■ こけら落としいよいよキンチョウスタジアムのこけら落としの試合。8勝4敗4分けの川崎フロンターレと7勝4敗5分けのセレッソ大阪の対決。ともに勝てば4位まで浮上することが出来る。
ホームのセレッソ大阪は<4-2-3-1>。GK松井。DF高橋、茂庭、上本、丸橋。MFアマラウ、マルチネス、乾、家長、清武。FW播戸。守護神のGKキム・ジンヒョンが全治2ヶ月の怪我で離脱中。FWアドリアーノも欠場。GK松井とFW播戸がスタメン出場。FW播戸は今シーズン3ゴールを挙げている。
対する川崎フロンターレは<4-2-2-2>。GK相澤。DF伊藤、井川、菊地、小宮山、MF稲本、中村憲、田坂、ヴィトール・ジュニオール。FW黒津、ジュニーニョ。GK相澤は2008年シーズンはC大阪に在籍していた。FWレナチーニョはベンチスタート。MF谷口は欠場。DF森が出場停止と出場自粛から復帰してベンチ入り。
■ スコアレスドロー試合の序盤はホームのC大阪ペース。中盤を支配してMFマルチネス、MFアマラウのダブルボランチが積極的にミドルシュートを放つ。しかし、前半15分を過ぎると川崎Fもリズムをつかみ始めてカウンターで鋭い攻撃を見せるようになる。川崎Fは前半31分に左サイドを突破したFWジュニーニョのクロスに対してフリーのFW黒津が合わせるがシュートは枠外。前半は0対0で終了する。
後半もC大阪がボールを支配して、川崎Fがカウンターで攻める展開。しっかりとブロックを作って守る川崎Fに対して、C大阪はなかなかうまくゴール前まで運べなくなる。C大阪は川崎Fのカウンターで何度かピンチを作られたが、GK松井が頑張って無失点で抑える。
結局、上位をうかがう両チームの対決はスコアレスドロー。キンチョウスタジアムの初ゴールは次回以降に持ち越しになった。川崎Fは4位、C大阪は6位で前半を折り返すことになった。
■ ジュニーニョの威力ボーフムに移籍した北朝鮮代表のFW鄭大世が抜けた川崎FはFWジュニーニョとFW黒津で2トップを組んだ。FW鄭大世の高さと強さが無くなったのでサッカー自体の幅はなくなったが、今シーズンは怪我のためほとんどいなかったFWジュニーニョがちょうどFW鄭大世が抜けた時に戻ってきて、攻撃力は大きくダウンすることはなかった。
C大阪のDF茂庭、DF上本のセンターバックコンビはJ1の中でもスピードのあるタイプのCBであるが、この日はFWジュニーニョを相手に非常に苦しんだといえる。キンチョウスタジアムの芝生が根付いていなかったとためうまく踏ん張れなかったという理由もあったが、C大阪のCBコンビがここまで翻弄される試合は今シーズンの中では珍しい。
■ セレッソ対策中断以後の5試合で14ゴールを挙げていて3勝1敗1けと好成績のC大阪に対して、川崎Fはうまく対応をして来た。
16節にC大阪と対戦したジュビロ磐田は自分たちの良さを発揮することで精いっぱいで無策のまま。結局、0対3という完敗を喫した。C大阪の最大の強みは前の4人の個の力を押し出したショートカウンターであるが、これは川崎Fも同じ。ある意味ではストロングポイントが似たチーム同士の対戦であったが、得意の形に持ち込んだのはアウェーの川崎Fの方だった。
川崎Fは少し引いて守ることでC大阪にスペースを与えず、ボールは支配されたが、決定的なチャンスの数ではC大阪を上回った。この日はクルピ監督よりも高畠監督の考えたとおりに試合は進んでいったといえる。
■ 家長対策C大阪の中心はMF家長であるが、この日は川崎FのMF稲本、MF中村憲剛のダブルボランチがしっかりと封じて、珍しくMF家長がボールを失うシーンが多かった。スタメンに定着してからコンスタントに好プレーを見せていたMF家長であるが、この日のパフォーマンスは今シーズンの中では最低レベルのプレーだった。芝の問題だったのか、コンディションの問題だったのか、いずれもしても中盤で軽率なミスが多かった。
C大阪には、MF乾、MF清武、MF家長の3人の攻撃的MFがいるが、やはりキーマンとなっているのはMF家長。得点数は少ないが、彼がボールをしっかりとキープして攻撃を組み立てることが攻撃の前提になっているので、彼の調子が出ないと攻撃がMF乾に大きく依存してしまう形になる。
個の力で打開出来るFWアドリアーノがいればよかったが、この日は怪我のため欠場。MF家長も次の試合ではうまく試合に入ってくるだろうが、不調だったことが逆に、彼の存在の大きさを感じさせることになった。C大阪にとっては非常に重要な選手である。
■ センターフォワードは必要か?川崎FはFW我那覇、FW鄭大世という2人の優秀なセンターフォワードを生み出してきたが、現在のチームでは真ん中でタフに戦えるセンターフォワードがおらず、ポテンシャル十分のFW矢島も期待にこたえられないままである。
もちろん、FWジュニーニョとFW黒津に加えてサブにはFWレナチーニョがいて、フォワード陣は他チームが羨むタレントをかかえているが、リーグ制覇や来シーズン以降のアジアでの戦いを考えると、バリエーションが少なくなってしまったのは不安材料である。仙台戦などではMF谷口をトップに起用する方法も取っているが、苦肉の策である。
鹿島アントラーズには典型的なセンターフォーワードはおらず、FWマルキーニョスとFW興梠の2トップで十分に機能しているが、2位の名古屋にはFWケネディ、3位の清水にはFWヨンセンという世界レベルのセンターフォワードがいる。今後、どういう手を打つのだろうか?
