■ 同期対決1993年に開幕したJリーグ。10チームからのスタートであったが、2年目には12チームに拡大された。その2年目にJリーグに参入してきたのがジュビロ磐田とベルマーレ平塚である。日本代表でドーハの悲劇を経験したFW中山雅史、MF吉田光範という2人の代表選手を抱えていたジュビロ磐田に対して、平塚ベルマーレはGK小島伸幸、DF名塚善寛、DF名良橋晃、MF田坂和昭、MF岩本輝雄、FW野口幸司と未来の日本代表選手を多く抱えていた。
3年目に昇格してきたのがセレッソ大阪と柏レイソル、4年目に昇格してきたのが京都サンガとアビスパ福岡。そして、17年目に昇格してきたカターレ富山、ファジアーノ岡山、栃木SCまで。同期クラブはライバルであり、戦友である。
11年前に平塚がJ2に降格したとき、ジュビロサポーターからベルマーレサポーターに向けて「戻ってこいよ」、「2001年J1で」という横断幕が掲げられて、11年越しの対戦となったJ1の第6節では、反対にベルマーレサポーターからジュビロサポーターに向けて、「遅くなったけど帰って来たぞ!共に頑張ろうぜ磐田!」という横断幕が掲げられた。
#1 磐田駅前①
■ ヤマハスタジアムジュビロ磐田のホームタウンである静岡県の磐田市。ヤマハ発動機株式会社の本社がある人口17万人の街である。オリックス・ブルーウエーブの絶頂期だった1990年代中盤に中継ぎのエースとして大活躍した長身のサイドスローの鈴木平投手が磐田市出身である。
ホームのヤマハ・スタジアムの収容人数は16,620人。JRの磐田駅から約4kmの位置にある。JRの磐田駅前には、2002年のFIFAワールドカップの日本代表チームのベースキャンプ記念のモニュメントがある。トルシエ監督以下、選手23名の足形とサインが残っている。
#2 磐田駅前②
■ 両チームのスタメンホームのジュビロ磐田は6勝9敗6分け。19節は神戸、20節は清水に勝利。21節のG大阪戦は敗れたものの調子は上向き。ナビスコカップもベスト4進出を決めている。システムは<4-2-2-2>。GK川口。DF駒野、古賀、イ・ガンジン、パク・チュホ。MF那須、上田、西、山本康。FWジウシーニョ、前田。柏から移籍のDF古賀が初スタメン。
対する湘南は降格圏内の17位。13節に京都に勝利したものの、以後の8試合で6敗2分け。15位との差が広がりつつあって厳しい状況である。システムは<4-1-2-3>。GK野澤。DF阪田、村松、山口、小澤。MF田村、ハン・グギョン、MF坂本。FW中村、田原、阿部。 DF鈴木伸がベンチ入り。FWバウドはベンチスタート。
「どこから入ればいいのか分からないスタジアム№1」のヤマハスタジアム。ヤマハの駐車場の中を通ってバックスタンド側の入り口にたどり着く。球技専用スタジアムで傾斜がきついスタジアムである。
#3 バックスタンド裏
■ ジュビロが勝利試合の序盤は湘南が勢いよく攻め込むが、前半15分に右サイドを崩してDF西がクロス。これをゴール前に飛び込んできたMF上田が押し込んで1点を先制する。MF上田は今シーズン初ゴール。さらに前半42分にも同じように右サイドを崩してFWジウシーニョがクロス。FW前田が頭で決めて追加点を挙げる。これで磐田有利な展開になったが、2点目の直後に湘南がPKを獲得。MF坂本が決めて1点を返す。前半は2対1の磐田リードで終了する。
勝って勝ち点を稼ぐしかない17位の湘南は後半31分に途中出場のFWバウドが左サイドを突破。最後は折り返しをFW阿部が決めて同点に追いつく。FW阿部今シーズン6ゴール目。
しかし磐田は広範37分に三度右サイドを崩してMF山本がクロス。ニアのFW前田が頭で押し込んで3対2とすぐにリードを奪う。終了間際に磐田はPKを獲得。決まればダメ押しとなるゴールだったがMF菅沼が失敗。その直後に試合は終了。結局、磐田が3対2で勝利。順位を12位とした。一方の湘南は2点差を追いついたが勝ち点は奪えず。最下位に転落した。
