はてなキーワード: ハンロンの剃刀とは
自分が信じたい迷信を事実だと思い込んでいるはてブ民が兵庫県民を誹謗中傷している件 - ふろむだ@分裂勘違い君劇場
どうやらid:fromdusktildawn 氏は、はてブの注目コメントシステムの悪いところばかり見ているようですね。
一方私は、はてブもなかなかやるじゃないか!と思わせてくれる出来事を最近見かけたので、紹介したいと思います。
[B! 健康] 科学的根拠に基づく健康に良い/悪い食べ物|ふろむだ@分裂勘違い君劇場
id:fromdusktildawn という方が書いた2万文字を超える超力作noteに付いた、はてなブックマークで起きた出来事です。
時系列はこんな感じでした。
↓
この調子でホットエントリ上位まで上がってくるか?と思いきや、「note筆者が主張する、信頼できる健康情報の見分け方が滅茶苦茶である」という趣旨の批判ブコメが書き込まれる。
↓
この批判ブコメにスターが集まっていくなか、今度は国立健康・栄養研究所による健康的な食事法解説ページをブコメで貼る人が現われる。
↓
すると、これをきっかけに国立健康・栄養研究所へ代わりにバズが発生。なんと822ブックマーク。9月の月間ブクマランキング入り。
まとめると、はてブの注目コメントシステムによって、怪しいインフルエンサーの自己流健康術がさくっと淘汰され、代わりに派手さにかけても堅実で信頼できる情報が広まったのです。
なお、id:fromdusktildawn 氏は黙って記事を削除しました。
批判ブコメを深夜に書いて寝て起きたら、朝にはもう記事が消えていたのでほんとびっくりしましたよ。判断が早い。
記事はなぜ削除されたのでしょうか?
id:fromdusktildawn 氏は後日、「なぜ記事が消えたのか?圧力があったのか?」と問うファンに対し、
と答えています。いくらなんでも発表して1日経たずに消すというのは尋常ではないと思うんですが、本当に「それだけ」なんでしょうか。
冒頭に上げたのは、そーんな人、注目コメントに一本取られたはずの人が書いた、はてな注目コメントシステム批判。
なんと、id:fromdusktildawn 氏が書くようなデマ修正の長文ブログは読まれず、はてブにはあちゃーな注目コメントが並び続けるんですって。自分の信じたいものを信じているだけかも!
id:tyouaniki そもヒョーゴ人(や大阪人)は維新を支持する人種だという前提が抜けてる。この辺の人種にとってパワハラ云々なんて大したマイナスじゃない。
id:fromdusktildawn 氏が槍玉に上げるのはこのブコメ。省略の多い日常の言語で書かれているので、分析しやすいように整理すると、要は以下の2つの三段論法が含意されているものと解釈できますね。
で、id:fromdusktildawn 氏の反論。
なんの反論にもなってないですね、これ。たぶん id:fromdusktildawn 氏は論理学でいう裏と対偶とを取り違えているんだと思うんですよね。
「維新を支持する県民」⇒「パワハラを大したマイナスだと思わない」の裏を取って、
「〇〇県民は維新を支持していない」⇒「〇〇県民はパワハラをマイナスだと思う」にすれば、確かに「維新が弱い他の県にもパワハラOK民はたくさんいるのでは?」がクリティカルな否定根拠になります。
しかし裏を否定したところで、元の命題の真偽は一切関係しません。 id:fromdusktildawn 氏は無駄な議論をしています。
2つ目の id:fromdusktildawn 氏の反論。
投票した人の多くは、「パワハラは大したマイナスじゃない」と思ってるから投票したのではなく、動画を見て「問題になるほどのパワハラはしてなかったんだ」「マスコミの方が間違っていたんだ」と思い込んじゃったから投票した、という可能性もありますよね。
そんな話、id:tyouaniki 氏はしていないですよね。
ここでid:fromdusktildawn 氏が想定している論理はおそらく、
だと思うんですが、id:tyouaniki 氏は、「兵庫県民は維新支持だからパワハラOK民だ」と述べたのであって、「斎藤支持だからパワハラOK民だ」と述べたのではありません。
なので、「パワハラ不祥事の候補に投票する県民は、パワハラを大したマイナスだと思わない」を否定したところで、意味がありません。 id:fromdusktildawn 氏はまた無駄な議論をしています。
id:tyouaniki 氏を批判したいなら「維新を支持する県民はパワハラを大したマイナスだと思わない」というものすごく強い前提を否定すればいいだけじゃないかなと思うのですが、有名ブロガーのid:fromdusktildawn 氏が論理迷子になってしまう理由が全然わからないですね。
次。
事実かどうかはっきりしないことを事実だと思い込んでしまうなんて、はてブ民もよくやってますよね。
信じられない?
