■ FWファビアン・ゴンザレスの契約問題ジュビロ磐田は「3度目のJ2降格」の危機を迎えているが残留/降格よりもはるかにクラブにとって大きなニュースと言えるのがFWファビアン・ゴンザレスの契約問題になる。
① タイのクラブへの約5万ドル(約745万円)の賠償金
② FWファビアン・ゴンザレスは4か月の公式戦出場停止
③ 2回の登録期間(2023年春の第1及び夏の第2登録期間)での新規選手登録の禁止
④ 2023年度に新規に入団する育成年代の選手の公式戦の登録禁止
という処分が下されたが磐田側は不服申立てで10月19日(水)にスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴したと発表した。大きな注目が集まっている週末の静岡ダービーの前にとんでもないニュースが飛びきたが「裁定が下される時期は現時点では不明です。」とクラブが発表している。待つしかない状態と言えるが見通しは明るくない。過去の事例などを考慮する「磐田側の訴えが認められて無罪になる可能性」は高くない。
①と②の処分も痛いがより深刻なのは③と④になる。④については子供たちならびにその家族の人生を大きく狂わせることになる。
「U-18、U-15、ジュビロSS、サッカースクールにおいて、2023年度に当クラブに新規入団する新・高校1年生、新・中学1年生、新・小学5年生および新・小学6年生は、2023年1月から2023年12月までの間、日本サッカー協会(JFA)への登録が必要となる大会・活動への参加が認められない。」とクラブは説明しているが入団が決まっている子供たちならびにその家族には丁寧に対応しないといけない。入団内定の取り消しを希望する子供たちやその家族は少なからず出てくるだろう。ただ、関東や関西のクラブとは違って磐田市周辺にたくさんの有力なサッカークラブがあるわけではないので簡単には強豪クラブに移ることは出来ない。小学生や中学生まで影響が及んでくるというのは相当に厳しい処分である。
■ 草刈り場になりやすいクラブというと・・・。子供たちと比べるとトップチームの選手は選択肢がいくつかある分、いくらかはマシである。期限付き移籍があるので「登録上の問題で、長期間、公式戦でプレーできない状態になる。」というのはまずありえないが訴えが認められなかった場合、新たに他クラブから選手を獲得することは出来ないので既存の選手はなるべく引き止めて、レンタル中の選手は戻して、ユースの選手を多めにトップ昇格させるしかない。
J2に降格したチームはオフの移籍市場で草刈り場になりやすいが今オフの磐田は本件でさらに取り巻く環境が厳しくなった。「草刈り場になるのでは?」という声は少なくないが普通に考えると「上訴によって今オフが補強禁止の対象から外れるのか?否か?」に関わらず、今オフの移籍市場で磐田が草刈り場になることは考えにくい。今の磐田は「草刈り場になりやすいクラブ」の条件にあまり合致していない。
Jリーグで草刈り場になりやすいクラブというと
・昇格1年目のクラブ
・そのカテゴリーの中で資金力があるとは言えないクラブ。
・若手の有望株がたくさんいるクラブ。
・この1年間で評価が急激に高まった選手を多く抱えているクラブ。
・ユース出身者など生え抜きの選手が少ないクラブ。
・下部リーグに降格となったクラブ
の6つになる。磐田が満たすのは(おそらく)6つ目の項目のみ。CBのDF山本義、ボランチのMF上原力の2人は働き盛りの年齢の選手なのでJ1とJ2の多くのクラブが関心を寄せると思うが大争奪戦が勃発しそうな選手はゼロ。2人以外ではMF黒川、MF鹿沼、MF金子翔の3人は磐田では力を出せていないが能力の高い中堅世代である。このあたりの選手も人気を集める可能性はあるが30歳以上の選手は人気薄である。
■ 今オフは若返りを進めないといけなかったが・・・。J1でのプレー時間のトップ10を書き出すと以下のとおりになるが「他所のクラブに引き抜かれたら大変」と言える選手は本当に限られる。J1のクラブが熱心に勧誘しそうな選手は幸か不幸かほぼいないので窮地に陥ったフロントが普通に契約更新の交渉をした場合、彼らは残留する可能性が高い。また、在籍期間の長いMF山本康、DF大井、GK八田、MF山田大、DF小川大あたりが退団を希望することも考えにくい。
・DF 伊藤槙人 2,611分
・MF 鈴木雄斗 2,430分
・MF 松本昌也 2,191分
・GK 三浦龍輝 2,182分
・MF 遠藤保仁 2,109分
・MF 上原力也 1,807分
・MF 山本康裕 1,776分
・FW 杉本健勇 1,588分
・DF 山本義道 1,534分
・MF 大森晃太郎 1,483分
結局、個々の選手に対する評価やクラブの置かれた諸事情を踏まえると「今オフの移籍市場で磐田が草刈り場になることはまずありえない。」と断言できるが新加入選手がレンタルバックの選手とユースからの昇格選手のみとなると競争原理は働きにくくなる。ベテラン主体のメンバー構成なので残留/降格に関わらず、今オフは若返りを進めないといけなかったが今回の処分を受けてそれはほぼ不可能になった。
磐田にとって致命傷になり得る騒動と言えるが似たようなトラブルは近年のJリーグで何度か発生している。これまではJリーグのクラブが被害を受けるケースがほとんどだったが、当然、加害者にもなり得る。外国人選手の場合、複雑な契約を結んでいるケースであったり、悪徳な代理人が付いているケースも多々あるが、今回のような騒動を起こしてしまうと長期間に渡ってクラブに負の影響をもたらすことになる。
▼ 最新の動画 (2022年10月4日 up済)
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