■ 第3クールの初戦最終の第3クールの初戦。3連勝で上昇ムードのコンサドーレ札幌が第2クールの成績が最も良かったサガン鳥栖をホームに迎える。鳥栖はここ最近の3試合で1敗2分け。上位相手で勝ち切れなかった。
ホームの札幌は<4-2-3-1>。GK荒谷。DF西嶋、趙晟桓、石川、上里。MFダニルソン、宮澤、藤田、西、砂川。FWキリノ。MF古田がU-18日本代表の合宿のため欠場。MF藤田が右サイドに入る。左サイドはMF砂川。
対する鳥栖は<4-2-2-2>。GK浅井。DF柳沢、飯尾、渡邉、日高。MF高橋、高地、山田卓、島田。FW廣瀬、ハーフナー・マイク。元日本代表MF山田卓が20節以来のスタメン出場でMF武岡がベンチスタート。
■ 3対3の死闘試合はともに勝利が必要な両チームの気迫がぶつかり合う好ゲームになった。
開始2分に札幌がMF宮澤のスルーパスからFWキリノがスピードを生かしてマーカーのDF飯尾を振り切ってゴール。FWキリノは13ゴール目。しかし、鳥栖は前半18分に左DF日高のアーリークロスをFWハーフナー・マイクがダイビングヘッドで決めて同点に追いつくと、さらに前半38分にFW廣瀬のドリブル突破がDF趙晟桓のファールを誘ってPKを獲得。MF島田が決めて逆転に成功。前半は2対1の鳥栖リードで終了。
後半開始から札幌はMF宮澤に代えてMFハファエルを投入。後半14分にそのMFハファエルがドリブルで中央を突破してミドルシュート。同点に追いつくと、後半27分に鳥栖のDF飯尾が2枚目のイエローカードで退場。札幌が数的優位となる。
すると、後半41分にMF藤田が右サイドを突破してクロスを上げると途中出場のFW中山がヘッドで決めて勝ち越しに成功。このまま札幌が逃げ切って4連勝達成かと思われたが、鳥栖がロスタイムにフリーキックのチャンスを獲得すると、MF高橋が右足で直接決めて3対3。結局、同点のまま勝ち点「1」を分け合った。
■ 素晴らしいフリーキックで追い付く鳥栖はロスタイムに追いついてドロー。
面白かったのは、同点のフリーキックのシーン。やや右寄りで左足のキッカーにとっては絶好の位置であり、当然、フリーキックのスペシャリストであるMF島田がいればMF島田が蹴っていたのは間違い角度であったが、不運にもMF島田はその直前に途中交代。ただ、逆に、誰が蹴ってくるのか、キッカーを絞る事が出来なかったことが札幌にとっては災いした。
選択肢としては左足のFWハーフナー・マイクのパワフルシュートの可能性が一番高いように思われたが、右足のMF高橋がうまく巻いたシュートを決めて同点に追いついた。スピード、コースともに最高で、GK荒谷にセービングの余地はなかった。
■ 10ゴールに到達したハーフナー・マイク鳥栖のFWハーフナー・マイクはこの試合のゴールで10ゴールに到達。18試合で10ゴールとハイペースで得点を重ねている。
アビスパ福岡時代も才能の片りんを見せていたが、『ストライカー養成所』といわれる鳥栖にやってきてからの成長度合いは半端ではない。初めてFWハーフナー・マイクのプレーを見たのは4年ほど前のU-18時代であるが、このときは194cmは飾り物であり、高さが生きるようなシーンはほとんどなかったが、今では、別人のようなプレーを見せる。マッチアップしたのはDF趙晟桓で、彼は韓国代表歴のある183cmのセンターバックであるが、194cmの高さを相手になす術はなかった。
もともと、鳥栖にはMF島田やMF高地、MF武岡といった中盤でつなぐことのできる選手が揃っていたが、前線にFWハーフナー・マイクという絶対的な武器が入って、チームスタイルは様変わりしている。ただ、今後、勝ち点を伸ばしていくためには、もっと単純にFWハーフナー・マイクの高さを利用した方がいいかもしれない。
■ 凸凹2トップ鳥栖は怪我でしばらく戦列を離れていたFW廣瀬がスタメンで出場。194cmのFWハーフナー・マイクと165cmのFW廣瀬という凸凹2トップが札幌のディフェンスラインにプレッシャーを与え続けた。
