■ 前半戦が終了J1はちょうど折り返しとなる17節が終了。鹿島アントラーズとの直接対決に勝利した清水エスパルスが首位に立っているが、2位の名古屋も勝ち点差「1」、3位の鹿島も勝ち点差「2」と大混戦となっている。3位と4位は少し差が空いているが、4位の川崎Fから8位の広島までが勝ち点差「3」以内に入っていて、中位争いも混沌としている。
下の表がシーズン前の予想順位(112名)と現在の順位を併記したものであるが、アルビレックス新潟とセレッソ大阪の躍進ぶりが目に付く。
集計結果①
<各クラブの平均予想順位>
ランク | クラブ名 | 平均予想順位(シーズン前) | 現在の順位 |
1 | 鹿島アントラーズ | 2.84 | 3 |
2 | 川崎フロンターレ | 2.95 | 4 |
3 | ガンバ大阪 | 3.35 | 7 |
4 | 名古屋グランパス | 4.59 | 2 |
5 | FC東京 | 5.46 | 12 |
6 | 浦和レッズ | 6.12 | 10 |
7 | 清水エスパルス | 6.33 | 1 |
8 | サンフレッチェ広島 | 7.45 | 8 |
9 | セレッソ大阪 | 10.22 | 6 |
10 | ジュビロ磐田 | 11.13 | 15 |
11 | 横浜Fマリノス | 11.17 | 9 |
12 | ヴィッセル神戸 | 11.38 | 13 |
13 | 大宮アルディージャ | 13.23 | 14 |
14 | ベガルタ仙台 | 14.12 | 16 |
15 | モンテディオ山形 | 14.31 | 11 |
16 | 京都サンガ | 14.32 | 18 |
17 | アルビレックス新潟 | 15.36 | 5 |
18 | 湘南ベルマーレ | 16.68 | 17 |
MF松下、DF千代反田、GK北野といった主力の流出に加えて、評価の高かった鈴木監督が退任。黒崎新監督に監督の経験はなく、降格候補の1つと言われていたが、ここまで5位と好位置につけている。下の予想順位の表を見ても予想順位で7位までに挙げた人がゼロであり、開幕前の期待値の低さが見て取れる。
躍進の要因は主力の穴埋めに成功したことであり、MF松下のポジションはMFチョ・ヨンチョル、DF千代反田のポジションはDF千葉、GK北野のポジションはGK東口がしっかりとレギュラーポジションにおさまった。むしろ、MFチョ・ヨンチョルの得点力と、DF千葉やGK東口のフィード力は前任者をはるかに上回っていて、穴埋めどころかスケールアップした感がある。
同じくC大阪も6位と好位置で前半を折り返した。4年ぶりのJ1の舞台であるが、総得点数が「27」でリーグ4位タイ、失点数は「17」でトップタイ、得失点差は「+10」でリーグ3位といずれもが素晴らしい成績である。
躍進を支えているのは守備陣。GKキム・ジンヒョン、DF茂庭、DF上本のトリオはずっと安定したプレーを続けていて、大崩れしそうにない。センターバックコンビは高さは標準レベルであるが、ともにスピードがあって簡単に裏を取られることはない。前線にタレントが揃っていることもあって、むやみに攻撃的な布陣を採用する必要もなく好循環が生まれている。
集計結果② <各クラブの順位予想結果>
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 13位 | 14位 | 15位 | 16位 | 17位 | 18位 |
鹿島アントラーズ | 24 | 30 | 25 | 16 | 9 | 3 | 3 | 1 | | | | | | | | | | |
川崎フロンターレ | 37 | 24 | 12 | 16 | 9 | 2 | 2 | 5 | 1 | 2 | | | | | | | | |
ガンバ大阪 | 19 | 26 | 20 | 19 | 11 | 9 | 2 | 3 | 2 | | | | | | | | | |
サンフレッチェ広島 | 3 | 2 | 5 | 2 | 12 | 11 | 18 | 22 | 18 | 6 | 4 | 5 | | 2 | 1 | | | |
FC東京 | 8 | 8 | 11 | 8 | 24 | 17 | 16 | 6 | 6 | 1 | 2 | 3 | 1 | | | | | |
浦和レッズ | 7 | 4 | 6 | 16 | 10 | 18 | 20 | 9 | 9 | 7 | 3 | 1 | | | | 1 | | |
清水エスパルス | 4 | 3 | 4 | 8 | 18 | 19 | 25 | 16 | 7 | 2 | 1 | | 1 | 2 | | | | |
アルビレックス新潟 | | | | | | | | 2 | 2 | 3 | 4 | 6 | 5 | 6 | 9 | 32 | 27 | 15 |
名古屋グランパス | 6 | 12 | 21 | 24 | 10 | 19 | 7 | 6 | 4 | | 1 | 1 | | | | | | |
横浜Fマリノス | 2 | | 2 | | 2 | 2 | 3 | 5 | 10 | 12 | 20 | 18 | 11 | 9 | 7 | 7 | 1 | |
ジュビロ磐田 | | | 2 | 1 | | 3 | 5 | 5 | 19 | 21 | 12 | 7 | 10 | 3 | 11 | 8 | 2 | 2 |