「信じられない?」って(笑)。当たり前の事実でしかないですね。はてブ民批判なんて増田の人気コンテンツじゃないですか。
この先7500文字もかけてオリジナルの具体例が続くんですが、これ書くくらいなら、過去の誰かが書いた増田(私が書いたやつでも良いよ!)を引用すればいいだけじゃないすか?
パワハラを大したことだと思わないような邪悪な人種だからそう投票したのではなく、多くのはてブ民と同じように、単に事実かどうかわからないものを事実だと思いこんじゃったからそう投票しただけの可能性もあるわけです。
先程述べたように、id:tyouaniki 氏はまったくそういう主張はしていないので、この結論は全然意味をなしませんね。
しかたないので読み替えましょう。はてブ民の id:ssig33 氏さんがちょうどこんなツイートをしてました。
前回とくらべて斎藤知事の得票は、得票率という点ではさほど変動がないので、「もとからの支持者がパワハラぐらい別にええやんと判断した」という出来事であって、兵庫県民が極めて邪悪な人達であるということが分かったという出来事だと思うんですけどね。立花はそこにタダ乗りしてむしろ県外向けの情報戦で勝った感じでは。
斎藤知事に投票した兵庫県民のほとんどはパワハラを積極的に肯定し公務員を虐待すべきと考えている極めて邪悪な人々なのであって、パワハラはデマなどという怪しいネットの情報を信じる情報弱者は極一部だと思いますよ。極一部といっても数万人はいるのでパニックが演出された。
「ロシア人はプーチンの嘘に騙されてる」「兵庫県民は立花孝志に騙された」そんなわけないじゃん。騙されるバカもいるかもしれないけど極一部でしょ。彼らは情報をちゃんと把握した上で極めて邪悪だから邪悪な政治家を支持してるんでしょ。
https://x.com/ssig33/status/1858675694571844093 https://x.com/ssig33/status/1858676135334494240 https://x.com/ssig33/status/1858676521424351700
id:fromdusktildawn 氏は id:ssig33 氏のこのツイートを批判したのだということにしましょう。
で、id:fromdusktildawn 氏の結び。
真相はどうかわからない段階で、人の行動の理由を「その人が邪悪な人間だから」と決めつける行為の方が、よっぽど邪悪ではないでしょうか。
ようはハンロンの剃刀ですね!「無能で十分説明されることに悪意を見出すな」。
ただいくつか気になるところがあって、
まず、なぜはてな民(id:ssig33)にはハンロンの剃刀を適用しないのでしょうか。こちらも単に無能であるだけ、でいいんじゃないでしょうか。
次に、「〜〜の方が、よっぽど邪悪」というからには、比較対象が存在しますが何でしょうか。「パワハラ知事だとわかってそいつに投票すること」でしょうか、「デマに騙されてパワハラ知事に投票すること」でしょうか。
まあ前者だとさすがに邪悪度が高すぎるので、ブクマカの方が邪悪というのは考えられそうにない。
よって「デマに騙されてパワハラ知事に投票すること」をid:fromdusktildawn 氏が比較対象にしたと考えますが、その場合にしても、はてな民/兵庫県民に共に短慮の責任を問う問題である点は同じですよね。
となるとまた、大きな疑問が湧き上がるのですが、常識的に考えて、はてブの軽率な1コメントする責任と、知事選挙で軽率に1票を投じる責任とであったら、後者の方がよっぽど重いものではないでしょうか。
我々は民主主義国家の1主権者として真剣に知事を選ぶ責任があります。この重い責任に比べたらブコメなんていくらでもテキトーに書いて良いはずです。
両方に短慮を前提とするならば、邪悪という言葉が適切かは置いといて、罪の重さははてブ民よりは兵庫県民の方がよっぽど大きいと言えるでしょう。
「どっちもどっちで、はてブのほうが邪悪!」論は成り立ちません。
飛ばした7500文字、「はてブ民が事実かどうかはっきりしないことを事実だと思い込んでしまう」の具体例の方へ戻りましょう。
