■ ライバル対決J1昇格を争う、サガン鳥栖と東京ヴェルディの対戦。
鳥栖は、<4-4-2>。Gk浅井。DFラインは、鐡戸・内間・飯尾・日高。中盤は、高橋・高地・尹晶煥・清水。2トップが、藤田と金信泳。
対する東京Vは、<3-5-2>。GK高木。3バックは、土屋・萩村・戸川。中盤は、菅原とゼ・ルイスのダブルボランチで、右に海本、左に服部、トップ下にディエゴ。2トップが、フッキと船越。
■ 運に見放された東京V試合は、開始早々1分に、DF鐡戸の直接FKのこぼれ球をFW藤田が押し込んで先制。さらに、前半9分にも、MF高地のスルーパスを受けた、DF日高が流し込んで2点目を挙げた。
2点のビハインドとなった東京Vは、前半30分に、左サイドを崩して、MF服部のクロスをFWフッキがヘディングで決めて1点を返す。しかしながら、この日の東京Vは、運に見放されていて、ポストやクロスバーに跳ね返されることが、計4度。鳥栖の粘り強い守備もあって、最後まで、ゴールは遠く、後半16分にFW金に追加点のゴールを許し、万事休す。結局、鳥栖が3対1で勝利し、大きな「勝ち点3」を手に入れた。
■ 魂の勝利鳥栖は、全員が、最後まで、しっかりとタスクをこなし、素晴らしい試合を見せた。暑さもあって、集中力が途切れがちな展開だったが、強敵に対して、一瞬も気を抜くことなく、戦い続けた。FWフッキやMFディエゴといった圧倒的な個を持つ選手に対しての守備は劣勢であったが、それでもあきらめることなくプレーを続けたことが、勝利につながった。
混戦が続く中で、ライバルチームに対して勝利をおさめたことで、次への希望がつながったことは大きい。これから向けても、価値をもつ試合となった。
■ 尹晶煥のパス勝負を決めた3点目の金のゴールにつながったMF尹晶煥のスルーパスは、スーパーだった。ハーフウェーライン付近でボールを持った尹晶煥は、次の瞬間、スペースに走りこむ、FW金に目掛けて、タイミング・コース・スピードのいずれもが、パーフェクトなパスを通して、金の移籍後初ゴールをお膳立てした。
韓国代表として経験豊富な尹晶煥だが、まだ、今シーズン5試合目のスタメンであり、出場機会は、十分ではない。確かに、全盛期のプレーと比べると、ツーランクほど落ちるし、ミスも目立つが、それでも、一発で局面を変えられる能力を持つことは大きい。
運動量も十分ではなく、守備面でも不安は残るので、使い方は難しいが、それでも、貴重なカードとなるだろう。スタメンか、スーパーサブか、岸野監督のベンチワークに期待したい。
■ 鐡戸の活躍MOMを選ぶとしたら、右サイドでアップダウンを繰り返し、チームに躍動感を与えた鐡戸だろう。エースの藤田を含めて、独りで打開できる選手が少ない鳥栖としては、みんなで連動して攻撃する以外に道は無いが、ここ数試合は、鐡戸のダイナミックな動きが、チームに力を与えている。
また、スーパーサブとして、新人のMF野崎が台頭してきたことも大きい。野崎は、アタッキングエリアでドリブルで仕掛けられる選手なので、相手が疲れた時間帯に投入すると、大きな効果を生み出す。この試合も、切れ味鋭いドリブルで、相手DFを翻弄した。
■ 初ゴールを挙げた金信泳C大阪から獲得した金信泳が、移籍後4試合目で初ゴール。J2で日本人最多のゴールを挙げている、FW藤田へのマークが今後、いっそう厳しくなることが予想されるので、マークを分散させる上でも、金の活躍は不可欠なので、初ゴールは、大きな一歩となった。
186cmと長身ながら、高さを生かしたプレーよりも、ストライドの大きなドリブルワークを武器とする選手であり、ようやく、チームメートも、金の特徴を理解してきたようで、試合を重ねるごとにフィットしてきている。
■ 脅威のフッキ敗れたものの、東京VのFWフッキのプレーは、圧巻だった。FKで2度もクロスバーをたたき、さらには、ドリブル突破から放ったシュートもポストをたたいた。運が無かったが、ハットトリックをマークしていても、まったく不思議ではなかった。
特に、ミリ単位の精度を持つ左足のキックは脅威である。フッキというと、驚異的なドリブル突破がクローズアップされがちだが、目立つのは、正確、極まりないキックの精度である。
2トップを組む船越との相性も抜群で、ようやく、フッキがプレーしやすいチームになりつつある。今後も、フッキを止められるチームは無いだろう。累積警告による出場停止だけが心配である。
■ J1昇格のために・・・コンサドーレ札幌が、頭1つ抜け出した感のある昇格争いだが、戦力値から見ると、依然として、京都サンガと東京ヴェルディの2チームが有利である。しかしながら、この2チームにとっては、「J1昇格」は最低限の目標であり、「J1に昇格してから戦っていけるだけのチームを作ること」が使命になっている。したがって、単純に、「J1昇格」だけを目的に戦っていけるチームよりも、心理的には、ディスアドバンテージをもつといえる。
したがって、東京Vは、難しい戦いが続くが、辛抱強く戦っていくしかないだろう。
【マッチレポート】▽2007/07/07 鳥栖×草津(鳥栖スタジアム) by わっきーりぐさん 7hit▽2007/07/11 鳥栖×愛媛FC(鳥栖スタジアム) by わっきーりぐさん 1hit▽2007/08/06 鳥栖×湘南(鳥栖スタジアム) by わっきーりぐさん 4hit
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