■ グアテマラ戦キリンチャレンジカップ2010のグアテマラ戦。ドルトムントのMF香川真司の決勝ゴールで1対0の勝利を飾った土曜日のパラグアイ戦からは中2日とタイトなスケジュールでの試合となった。就労ビザの関係でザッケローニ新監督はこの日もスタンド感染となった。
日本代表は<4-2-3-1>。GK楢崎。DF駒野、岩政、槙野、長友。MF細貝、橋本、乾、本田、香川。FW森本。パラグアイ戦のスタメンからはGK川島、DF内田、DF栗原、DF中澤、MF中村憲、MF松井の6名が外れて、GK楢崎、DF駒野、DF岩政、DF槙野、MF橋本、MF乾がスタメン出場。DF長友、MF細貝、MF本田、MF香川、FW森本の5人は2試合連続スタメン。会場は大阪の長居スタジアムでMF香川、MF乾がそろってスタメン出場を果たした。
序盤から攻め込んだ日本は、前半12分に左サイドでMF乾→MF香川と組み立てて、左DF長友がサイドを突破。トップスピードのままでDF長友が左足でクロスを上げると、FW森本がうまくヘディングで合わせて先制する。さらに前半20分にもMF本田のスルーパスからMF香川が抜け出してシュート。GKがはじいたボールをFW森本がつめて追加点を挙げる。FW森本は2ゴール目。日本はいい形で2点リードを奪う。
しかし、前半22分にMF橋本が中盤でボールを失うと、グアテマラがカウンター。そのままの勢いでロドリゲスが右足でミドルシュートを決めて1点差に追い上げられる。失点後の日本はリズムを崩してしまって、勢いが落ちていく。結局、前半は2対1の日本リードで折り返す。
後半開始から日本はMF乾とDF長友を下げて、MF藤本とDF永田を投入。DF槙野を左サイドバックに回してリズムを取り戻そうとするが、3点目は遠い。徐々にグアテマラもボールを支配できるようになっていくが、代表ラストマッチとなったGK楢崎を中心に1点リードを守りきって2対1のままで終了。ハラ・ジャパンは2連勝で幕を下ろした。
■ リズムを崩した失点前半20分にFW森本の2点目のゴールで2対0というスコアになったときは、「4点・5点くらい取れるかも。」と思ったが、その2分後に軽率なミスから失点を食らって1点差に迫られると、途端にリズムを失って、そのままリズムを取り戻すことはできなかった。日本代表とグアテマラ代表の力の差はスコア以上にあったと思うが、少し不完全燃焼のままで90分を終えることになった。
気になったのはリーダー不在。キャプテンマークを巻いたのはGK楢崎であり、MF長谷部もDF中澤もDF闘莉王も不在。フィールドプレーヤーでチームを引っ張っていけるような選手はいなかった。代表での経験が少ない選手や、若い選手がほとんどであったので仕方がない部分はあるが少し残念だった。
失点シーンはバックパスをしたMF本田の責任が半分くらいで、相手をかわそうとしてボールを奪われたMF橋本の責任が半分くらい。軽く相手をかわそうとしたMF橋本のプレーもイージーだったが、MF本田のパスも弱くて、MF橋本の選択肢を狭める結果となった。2対0のままで進んでいたとしたら、もっと楽な展開になったはずで、2つ重なったミスが試合を難しくした。
■ 森本貴幸が2ゴールこの試合の一番の収穫といえるのがFW森本。2ゴールともに彼らしい形のゴールであり、2試合連続でスタメンに起用した原監督の期待に応えたといえる。パラグアイのCBとグアテマラのCBにレベル差はあるが、パラグアイ戦は不出来で、「1トップとしては厳しいか。」と思われたが、周囲にスペースがあってマークも甘かったグアテマラ戦の前半はFW森本が躍動した。
序盤からあまりにも簡単に1トップのFW森本に縦パスが入っていたことが災いして、その後の時間帯は、中盤の選手に「(一発で)狙いすぎ」の部分が出てきて、試合途中からはパスミスが増えてしまったが、「ボールを持ったらまずはトップへ」という意識は悪くはなく、フィールド上では共通理解が出来ていた。縦に急ぎすぎた部分もあるが、FW森本の動きもよくて、「ゲームメーカー不在であるが前線に個人技のある選手がいる。」というこの試合のスタメン11人の特性を生かしたサッカーになっていた。
FW森本の場合はセリエ所属のため、国内組と比べると代表に呼べる機会も限られてくる。今後に向けていいアピールになったことだろう。
■ 初スタメンの乾貴士この試合の日本は22歳のFW森本、22歳のMF乾、21歳のMF香川という同級生トリオがそろってスタメン。MF本田を含めて非常に若い攻撃陣となったが、その中でも注目されたのが代表初先発のMF乾貴士。地元の長居スタジアムでの試合ということもあってスタメンに抜擢されが、イージーなミスも多くて前半のみの出場にとどまった。
野洲高校出身でMF乾というと「テクニック」がクローズアップされがちであるが、全ての「ベース」になっているのは「豊富な運動量」。しかし、この試合はグアテマラ代表が先制ゴールを奪われた後も、あまり前には出てこず、MF乾が利用できるようなスペースは少なかった。2点をリードした後、少しラインを下げて引き気味に守ったほうがカウンターが威力を発揮して、MF乾の持ち味が発揮できるような状況になったかもしれないが、親善試合ということもあって大きな変更は無かった。
それでも、セレッソでプレーするときのMF乾は、スペースが無い場合でも、チームメイトと連携して自らで活用できるようなスペースを作り出すようなプレーも多くなってきているが、さすがにMF香川を除くと連携の取れていない代表の中では難しかった。もともと出来・不出来が激しい選手であるが、代表では3試合目の出場で初スタメン。意気込みすぎたのか、少し昔の「テクニック」だけに頼っていた頃のMF乾のようなプレーに終始した。
■ トップ下の本田この試合もトップ下に入ったMF本田。前半から積極的にシュートを狙っていったが、この試合はシュートへの意識が強すぎて、逆にチームにとってはマイナスとなった。パラグアイ戦では「シュート」と「パス」のバランスがよくて、チームメイトを生かすプレーも多かったが、この試合は判断が良くなかった。
一方、久々の長居スタジアムでの試合となったMF香川はお疲れ気味。2点目のFW森本のゴールにつながったシュートまでのシーンは「らしいプレー」であったが、パラグアイ戦ほどのキレはなく、ドリブル突破も控え気味だった。
■ ディフェンス陣でアピールしたのは?DF岩政とDF槙野という新しいセンターバックコンビも悪くは無かったが、強烈なインパクトは残せなかったといえる。特にDF岩政はミスが起こらないように慎重にプレーしているのは伝わってくるが、パスをつなげそうな場面でも簡単にタッチラインや前線に大きくクリアするシーンが多くて、少し気になった。
その点では新潟のDF永田は良かったといえる。もともとテクニックのある選手であり、つなぐ能力も高いが、初出場でも違和感無くプレーできており、可能性を感じさせる45分間だったといえる。
また、後半に左サイドバックに入ったDF槙野であるが、チーム全体のリズムが悪かったこともあって、面白いプレーは見せられなかった。広島では3バックのストッパーで、左サイドから上がっていってシュートを狙うシーンが良く見られるが、サイドバックとストッパーでは相手の警戒度も違ってくる。攻撃的な部分ではあまり良さは発揮できなかったといえる。
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