■ 乾 vs 楠神注目された野洲高校の先輩後輩であるC大阪のMF乾と川崎FのMF楠神の初対決は1年後輩のMF乾がスタメンフル出場。MF楠神も途中から出場していくつかいいプレーは見せたが、試合を通してC大阪側のチャンスのほとんどに絡んだMF乾に軍配が上がった。
先日のモンテディオ山形戦でJ1初ゴールを決めて、続く磐田戦でもダメ押しのゴール。ようやく待望のゴールも生まれて吹っ切れたのか、キレのあるドリブルでチャンスを作った。MF乾が不調のときはとにかく判断が遅くなって、中途半端なプレーでボールを失うことが増えるが、この日は軽率なミスもほとんどなく、素晴らしい出来だったと言える。
■ ダブルボランチと1トップC大阪は2試合連続でMFマルチネスとMFアマラウのダブルボランチ。積極的にシュートを狙う姿勢は良かったが、特にMFマルチネスがボールを持ち過ぎるケースが多くて、カウンターの餌食となった。
もともと、あまり判断の早い選手ではなく、ゆっくりとボールを保持して展開していくタイプの選手であるが、もう少し判断を早くしないと、J1の中では危険である。川崎Fのようなカウンターの鋭いチームを相手にする時や、名古屋のように高さのある相手のときはMFマルチネスかMFアマラウのどちらかを外してMF羽田を起用した方がチームが落ち着くのではないか。
また、FWアドリアーノが欠場のため、FW播戸が1トップに入ったが、あまり存在感を発揮出来ずに終わった。前半終了間際のヘディングシュートから交代するまでの時間帯はよくボールに絡んできたが、前半はほとんど流れに乗れずに終わり、そのFW播戸に代わって出場したFW小松は論外の出来だった。
FWアドリアーノが最近になって十分に1トップ役をこなすようになってきたことはチームにとってはありがたいが、FWアドリアーノは小さい怪我が多くてフル出場とはいかない。同じレベルの選手をそろえるのは難しいが、高さのないFW播戸、中盤の選手とうまく絡むことが出来ないFW小松が1トップに入ると展開が苦しくなる。3シャドーの形を崩すのは一種のがギャンブルではあるが、スタメンから2トップに近い布陣にしてFW播戸やFW小松が孤立しないように手助けするのも必要かもしれない。
■ キンチョウスタジアムこけら落としとなったキンチョウスタジアムはほぼ満員に埋まって14,031人が集まった。5万人を収容できる長居スタジアムと比べると収容人数は約3割から4割程度のキャパとなるが、なかなか5万人まで集まることはないので、うまく使い分けることが出来たら、チームにとってもサポーターにとってもいいことである。
印象としてはヤマハスタジアムに似た感じで、少し老朽化している感じもあるがピッチが近くて雰囲気のあるスタジアムに仕上がっている。ピッチに近すぎると、逆にフィールド全体を見ること出来なくなるので、一長一短であり、長居スタジアムがサッカー専用ではないとはいえ、設備の整った近代的なスタジアムで満足度の高いスタジアムだっただけ、いくつかのギャップを感じる部分はあるだろうが、モデルチャンジで専用スタジアム化するというのは、あまりないケースであり、今後、どれだけ不満点を解消させていけるかに注目したいところである。
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