■ 二次災害も発生中・・・。ACLのラウンド16の2ndレグの浦和 vs 済州(@埼玉スタジアム)の騒動は依然として世間一般でも大きな話題になっている。いろいろなところに飛び火をして「不適切」と思われる発言を行った人がプチ炎上する二次災害も発生しているが、「これだけ相手(=済州)の選手が怒りを露にするということは浦和側にも何かしらの落ち度があったのだろう。」といういかにもな日本人的な思考で騒動を語ろうとすると痛い目にあう。
やはり、日本と韓国では考え方や常識は大きく異なる。両国の違いを頭に入れておかないと顛末を見誤ることになるが、サッカーにおいて日本と韓国が衝突することは決して珍しくない。
・アジアカップやW杯予選やACLなどで対戦する機会が多い点。
・韓国人選手のJリーグ進出が目立っている点。
という2つの理由から日本と韓国はサッカーにおいて関わる機会が多い。「他のどの国よりもサッカーにおいての関わりが深い国」と言えるが、一方で多くの日本のサッカーファンは「(韓国サッカー界を含めた)韓国」というものに根強い不信感を持っている。それ故、ちょっとした揉め事が大きな騒動に発展する。
■ センシティブな時期に迎えた日韓W杯根っこにある大きな原因としては2002年の日韓W杯を挙げざる得ない。2002年の出来事なのでいつの間にか15年という歳月が流れている。すでに「歴史の1ページ」になっており、当然のことながら「日韓W杯のときはまだ生まれていない。」という人や「日韓W杯のことは全く記憶にない。」という人も増えてきた。そういう人たちに当時の状況や空気を正確に伝えるのもリアルタイムで経験した人の使命である。
2017年になった今、30代や40代の人にとって2002年の日韓W杯というのは青春の1ページになる。今、日本社会の中で影響力の強い世代が(まだまだ人生経験が浅くて)センシティブな時期に自国開催となる日韓W杯を経験している点はサッカー界における日韓関係を語る上で無視できないポイントである。センシティブな時期に経験したことや体験したことは良いことも悪いことも「何割か増し」で記憶に残る。
ほとんど全ての人にとって日韓W杯の記憶は「良い思い出」と「悪い思い出」の両方が入り混じった複雑な記憶になるだろう。日本代表の活躍、サッカー大国でありながら下馬評は非常に低かったブラジルやドイツの勝ち上がり、ベッカムフィーバー、トルコやセネガルやスウェーデンやアイルランドなどの躍進は「良い思い出」になるが、その裏で起こった韓国代表の快進撃と誤審騒動は完全に「悪い思い出」になる。
■ 「アジア史上最大の快挙」でなくて「疑惑の快進撃」間違いなくオランダ出身のヒディンク監督が作った韓国代表は好チームだった。経験豊富なDF洪明甫やMF柳想鐵などとMF朴智星やDF宋鐘國やFW薛琦鉉など優秀な若手がかみ合ったチームは強力だった。仮に決勝トーナメントの1回戦でイタリア代表に敗れてベスト16で敗退していたとしても多くの人の記憶に(ポジティブな意味で)残ったと思う。残念ながら、今、語られるのはネガティブな側面ばかりである。
GLの初戦でポーランドに勝利してW杯初勝利を手にした韓国代表はGLの3戦目はポルトガル、決勝トーナメントの1回戦はイタリア、準々決勝はスペイン、準決勝はドイツと対戦した。「W杯の舞台でポルトガルとイタリアとスペインという欧州の強豪国を3連続で撃破した。」というのはアジアサッカー史上最大の快挙と言えるがどの試合も韓国有利なジャッジが飛び出した。「疑惑の快進撃」と言われている。
もちろん、「韓国代表に有利な笛を吹くように主審や副審を買収した。」という証拠は残っていない。全ては憶測になるが微妙なシーンのほとんどが韓国側に有利に働くというのは確率的には考えにくい。「日本が決勝トーナメントの1回戦でトルコに敗れたのでW杯を盛り上げるためにはもう1つの開催国である韓国代表には勝ち進んでもらわないと困る。」という事情から何かしらの手が加えられた可能性はゼロではない。
■ 自国開催のW杯は一生に一度レベルのお祭り「サッカーファンにとって一生に一度レベルのお祭りである自国開催のW杯が疑惑の快進撃で汚されてしまった。」というのが日韓W杯をリアルタイムで経験している大半のサッカーファンに共有される思いになるが、特に10代や20代で日韓W杯を経験した人にとって耐え難い経験になった。30歳あたりを過ぎると様々な人生経験を積んで「汚い話」に対する免疫力も付いてくるが10代や20代の人はナイーブである。
サッカーへの思い入れが強かった人ほど韓国に対する拒否反応が強くなるが、これは致し方ない話である。日本サッカー協会は単独開催でのW杯招致を目指しているが、日本での単独開催が実現していつの日か「日本W杯」が成功をおさめたとしたら日韓W杯で負った傷が癒える可能性があるが、それでも傷が癒えない可能性もある。「フェスタを台無しにされてしまった。」という思いは簡単には消えないものである。
また、疑惑のジャッジによって不本意な形で韓国代表に敗れたのが日本でも人気だったポルトガル代表とイタリア代表とスペイン代表の3つだったこともサッカーファンの間で韓国代表に対する嫌悪感が増した大きな理由に挙げられる。ポルトガル代表にはMFルイ・コスタやMFフィーゴがいて、イタリア代表にはFWデル・ピエロやFWトッティがいて、スペイン代表にはFWラウールというスーパースターがいた。
日韓W杯の頃は欧州の強豪国でプレーした経験のある日本人選手はまだまだ少なかった。日本の看板選手であるMF中田英はセリエAでもスター扱いを受けていたが、他に欧州の強豪国でプレーした経験がある代表クラスの選手はFW三浦知、MF名波、FW城、MF小野伸、MF稲本、FW西澤くらい。CLを頂点とした欧州サッカーは大半の日本のサッカーファンにとっては憧れの舞台であり、ある意味では別世界の出来事だった。
当然、昨今もFWメッシやFWクリスティアーノ・ロナウドなどは日本国内でも相当な人気を集めているが(そういう事情から)当時の方が海外の有名選手に対する憧れの気持ちは強かった。特にMFルイ・コスタやFWデル・ピエロやFWトッティやFWラウールなどはカルト的な人気を集めており、彼らの特集やインタビュー記事はサッカー専門誌に頻繁に掲載された。彼らのW杯にかける強い思いを多くの人が知っていた。
2017/06/06 【日韓W杯】 日本のサッカーファンが韓国を忌み嫌ういくつかの理由 (前編)
2017/06/06 【日韓W杯】 日本のサッカーファンが韓国を忌み嫌ういくつかの理由 (後編) → 続きはこちら
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