF塩谷である。
2013年は右ストッパーのレギュラーとしてリーグ2連覇に大きく貢献したが、今シーズンは攻撃力、特に、得点力が目立っている。右ストッパーというポジションであるにも関わらず、2月・3月の計8試合で5ゴールを挙げている。もともと攻撃力に定評のあるCBだったが、今シーズンはさらに一皮むけて、勝負強さも光っている。日本人CBの中でもっとも旬な選手であることは、誰の目にも明らかである。
C大阪のDF山下と同様に代表入りを期待する声が日に日に高まっているが、当然、いくつかのマイナス要素(不安要素)はある。1つは高さの部分である。身体能力が高くて、跳躍力はあるが、CBとしては大きな選手ではない。今シーズンは182センチで登録されているが、水戸時代の2011年と2012年は180センチで登録されており、「180センチをちょっと超えている。」というのが、実際のところだと思う。
また、国際経験が豊富とは言えない。ユース代表や五輪代表とは無縁のサッカー人生だったので、国際経験というとACLくらいである。昨年、今年とタフなACLを経験できているのは大きいが、若年層の代表歴が無いので、フル代表に合流した場合、ほとんどの選手と初めて一緒にプレーすることになる。あまり時間が無い中で、ここから仲間と打ち解けて、信頼関係を築いていくのは結構大変である。
FC東京のDF森重は昨年7月の東アジアカップで代表デビューを果たして、瞬く間にフル代表に定着した。彼もフル代表歴は無かったが、「調子ノリ世代」の1人なので、ユース代表や北京五輪代表で一緒にプレーした選手がたくさんいたので大きな問題は無かった。DF塩谷の場合、そのあたりは不利である。そして、広島は「3-4-2-1」を採用しているので、4バックにあまり慣れていない点も心配材料である。
ただ、マイナス要素はそのくらいである。CBなので高さがあるに越したことは無いが、ここ最近は、スピードや裏抜けで勝負するフォワードが増えており、スピードや瞬発力も同じくらい大事である。また、W杯前はそれなりに準備期間があるので、新しい選手がチームに馴染む時間はある程度は用意されている。もっとも旬なCBであることは間違いないので、一度は試してほしい選手である。
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