世界中が注目したバルセロナ×チェルシーの頂上決戦は、結局、トータルスコアは3対2で、バルセロナの勝利。バルセロナが準決勝に進出した。
UEFAのお偉いさんも、チェルシーサポーター以外のイングランド人も、ベンゲルも、ファーガソンも、原博美も、バルサの勝利を願っていただろうけど、ボクは、チェルシーの方が好きなので、非常に残念に思う。ということで、チェルシー側に立って振り返る。
世界でもっとも魅力的なサッカーをするチームと、世界でもっとも組織的でリアリスティックなサッカーをする(といわれている)両チームの対戦は、今年も見所が多かった。
バルサもチェルシーも、基本フォーメーションは4-3-3。(フランスワールドカップで、オランダ代表やフランス代表が採用したことがきっかけで、世界中に広がった4-2-3-1だけど、いつの間にか、古臭いシステムになってしまった。その代わりに、今のトレンドが、4-3-3システムである。)ただし、見かけ上は同じ4-3-3であっても、チェルシーが中央にCFを置いて両サイドにウイングを並べる典型的な3トップなのに対して、バルサの3トップはエトー、ロナウジーニョ、メッシという万能タイプの3人を並べた流動的な3トップである。
まったくの余談になるが、日本代表がアメリカと対戦した試合は、システム上は3-6-1であったが、これを、3-4-3だとジーコが(強引に)宣言して試合に臨んでいれば、(小野と小笠原の意識が前方に引っ張られて)二人が中途半端なポジションでうろうろすることなく、もっと攻撃的で、内容のあるサッカーが出来たと思う。かつて、横浜FCの進藤監督が4バックのときに、両サイドバックをMF登録にして攻撃的な意識をもつように仕向けたことがあったし、最近では、オシム監督も、2バック(実質4バック)を宣言している。スタートのポジションは、あってないようなもので、日本人はシステムにこだわりすぎているといわれるが、ボクは、かなり重要なものだと思う。
そして、中盤も、バルサが1ボランチに二人の攻撃的MFを置く攻勢なのに対して、チェルシーは、3人のセントラルMFを並べる、プレミア独特のスタイルが基本である。(ただし、この試合は点を与えなければ準々決勝進出進出の決まるバルサは、シャビがいないためやや守備的なダブルボランチで、逆に得点を取る必要のあるチェルシーはトップ下にグジョンセンを置く攻撃的なスタイルでしたが・・・。)
さて、試合の方は、後半33分のロナウジーニョのスーパーゴールでバルサが先制点を奪って、勝利を決定付けた。金の力に任せて選手を買いあさったアブラモビッチとモウリーニョのコンビ(悪)が、一人の天才(善)に打ち負かされるというサッカー界にとっては理想的な展開だったが、その論調には異論を唱えたい。
その理由として、
1、チェルシーの組織的なカウンターは芸術の域にある。強過ぎるから、面白くないサッカーと決め付けるのは、危険だ。
2、レアル・マドリードやACミラン、インテルの方が、選手をかき集めている。チェルシーは、これまで、分かりやすいワールドクラスのタレント(ジダン、フィーゴ、ロナウド等など)を獲得したことはほとんどない。
お金を持っているチームは、時としてネームバリューのある選手を獲得したがって、選手がチームに合うのか合わないのかも考慮もしない(ように見える)が、チェルシーが獲得する選手は、ワールドクラス一歩手前の選手が多く、納得させられる補強が多い。今シーズンの補強の目玉のエッシェンが出場できなかったのが痛かったが、来シーズンに向けて、どんな選手を補強して、どのようにチームに溶け込ませるのか、非常に興味深い。
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