アビスパ福岡時代のFWハーフナー・マイクは190cmのFW大久保と2トップを構成していたのでそのギャップが面白いが、運動量があって一瞬のキレがあるFW廣瀬とのコンビネーションはよく、不可解なオフサイド判定でノーゴールになったが、FWハーフナー・マイクの落としたボールを走り込んだFW廣瀬がシュートを放ってネットを揺らすシーンもあって、相手から見ると、非常に厄介なコンビである。
中盤タイプのMF山瀬幸と2トップを組むことがあったが、カウンター時のスピード等を考えると、FWハーフナー・マイクとFW廣瀬のコンビがベストだろう。ここまでFW廣瀬は3ゴールのみ。怪我もあって、シーズン前にエースとして期待された割にはゴールは少ないが、今後、量産していく可能性は低くない。
■ またしても勝ち切れず・・・3連勝中だった札幌だが、ロスタイムの一撃でドロー。ここから昇格を目指すには1つの勝ち点も落とすことは出来ないため、痛いドローとなった。後半41分に勝ち越した後、MF芳賀を投入し逃げ切りを図ったが、うまくいかなかった。
ただ、ドローの原因は守備側の問題だけとはいえない。今シーズンの札幌は、何故か流れがいい時間帯に失点を食らうシーンが多く、この日もいい形でFWキリノのゴールが生まれて、終始、押し気味だったにもかかわらず、前半に2失点を喫して苦しい展開に持ち込まれた。
流れが悪い時間帯に失点を食らうのであれば、事前に対策が立てられないわけではないが、流れがいい時間帯に一瞬のすきを突かれてゴールを許すことが多いので、ゲームプランが立てにくく、確実に勝ち点を伸ばすことが出来ない。
■ 何故、勝てないのか?客観的にみてもタレント力ではJ2の中では屈指の存在である札幌であるが、ここまで13勝10敗12分けで9位。2位グループとの勝ち点差は「16」と、かなり厳しい状態である。昨シーズンまでのメンバーからFWダヴィが抜けたが、オフに、FWキリノ、MFダニルソン、DF趙晟桓と即戦力の3人を補強。3人共、ポジションを確保していて、総合力は低くない。
1つ言えるのは、上位と比べて、絶対的な武器が無いことである。C大阪にはMF香川とMF乾の2人がいて、湘南にはMFアジエル、甲府にはFWマラニョン、仙台にはMF梁勇基がいる。ここ最近は、彼らでも簡単に打開できないようになってきているが、それでも、困った時には、何とかしてくれることが多く、厳しい試合になっても勝ち点を伸ばしてきたが、札幌にはそのレベルの選手がいない。いい選手は多いが、スペシャルな選手はいない。
今シーズンは石崎監督を迎えて、「J1でも勝てるチーム」を目指してチーム作りを行っているが、「J1で勝てるチーム」と「J2で勝てるチーム」がイコールではないところが難しいところ。2007年シーズンの昇格の経験と2008年の降格の経験が逆にチーム作りを難しくしている感じはある。
■ 古田寛幸の存在コンサドーレ生え抜きでクラブの未来を担う逸材と評判のMF古田寛幸。8/2の長居スタジアムでのC大阪戦でプロデビューを飾った18歳の新鋭アタッカーは、この日はSBSカップに出場するため欠場。ただ、その穴をMF藤田が埋めて見せた。
まだ高校年代のMF古田にポジションを奪われていたMF藤田だが、千載一遇のチャンスでアシストという結果を残し、さらには右サイドから得意の仕掛けでチャンスメークした。
札幌には、MF藤田以外にも、MF上里、FW石井、MF岡本、MF西と若くて才能のある攻撃的な選手が多く揃っているが、今一つ、伸び悩んでいる。彼らの伸び悩みが昨シーズンと今シーズン、思うような結果が出ていない要因の1つであるが、ポテンシャルは高く、何か起爆剤があれば、一気にブレークする可能性を秘めていると思う。
MF古田寛幸の存在がその起爆剤になるのか・・・。
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