京都サンガ | | | | | | 1 | | | 2 | 4 | 9 | 10 | 18 | 9 | 17 | 15 | 16 | 10 |
大宮アルディージャ | | 1 | | | 2 | 1 | 1 | 4 | 5 | 2 | 7 | 16 | 17 | 17 | 14 | 4 | 11 | 8 |
ヴィッセル神戸 | | | | 1 | | 2 | 3 | 9 | 13 | 15 | 15 | 18 | 10 | 11 | 3 | 5 | 4 | 1 |
モンテディオ山形 | | | | | | | | | 2 | 8 | 9 | 4 | 11 | 24 | 19 | 10 | 13 | 12 |
ベガルタ仙台 | | | 1 | | | | | 1 | | 10 | 5 | 12 | 16 | 16 | 17 | 13 | 14 | 8 |
セレッソ大阪 | 1 | 1 | 2 | | 3 | 4 | 6 | 16 | 10 | 19 | 18 | 8 | 5 | 8 | 3 | 2 | 2 | 3 |
湘南ベルマーレ | | | | | | | | | 1 | | 1 | 1 | 6 | 4 | 10 | 14 | 21 | 53 |
■ 熾烈な上位争いここまでの17試合でリーグ最多の37ゴールを挙げている清水エスパルス。2位の名古屋、3位の鹿島との差は大きくはないが、もっとも充実したサッカーを見せているのは間違いない。特に新加入のMF小野の存在が大きくMF小野自身はまだゴールは生まれていないが、クリエイティブなプレーを続けていて、FW岡崎とFW藤本が8ゴール、FWヨンセンが7ゴールと3トップの得点力を引き出している。
また、アンカーのポジションを任されているMF本田拓の成長も大きく、前半戦のベストMFといっても過言ではないだろう。激しいディフェンスに加えて、フィード力もあって、攻守にわたって貢献度は高い。控えにもGK山本海、DF市川、DF児玉、MF山本真、MF伊東、永井といったタレントが控えていて、2チーム分が作れそうなくらいの分厚い選手層を誇り、死角は見当たらない。
2位の名古屋も戦力が充実している。現時点では清水ほどのチームとしての完成度はないが、まだ伸びしろがあるともいえる。FWケネディとDF闘莉王を筆頭に個の力はリーグ№1であり、個々のタレントが融合してくると相手にとっては止めようがなくなる。
3位の鹿島は中断期間にDF内田とDF李正秀を失ったが、ここまでは大きな戦力ダウンとはなっていない。ここ3年間に見せてきた「終盤戦の勝負強さ」が最大の武器であり、アントラーズをどこが引きずり落とすのか?が最大の見所といえる。
■ 期待はずれは?逆に期待を裏切っているチームはFC東京と浦和レッズ。ナビスコ王者のFC東京は若くて優秀なタレントが揃っているが、MF米本が長期離脱している穴を埋めきれずに迷走している。17試合で19失点のみであるが、奪った得点も18得点のみ。昨シーズン15ゴールを挙げたMF石川がノーゴールと期待にこたえられていない。
昨シーズンも夏場に失速した浦和は今年も中断以後の5試合で1勝4敗。18位の京都サンガに勝利したのみでホームでもなかなか勝利出来なくなっている。ただ、冷静に戦力を見てみると、DF闘莉王らが退団し、かつてのようなタレント集団でなくなっている。10位と結果もそれほど今のチーム力とかけ離れた順位ではないといえる。
■ 残留争い今シーズンは上位チームと下位チームの差がここ数年よりも大きくて、なかなか下位チームが上位チームに勝てないでいる。まだ半分を経過したのみであるが、神戸、大宮、磐田、仙台、湘南、京都の6チームはとりあえず上位を目指すよりも降格を逃れるための戦いをしなければならない。
苦しいのはやはり京都サンガ。わずかに勝ち点は「10」であり、ここ13試合で3分け10敗。すでに監督交代という切り札を切ったものの効果は出なかった。救いは各ポジションにタレントはそろっていることであり、1人の救世主がチームをガラッと変えてしまう可能性もゼロではない。
同じくベガルタ仙台も苦しい状況である。ここ12試合で4分け8敗。開幕5試合の貯金も無くなって16位に沈んでいる。メンバーは大きく変わっておらず、サッカーのクオリティ自体は昨シーズンのものと大きな違いはないが、勝てていないことで選手たちは自信を失ってきていて、負のスパイラルに突入している。状況を打破するためにダイナミックな変更が必要な時期であるが、あまり戦略的に柔軟なチームではないので、2トップの人選を変えるくらいしか策がないのが現状である。
降格候補の筆頭だった湘南ベルマーレは17位。15位の磐田との差は「5」のみであり、大黒柱のFWアジエルがいないことを考えると健闘しているといえる。あっさりと完敗を喫する試合も多くなってきているが、J2時代から見せてきた「ダメージ」を次の試合に引きずらないだけの精神的な強さもある。先日の清水戦のような試合になるとノーチャンスであるが、そういった試合は潔く捨てて、勝てそうな試合に全力を注ぎこんでしたたかに戦っていければ、残留のチャンスはある。ライバルチームは湘南との試合は必ず勝ち点「3」を狙って試合に臨んでくるが、それが彼らのチャンスとなる。
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