本論と比べて「例えば〜」の箇所が滅茶苦茶に長い文章ってどうみても崩壊してるんで、id:fromdusktildawn って人が主催してるらしい文章力クラブとやらに見てもらえば良いんじゃないかと思うんですが、それはともかく。
前半はさほど問題ないと思います。もし増税に賃上げ効果があるんだったら偉い先生が論文書いてるはずだろという反論は説得力高いです。 昭和的企業は地方零細企業としてまだまだたくさんあるんじゃないの?という点は気になりますが。
ただ、後半のid:sds-page氏への非難は意味不明でしょう。id:fromdusktildawn 氏が省略した部分も含め、id:sds-page氏のブコメを完全引用します。
経費計上できる設備投資と経費計上できない金融投資を意図的に誤解させようとしてる奴いない? 「内部留保は現金じゃありませ~ん」みたいな欺瞞がいつまで通用するか https://www.jiji.com/jc/article?k=2024090200824&g=eco
ブコメ元の記事が「法人税減税は投資・賃上げに繋がらなかった」という研究者の意見を紹介する記事であることを踏まえて、このブコメがどういう文脈で書かれたのかというところを推測すると、
おそらく、
というところではないかなと思われます。以上の記述は、大企業における内部留保の構造とその活用という論文を参照しながら書きました。
私個人の意見としては、内部留保を賃金に回せ理論は共産党色強すぎて、党派性的にネットでは嫌われてるだけじゃないかなと思うけれど、
id:sds-page氏が言うように、企業が内部留保を金融投資に向ける方が得する側の人間がポジショントークで誤解を広めているというのも、可能性レベルの話ならばありうる話でしょう。
この良識ある意見を、勝手に「経団連がはてなブックマークに工作員を送り込んで、世論操作して法人税を上げさせないようにしている」などという極論に書き換えたのはid:fromdusktildawn氏にほかありません。これはわざと曲解してませんか?
意味不明の曲解から「反ワクやディープステートを信じてる人と変わらない」つまり「id:sds-page氏は陰謀論者だ」という結論を出していますが、事実に基づかない以上はただの誹謗中傷ではないでしょうか。
これも同様。そんなことid:sds-page氏は言ってますか? どう見ても言ってないですよね。事実に基づかない以上はただの誹謗中傷ではないでしょうか。
超長いけどその分中身あんのかなと思いきや、結局、本論の趣旨である「決めつけの誹謗中傷はやめるべき」という規範を自ら破り、記事の説得力を崩壊させる見事な具体例部だったと思います。
やっぱり7,500文字も書かず、私の書いたブクマカ批判増田を引用で代用した方が良かったんじゃないすか(笑)。
「あちゃーな注目コメントが並び続ける」問題については、ブクマ数2桁代の内に的確な批判ブコメを書ければ、経験上まず間違いなく注目ブコメを入れ替えることができます。
既にホットエントリ上位に上がってからからだと、なかなか間に合わないという問題はあるのですが、その時こそブログ書いてセカンドチャンスを狙うのです。
id:fromdusktildawn は長文ブログは読まれないんだーと書いてますが、これは全くの嘘で、はてブははてブ批判が大好きです。事実として、今回のふろむだ@分裂勘違い君劇場の記事だってトップエントリなったじゃないですか自己矛盾してますよ。
ハンロンの剃刀を使ったほうがいいと思う…
その上で何点か諦観を込めて補足したい。
ここでは増田の言う局長の不倫に対して立花に反論できていないという指摘は、若干ズレている気がするが結論は間違っていないと思う。
具体的には、そもそもこの百条委員会において最初にパソコンの中身を示させようとしていたとされるのは斎藤知事側だったはずで、結果として不倫が原因で自死を選んだとすれば、その流れはどちらかと言えば不倫を百条委員会で示させようとしたことそれ自体で、その流れはパワハラが原因であるというよりは、パワハラの内容を告発しようとした結果その不倫の内容を明らかにさせられそうになったことが理由である、という流れになるような気がする。
