■ 宮本恒靖と田中誠宮本恒靖は、日本代表のキャプテンで、不動のディフェンダー。各年代の代表チームで中心として活躍してきたエリート選手。ハイライトは、日韓ワールドカップでの活躍。高さや強さには欠けるが、統率力とラインコントロールのうまさ、そして、フィードの正確さには定評がある。
一方の田中誠。日本代表では、3バックのときは、右のストッパーでの先発が確実視されており、中澤、宮本に次ぐ、第三ディフェンダーの立場を確保している。
■ 田中誠の代表キャリア田中の代表初出場は、2004年のハンガリー戦。当時、29歳での初キャップからすると、一見、苦労人のように見えるが、実際には、バリバリのエリート選手。小学生時代、そして高校時代に全国制覇を経験。プロになってジュビロに入団して以来、ずっとレギュラーで最終ラインを統率している。
この選手が最も輝いたベストゲームは、やはり、アトランタ五輪のブラジル戦。マスコミで脚光を浴びたのは川口だったが、川口以上の活躍を見せたのは、獅子奮迅のカバーリングを見せた田中誠だった。
鈴木秀人、松田直樹と組んだ3バックは秀逸で、おそらく、若年層の日本代表チームの最終ラインとしては、史上、もっとも安定していて、もっとも組織化されたディフェンスラインだった。(第2戦のナイジェリア戦でも、カヌーやババンギダ、アモカチ相手に奮闘。終了間際の失点はオウンゴールとPK、それも田中誠が負傷退場した後だった。本当に悔やまれる負傷退場だった・・・。)
■ 遅すぎた代表デビュー日本代表でも、すぐに中心選手になると思われたが、井原正巳の存在と、フィリップ・トルシエのシステム至上主義のおかげで、デビューの時期は遅れることになる。それでも、所属のジュビロ磐田では不動の地位を築き、「代表には縁がないが、それでもすばらしい選手」という評価を世間からは受けるようになった。
宮本と比べると、フィードの正確さとラインコントロールのうまさではかなわないが、カバーリング能力では、はるかに凌駕している。
まったくタイプの違う二人の最終ラインの統率者だが、実力は甲乙つけがたい。これまでのところ、ジーコのチョイスは常に宮本だが、相手と状況によっては、田中誠に最終ラインを任せてみるのも面白いと思う。危険察知能力は、今の日本人選手の中では群を抜いている。もし、あなたが、90分間、田中誠に注目して試合を見ると、サッカーの新たな面白さに気づくはずだ。
- 関連記事
-