■ ポジション別のシュート数下の表は、リーグ戦における「各シーズンのポジション別(FW/MF/DF/GK)のシュート数の総数」である。
まず、目を引くのはGKのシュート数。この中で、記憶しているのは、1995年のGK川口能活のヘディングシュートと1996年の田北のPK。マリノスの初優勝がかかった清水戦の試合終了間際にコーナーキックからヘディングシュート。惜しくもゴールポストに当たって同点ゴールとはならなかった。浦和のGK田北のPKによるゴールが、Jリーグとしては史上初のGKのゴールである。
GKの数字はともかくとして、FWとMFの数字をよく見ると、意外と、似通っていることが分かる。2005年までの数字でいうと、FWのトータルシュート数が、MFのトータルシュート数を上回ったのは、2002年と2003年の2シーズンのみ。他のシーズンはMFのトータルシュート数が多い。
この数字は、「中盤至上主義」の日本にだけ見られる傾向なのか、それとも、他のリーグも同じような傾向なのか、興味があるところであるが、想像以上にMFのポジションの選手がシュートを打つ割合が高い。システムがオーソドックスな<4-4-2>と仮定すると、「MF登録の選手が4人」で「FW登録の選手が2人」なるので、そもそもの人数が違うとはいえ、やや意外な結果である。
表1 ポジション別のシュート本数
| FW | MF | DF | GK |
1993年 | 1757 | 2102 | 520 | 0 |
1994年 | 2609 | 3196 | 791 | 0 |
1995年 | 3372 | 3861 | 1144 | 2 |
1996年 | 2200 | 2806 | 777 | 1 |
1997年 | 2728 | 3479 | 932 | 1 |
1998年 | 3365 | 3434 | 1009 | 1 |
1999年 | 2432 | 2937 | 756 | 0 |
2000年 | 2374 | 2753 | 741 | 0 |
2001年 | 2491 | 2790 | 702 | 0 |
2002年 | 2581 | 2545 | 602 | 0 |
2003年 | 2544 | 2543 | 615 | 0 |
2004年 | 2564 | 2625 | 745 | 0 |
2005年 | 3116 | 3543 | 883 | 1 |
■ ミドルシュートの重要性得点力不足を指摘される場合、フォワードの選手がやり玉にあがることが多いが、シュート本数自体は、FWとMFはほぼ同じであり、中盤の選手にもある程度のシュート力・シュート精度が要求されるようになってきている。特に、中盤の選手は「ミドルシュート」を決める能力があるのか、否かで、プレーヤーとしての価値は変わってくる。
綺麗に連動して崩した末のゴールは美しいが、ミドルシュートがネットに突き刺さって得点が奪うことが出来たら、ゲームプランも相当に楽なものになる。もちろん、直接決まらなくても、鋭いミドルシュートが枠に行くことで、相手DFにプレッシャーをかけることも出来る。
今シーズンは、ちょっと、「ミドルシュート」に注目してみたいと思う。
<個人的に選んだ「ミドルシュート」に魅力のある日本人選手 (13名)>本田圭佑 (CSKAモスクワ)
→ 海外リーグに活躍の場を求めたレフティ。パンチ力のある左足のシュートで、オランダでも多くの得点チャンスを生み出してきた。何よりも、シュートへの意識が高いのが特徴である。
槙野智章 (広島)
→ ストッパーながら、2009年は8ゴール。思い切りのいい攻撃参加から中に切れ込んで放つミドルシュートが武器になっている。得点への意識の強さも魅力。
市川大祐 (清水エスパルス)
→ 恒例となっている「年に一度のスーパーゴール」は、ほとんどが右サイドを駆け上がってのミドルシュート。確率的にはそれほど高くはないが、美しいゴールが多い。
山瀬功治 (横浜Fマリノス)
→ ドリブルからの「ドカン」と放たれるミドルシュートが武器のアタッカー。ここ数年は精彩を欠いているが、得点の形を持った貴重なタレントであることに変わりはない。
黒木聖仁 (セレッソ大阪)
→ 強くて抑えたシュートが打てるのが魅力の若きロンドン世代のボランチ。ロングキックの上手さには定評があり、ミドルシュートの威力もある。
松下裕樹 (ザスパ草津)
→ J2で屈指のミドルシューター。右足のキック力とキック精度はトップクラスで、いくつかの印象的なゴールを生み出している。前橋育英高校出身のボランチ。
中村憲剛 (川崎フロンターレ)
→ 振りの小さいコンパクトなモーションからミドルシュートを繰り出す日本代表MF。直接、ネットを揺らす機会はそう多くはないが、鋭い弾道のシュートを放つことが出来る。
上里一将 (コンサドーレ札幌)
→ スペシャルな左足を持つコンサドーレ札幌の中心選手。その左足はパンチ力があって、なおかつ精度も高い。宮古島出身で、2009年のリーグ戦では65メートルの位置から超ロングシュートを決めている。
村上和弘 (大宮アルディージャ)
→ 川崎Fでは貴重な左サイドのアタッカーとして活躍。今シーズンは、大宮に移籍することになった。右利きながら左サイドでプレーするため、中に切れ込んでのミドルシュートが大きな武器になっている。パンチ力もある。
米本拓司 (FC東京)
→ 高卒ルーキーながら、ボランチのポジションを確保。ナビスコカップの決勝戦では、鮮やかなミドルシュートを突き刺して、タイトル獲得に貢献した。試合に出続けたことで攻撃的な部分でのレベルアップも著しく、思い切りのいいミドルシュートでネットを揺らすシーンも増えていった。
渡邉千真 (横浜Fマリノス)
→ フォワードとしては唯一の選出。体の強さを生かし、弾道の低い抑えた強いシュートが打てるのが魅力。相手をブロックしてシュートコースを作るのも上手い。
小宮山尊信 (川崎フロンターレ)
→ 本来は「右利き」だが、左足の精度も高く、左サイドで起用されることが多い。中に切れ込んでのミドルシュートが大きな武器で、2008年は7ゴール。左の斜め45度付近は「コミゾーン」と呼ばれる。
石川直宏 (FC東京)
→ パンチ力のあるシュートが左右両足から繰り出されるサイドアタッカー。2009年に覚醒し、鮮やかなミドルシュートで何度もサポーターの度肝を抜いた。シュート意識も高い。
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