とはいえ、じゃあ不倫に対して各インフルエンサーが何も言えなかったのはなぜかと言えばそんなの簡単で、ある意味の現代的価値観から言えば不倫と今回の問題は『関連がない』と非常に訓練された目で見てしまうからだろうね。増田が言う通り、他の有権者から見れば十分に着目するべき視点だったにもかかわらず、それについて調べるということが『関連がなく』『問題の本質から逸れていて』『価値観として言及するべきでない』という価値判断から、触れることができなかった。価値観的にはそこを突けるのは一種のバグ技というか、リベラルが負け続けているのもだいたいこのあたりの脆弱性が理由だと思う。
まぁ今回の場合リベラルがどう、とかいう話は若干ズレちゃってて(実際不信任決議は全員からされてるし、普通に古巣の自民や維新とかからも責められてる訳で)、本質はマスコミの問題だよね。
左派リベラルとか、既得権益とかいろいろな呼ばれ方をして結局対抗馬が錯綜していた中で、誰が間違いなく愚かな味方だったのかと言えばまずはマスコミだったろうと思う。
公益通報にかかる部分とか(これも厳密には責めきれない要素があるということは3月ごろから言われていたが)については、後援していた維新側の橋下氏さえ否定を継続している。
にも関わらず、明らかに根拠不足な、少なくとも不信任決議に至るレベルとまで言えるかは疑義の残るパワハラなどの、いわば耳目を集めやすい話題に逃げて、ワイワイと騒ぎ倒した。
これはもう、ずっと前から言われ続けてきた問題点だったんだけど、今回はそれに相対することが出来るまでに育っていたソーシャルメディアがあり、そしてそれに相対してしまうまでに弱っていた既存メディアがあった。
この騒ぎと力関係が、立花氏がナラティブを見出す絶好の土壌に成り果てた訳で。
んで、増田も認めている(と判断させていただくが)『B.そんな斎藤知事が気に食わない勢力が県庁内外におり、問題のK局長は斎藤知事の悪い情報を収拾し、怪文書をメディアに発信した。 』という点は、ナラティブとして見た場合かなり重要度が高い要素で、実際中田敦彦氏の動画なんかは結構再生されてる様子だし。また、ここを着目して陰謀論であるという主張をする人たちもやはりいるし、この言及を理由に色々と起きてるよね。
これなんか、もうXとか大騒ぎで、立花氏を心から応援しているポストが溢れかえってる。結構ナラティブとして、クーデターだったっていう組み立てって筋を通すためにめちゃくちゃ重要だったと思うんだ。
でも、それを招いたのはマスコミの愚かさだからなぁ。マスコミが意図的にやったとは思ってないし思うべきでもないというか、ハンロンの剃刀というか。
ある程度リテラシーがある場合、その愚かさの中からある程度の情報を取捨選択しつつ判断を下すわけだけど、それなら別に、ソーシャルメディアからそれを行ったことも十分考えられるだろう、という話は全くその通り。結局のところエコーチェンバーというか。
一概に立花氏を悪魔化したり、兵庫県民を愚民であると言ったり、それこそ『民主主義の敗北』だなんて喧伝するのは、本当にそちらのほうが愚かだよね。
まぁ、これからどれくらい立花氏が躍進するかどうかはちゃんと見ておかないといけないんじゃないかとは思うけど、でももし本当にこのBすら事実だったらどうしようかな、って感じちゃうくらいには、世の中の風向きが変わってしまったなとは思うよ。
ハンロンの剃刀に似た話で、女性が差別問題に言及するとき、原因としてありもしない悪意を見出して、やり玉にあげるから解決のめどが立たないんだよね。
ほんとうは個人の自由な指向・選択が積み重なった結果だったり、明文化されない経験則としてそれがうまくまわる仕組みだったりってことの方が現代ははるかに多いのに。
まあ、社会的な責任のある仕事についた経験や、調停役として丸く収める役回りをまかされることが統計的に少ないみたいに、昔の差別というかジェンダーロールがそういう思考のクセの遠因としてはあるんだろうけど。
でもさ、誰かを悪魔化して気持ちよくぶん殴る快感に酔いしれている姿をこれだけ見せられると、普通の社会性のある人たちはドン引きなんですわ。
論点はぐらかし過ぎてアホらしい。
ただの感想というよりその延長線上にある”意見そのもの”なんでしょ?なんで感想だと意味ないものと雑に捉えてるか謎。お前の感想も無意味になるぞ。
「わかっててやってるだろ!」←何を?