■ 前田遼一が2ゴール磐田はFW前田の2ゴールで3対2の勝利。最後のPKを蹴っていればハットトリックの可能性もあったが、MF菅沼に譲ったため記録達成はならなかったが、期待通りの活躍でチームを勝利に導いた。ワールドカップ中断後は調子が上がって来ずにPKによる1ゴールのみと結果が出ていなかったがこれで区切りの10ゴール目。首位タイのFWケネディとFWチョ・ヨンチョルとは1ゴール差となって2年連続の得点王も見えてきた。
21節終了時点でのデータでは、磐田の決定機の回数は「68」でリーグ17位。逆に被決定機の回数は「76」で鹿島と並んでリーグ最少タイ。「攻撃的なチーム」というイメージとは真逆のデータになっている。FWイ・グノの不振や退団の影響で、チャンスの数が減ってきていると思われる中、FW前田にかかる期待は大きくなる。
■ ダブルボランチの活躍磐田はようやく中盤のメンバーが固まってきたが、その中心になっているMF那須とMF上田の二人。今シーズンの開幕からMF那須が安定したプレーを続けているのは周知の事実であるが、北京五輪世代のMF上田もスタメンに定着してきて、試合をコントロールしている。
守備能力の高いMF那須とゲームメイクのできるMF上田というコンビは非常にバランスもいい。ここ数年、磐田はずっとボランチに問題を抱えてきて、チームが安定しない要因となってきたが、軸がしっかりしてきたのは大きい。
この試合の先制ゴールMF上田のゴールであったが、ゴール前に入り込んで行って頭か肩に当てて押し込んだゴール。彼にとってはこういう形でのゴールは珍しく、成長を感じる部分でもある。運動量が豊富というタイプではないが、人に対しては強くて局面での守備は信用できる。今の日本の若手の中で、このタイプの選手は不足しているので、今後、ザックジャパンの候補に入ってくるのではないだろうか?
#4 試合前
■ 攻撃的MFの山本康裕そのMF上田よりもさらの下のロンドン世代に当たるMF山本もここ最近スタメンに定着してきた。
「福西二世」と言われてずっと期待されてきた選手であるが、繊細さやバランス感覚にかける部分があって期待通りには成長を遂げていなかったが、ボランチではなくて攻撃的MFで起用されるようになって、得意の攻撃力を披露できるようになってきた。将来的には「センターハーフ」としてチームの中でレギュラー・ポジションをつかまなければならないが、現状では攻撃的MFでの起用のほうが持ち味を発揮できるだろう。
ロンドン世代はドルトムントのMF香川、G大阪のMF宇佐美、東京VのMF河野らアタッカー陣にタレントが集まっているが、ボランチのポジションはそれほど多彩ではなく、MF山本も十分にレギュラー候補の一人である。間もなくロンドン五輪代表の活動も始まるが、Jリーグの中でアピールしたいところである。
#5 ホーム・ゴール裏
■ 厳しいベルマーレ一方の湘南は2点差を追いついたものの、最後は突き放されてしまった。こういう状況になってきてアウェーとはいえ勝ち点「1」では満足できない状況になってきたため、戦い方に柔軟性を持たせることが出来ない点もマイナスに働いて勝ち点を取りこぼしている。この試合の3失点ともに右サイドからのクロスボールでやられたものであり、高さのあるDFジャーン不在の影響も大きかった。
もともとシーズン前は降格候補の1つと言われて前評判は高くはなかったが、中断前は相手との戦力差を感じさせない戦いを見せていた。ただ、それでも勝ち点は伸ばせずに降格圏内だったため補強をせざる得なかったが、新しい選手が多くなったことで、昨シーズンに培ってきたものがなくなりつつあって、難しい状況である。補強は必要であったがチームは水物であり、期待通りには融合しなかった。
#6 アウェー・ゴール裏
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