■ 第1試合は青森山田高と帝京長岡高年末年始の風物詩になっている冬の選手権は準決勝に突入した。埼玉スタジアムで行われた第1試合は青森山田高と帝京長岡高の対戦となった。12月に行われたプレミアリーグ・ファイナルを制して2019年度の高校日本一に輝いた青森山田高は2冠&2連覇を目指している。対する帝京長岡高は新潟県勢としては初のベスト4入りとなった。両チーム合わせて5人の選手がJリーグのクラブへの入団が内定している。
試合は挑戦者の帝京長岡高ペースで進んでいく。前半5分にサイド攻撃からMF田中克がヘディングシュートを放ったが枠を捉えることは出来なかった。序盤は押し込まれた青森山田高だったが前半16分に右SBのDF内田のクロスからFW田中翔のヘディングシュートが決まって先制に成功する。帝京長岡高は前半22分に町田入りが内定しているエースのFW晴山岬に決定機が訪れたが決めることは出来なかった。
1対0で迎えた後半3分に青森山田高が右サイドを崩すとファーサイドにポジションを取っていた1年生のMF松木玖が左足で合わせて大きな追加点を奪った。MF松木玖は今大会4ゴール目となった。2点を追う帝京長岡高は後半20分にまたしてもFW晴山岬に決定機が訪れたがキーパーが好セーブを見せた。チャンスを作り続けた帝京長岡高は後半31分にMF田中克がドリブルからシュートを決めて1点差に迫った。
アディショナルタイムを含めて残りの20分ほどの時間帯も帝京長岡高が押し込んだが同点ゴールを奪うことはできなかった。2対1で何とか逃げ切った青森山田高は2大会連続の決勝進出を決めた。第2試合の静岡学園高と矢板中央高の勝者と1月13日(月)に決勝戦で対戦することになる。新潟県勢としては初となる日本一を目指した帝京長岡高だったが再三のチャンスを生かせず。惜しくもベスト4で敗退となった。
■ 高校サッカー界をリードする青森山田高青森山田高は近年の高校サッカー界をリードする横綱である。対して帝京長岡高はどちらかというと新興勢力になる。「横綱 vs 活きのいい挑戦者」という構図になったが素晴らしい試合になった。シュート数は青森山田高が6本だったのに対して帝京長岡高は3倍近い17本のシュートを放っている。帝京長岡高は5・6回は決定機を作っているので「内容的には優っていた。」と言えるが青森山田高には底力がある。
青森山田高は各ポジションに高校トップクラスの選手を揃えているが2年生のCBのDF藤原優が目立つ。182センチなのでサイズに恵まれているがクレバーで、かつ、体を張ったプレーも出来る。青森山田高は今年も3年生主体のチームになっているが2年生のDF藤原優が守備の要になっている。U-17日本代表にも選出されているがボランチでもプレーできる。将来的には「大型ボランチとして大成するのでは?」と思われる。
浦和入りが内定しているMF武田英はチームのキャプテンで10番。今年の高校サッカー界の顔の1人になるがテクニックがあって運動量が多い。レフティ特有の攻撃的なセンスを持っている点も特徴になる。現状では身体的なパワーやタフさにはやや欠けるので「1年目から即戦力として活躍する可能性」はあまり高くないと思うが3年計画でチームを立て直すことになった浦和では「救世主のような扱い」を受けるだろう。
決勝戦では静岡学園高 or 矢板中央高と対戦するが青森山田高は簡単には負けない。準々決勝の昌平高との試合も3対0から2ゴールを許して3対2まで追い上げられており、攻め込まれる時間帯もあるが、最後の最後で踏ん張り切ることが出来る。選手や監督には「横綱のつもり」は全くないと思うがいろいろな戦い方が出来るので流れが悪くなったときも跳ね返すことが出来る。「2連覇の可能性は高い。」と言える。
■ 横綱を大いに苦しめた帝京長岡高横綱である青森山田高を大いに苦しめた帝京長岡高の戦いぶりは称賛に値するが「守って守ってカウンター」や「守って守ってセットプレーで活路を見出す。」という戦い方ではなくて「コンビネーションからチャンスを作る。」という自分たちの良さを十二分に発揮した末の健闘なのでその価値は高い。準々決勝で青森山田高を苦しめた昌平高もいいサッカーを見せたが同様に大きなインパクトを残す試合になった。
昨今の高校サッカーを語る上で外せないキーワードはロングスローである。全国大会を勝ち上がる大半のチームに「とんでもない距離のロングスローを投げる選手(主にSB)」がいる。青森山田高も、ほぼ毎年、優秀なロングスローワーを擁しており、今年のチームにも右SBのDF内田がいる。ロングスローを多用するやり方が今の高校サッカーでは一番効果的だと思うがそういうチームばかりになると面白くなくなる。
帝京長岡高は新潟や山口でもプレーした経験のあるMF小塚(大分)の母校になるが中盤から前目のポジションに「MF小塚のようなアイディアと技術とクレバーさを持った選手」がたくさんいる。幼少期から一緒にプレーしている選手も多いので呼吸も合っており、コンビネーションからたくさんチャンスを作った。ゴールシーンはMF田中克の個人技だったが周りの選手を使う素振りを見せたことがフェイントになった。
エースのFW晴山岬は不発に終わった。2度もビッグチャンスを迎えたので「どちらかでも決めていたら試合展開は大きく変わった。」と思えるが相手キーパーの攻守もあって決められず。責任を感じていると思うがJ2の町田入りが内定しているので「取り返すチャンス」は十分に残されている。サイバーエージェントが経営権を獲得した町田はクラブが大きく変わろうとしている最中になるが待望のスター候補である。
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