ハンロンの剃刀のように考えても偶然の一致があまりに多すぎて不自然に見えるってだけの話やろ。
小吏に向いてるタイプ
"擁護派が、贔屓の引き倒しをしてくれるおかげ"の部分が問題なんやろ。あと今の時代、この辺の反差別感覚を持ってないなら、この増田は小役人にすら向いてないタイプ。
「線引き」
"差別に意図は関係ないよ。"がメイン主張。”差別の線引きを社会でどうしていくのかの議論が常に行われている”という事実の主張に文句あるなら具体的にされてないケースを論じろ。コロンブスの件はされている。
「入植者たちはおぞましい奴等だったんだぞ!」
https://lady-joker.hatenadiary.jp/entry/2024/06/16/011301
「貫き通さないのが悪い」
でもお前らがやってるのは?
ヒトラーと同じ扱いってだけの話やろ。実際、曲のタイトルは曲の主張そのものなんだから意図は必ずある。商業曲とクラムボンは違う。
「コロンブスは評判が悪いんだぞ!」
曲のタイトルは曲の主張そのものなんだから意図は必ずある。同上。
猿が激おこ
ピーター・ムーアというアディダスやナイキのロゴを作った人から命名された法則。
ジャガイモとビールが合うように、ある食べ物には必ず合う飲み物があるという法則。
オープンワールドのゲームでは、アンカリングされた地点にファストトラベルできる機能があると便利だよいう意味。
「オデ…オデ…」と一人称をオデにするだけでゴーレムのように見えてしまう効果。
監獄にスタンフォードの本を配ったらみんな改心したという感動の実験。
蝶はよく見ると気持ち悪いのに、みんなに愛されている。
https://togetter.com/li/2205234 という「旦那のこういうところが嫌い」という写真付きツイートについての感想。
愛しているのなら男はビールの空箱ぐらいすすんで片付けねばならない
冷蔵庫に放置されたビールの空箱を巡る夫婦間の問題は、表面上のささいな問題のように思われるかもしれないが、実際には夫婦間の権力闘争や互いの価値観の衝突、愛情の減少の象徴ともいえる。妻は冷蔵庫を自分のテリトリーと見なし、夫がビールの空箱を放置する行為に不快感を覚える。これは夫がビールの空箱を片付ける意欲を持たないこと、もしくはそれを重要と思わないことから来るものである。しかし、理想の夫婦関係では、こういった問題は発生しない。愛情が深ければ、小さなことで争うことはなく、お互いを尊重し合う関係が築かれる。夫婦間の問題は一人暮らしのときとは異なり、一緒に生活することで新たな問題や課題が浮き彫りになる。愛情があれば、互いの習慣や欠点を受け入れることができるが、そうでない場合、愛情が薄れてしまう。最終的に、ビールの空箱の問題は愛情の有無を示す象徴として捉えることができる。
なぜ旦那がビールの空箱をそのまま放置するのかといえば、有り体に言ってしまえば「それほど妻を愛さなくなったから」であり、一方でなぜ妻が旦那のその空箱の放置にうんざりとして嫌ってしまうのかといえば、「それほど旦那を愛さなくなったから」である。
まずこれほどまでに社会に蔓延しており、全く解決できていないということは「その程度のささいな問題ではない」ということをそのまま証明している。1つの家庭を崩壊・険悪にさせるほどのエネルギーを持っているものが日本各地で続発しているというように認識を改めなければならない。
とはいえ、ビールの空箱の放置というのは、ささいな問題のように見える。しかしビールの空箱の放置が発生する原因は旦那の習慣的な行動によってであり、人生における集大成のような、本能に近いレベルの癖によるのである。そう考えると全くささいではない。
一方で、妻から見れば「自分のテリトリーである冷蔵庫をわざわざ間借りしている旦那が、与えた権利以上のものを絶えず主張している」というような状態であろう。不快感を覚えるのも当然である。
いわば妻側は冷蔵庫のマネジメントを任務としているがゆえに冷蔵庫の全権を獲得しており、旦那には借家としての権利を付与していると考えているのだが、一方で旦那は地権を持っていると考えている。仮に冷蔵庫に旦那専用スペースがあり、旦那がビールを購入する主体であれば旦那は容易にビールの空箱を片付けるであろうし、その行為に不満を感じることは1つもない(もちろん最後の1本を出したあとはそのままだが)。妻も他人のスペースがめちゃくちゃになろうが、臭いの充満などの他スペースの侵害をしない限りは関与しなくなるはずだ。しかしこうした「分譲」には、妻側から見れば権利の侵害を感じ、強硬な反発に遭うことだろう。
ここで、「恋愛的に自分が超次元で大好きな異性」という架空の存在を定義しよう。以下、理想人類Aと呼称する。
理想人類Aは、自分が全存在をかけて愛せるような存在である。そんな理想人類Aがビールの空箱をそのままにしていた場合どうだろうか。これは理想人類Aを自分に少しでも依存させることができるチャンスであり、喜んでビールの空箱を片付けるであろう。そのような理想人類Aでもやはり欠点はあったのだと嬉しくなり、自分の存在価値を確認できる崇高な行為となる。
男側から見ても、理想人類Aは、何も文句も言わずに何の痛痒すら感じず朗らかに笑いながらビールの空箱を片付けるような人間である。そんな人間に幻滅されたくない男は、その人間の歓心を買うためなら、喜んでビールの空箱を片付けるであろう。喜んで自分の存在を革命しようと欲し、これも自らの存在価値を確認できる崇高な行為となる。
こうした理想的な夫婦関係においては、ビールの空箱の片付け問題などというくだらない問題は発生し得ない。
共同生活においては、一人暮らしで「単なる怠惰で自分の首がしまる行為」で済んでいたことが、そういう意図はないにしても「貴様がやっておけ」という意味のようになることが多い。気付いてしまうからだ。それの集合体が名もなき家事と呼ばれている。家事自体をしないまでも、そういう状態を目にするのも嫌なのだ。妻側は、怠惰と不潔の織りなすハーモニーに地獄の瘴気を感じ、精神が蝕ばまれていく。
もともと恋愛関係においては自分のベストに近いパフォーマンスを見せあうが、夫婦間においては自分の最悪のパフォーマンスも見せあうような関係となる。相手の習慣を受容しないということは相手そのものを受け入れないということであり、相手の価値観をわかろうとしないことも相手そのものを受け入れないということである。
旦那側はそういうものだから受け入れてほしいと考える。これに正しい間違っているもくそもなく、正しさの度合いは周辺のコミュニティが持つ価値観の相場によって決定される。そちらの方が都合が良いというだけだ。妻側は誰しも当然受けいれたくはない。当たり前に労力がかかる話だからだ。
「共に過ごす」という以上、共に過ごすために必要なコストは必ず発生する。そしてそのコストは分担される。多くは妻側が持っている。理想人類Aだったならば、すべてのコストを受容できるはずなのだ。それだけで理想人類Aの歓心を買って共に過ごすことができるのだから(現実的ではないが……)
結局のところ、お互いに、相手のために自分を変革してまでより愛したいと思っていないのだ。そのままでいたいのだ。妻は、妻でありたくはなく、旦那が旦那でなくなることを欲しており、旦那は、旦那でいたくあり、妻が妻でいてくれることを欲している。
もっと直接的に捉えるべきなのだ。「ビールの空箱を片付けないのは、全く愛されていないように感じる」とか「愛しているからめんどくさいけど自分の習慣を努力して変更し、ビールの空箱を片付ける」とか。「ビールの空箱を片付けないお前が嫌い」とか「ビールの空箱を片付けないことを責め立ててくるお前が嫌い」「ビールの空箱をわざわざ片付けようとは思わない程度にはお前が嫌い」とか、そういうことを暗示しあうからお互いがより愛せなくなるのである。
また考え方として、ハンロンの剃刀というものがある。これは「無能で十分説明されることに悪意を見出してはいけない」 という考え方だ。ビールの空箱を片付けられないのは無能の証であって、悪意ではない。能力が無い。能力を獲得する気がない。そのメリットを感じないというふうに思っているわけで、悪意より矯正しがたいものだ。何か強烈なショックが無ければ変わることはないであろう。
冷蔵庫の中のビールの空箱というのは、無能・怠惰・薄れた愛情・憎悪・夫婦関係の亀裂・闘争・緊張感・離婚の兆候・他責・愚痴・想像力の欠如・束縛・傲慢・依存・甘えがこの世に顕現した姿なのである。
3組に1組は離婚する。