fc2ブログ

祝・15年連続60種以上

 ミゾソバの花が咲き揃ったトンボ王国。スタッフ達は湿地保護区の除草作業に追われています。

   239A3210ミゾソバ2018・10・15トンボ王国  239A2429ミゾソバ2018・10・12トンボ王国  239A2422除草作業2018・10・12
    ミゾソバ                     除草作業(右手湿地保護区)

 そんなトンボ王国では今月6日にタカネトンボ、翌7日にキトンボ、さらに15日にはネキトンボの生息が確認でき、今シーズンの記録種が61となりました。まだミヤマアカネやハネビロトンボなども記録される可能性があり、最終的な記録種はもう少し増加するかもしれませんが、取りあえず1シーズンのトンボ記録60種以上達成はこれで、2004年から15年連続となりました。整備開始当初には疑問視されていた「人手を加えるトンボ生息地の保全」でしたが、少なくない各地の有名産地が「自然放置」で輝きを失っている今日、トンボ王国の考え方が間違いではなかった、という証明でしょう。

239A0789タカネトンボ♂探雌飛翔2018・10・6トンボ王国右手湿地保護区 239A2892キトンボ♂2018・10・14トンボ王国 239A3173ネキトンボ♂2018・10・15トンボ王国 239A3201ネキトンボ♂2018・10・15トンボ王国
 タカネトンボ♂     キトンボ♂          ネキトンボ♂

   239A2879マイコアカネ♂2018・10・14トンボ王国  239A2510コノシメトンボ♀2018・10・12トンボ王国   239A2438シオカラトンボ♀捕食(マユタテアカネ♂)2018・10・12トンボ王国
     マイコアカネ♂     コノシメトンボ♀   シオカラ♀捕食(マユタテ♂)  

 秋の生きものたちの活動も本格化する中、イノシシによる食害も目だってきました。

   239A2527オオクサボタン2018・10・12トンボ王国   239A2505キムネクマバチ捕殺2018・10・12  239A2432イノシシ荒らし2018・10・12トンボ王国
    オオクサボタン      キムネクマバチ受難   イノシシ荒らし

 現在、過疎化による里山の荒廃や、温暖化による気候変動などで、トンボを始め多くの野生生物が激減しています。一説によれば、世界中で通常の10倍以上とされる1日100種の生物が絶滅しているそうです。食糧調達を筆頭に、現在の生態系抜きに語れない人類の存続。もっと注目されてしかるべきトンボ王国の活動ですが、身近な自然消失に起因すると考えられる子ども達の「昆虫離れ、生きもの離れ」は目を覆いたくなるほど、来訪者数はずっと伸び悩んでおり、行く先が案じられます。
 
そんな思いを胸に、トンボを中心とする生態系調査に専念しているわけですが、トンボ王国に近い四万十川トンボ池では、2年振りでナツアカネの産卵が見られました。アキアカネは相変わらず、その多くが堤防下に出現する雨後の水溜りで産卵しています。実にもったいないことです。

239A0975ナツアカネ連結産卵2018・10・7四万十市中村四万十町四万十川トンボ池 239A1014アキアカネ交尾2018・10・7四万十市中村四万十町四万十川トンボ池 239A3034アキアカネ連結産卵2018・10・14四万十市中村四万十町 239A2442アジアイトトンボ産卵2018・10・12
ナツアカネ連結産卵    アキアカネ交尾&連結産卵   アジアイトトンボ産卵

 今シーズン、当地方にも影響を与えた台風がいくつか有りました。そこで気になるのが迷入トンボ。残念ながら?オオギンもアメイロも不発、辛うじて四万十川河口近くの水田に乾燥地を好む赤トンボ・スナアカネが少数確認できているのみ。ただ、ソテツの害虫クロマダラソテツシジミは海岸の公園で悪行?の限りを尽くしています。

239A2127ハネビロトンボ♀2018・10・10四万十市竹島 239A1051スナアカネ♂2018・10・7四万十市竹島 239A2173クロマダラソテツシジミ交尾2018・10・10四万十市下田 239A2200クロマダラソテツシジミ交尾2018・10・10四万十市下田
 ハネビロトンボ♀  スナアカネ♂     クロマダラソテツシジミ交尾

 今シーズン、羽化数が激減したと伝えられている愛媛県松山市某池のオオキトンボ。旧知のカメラマン案内も兼ね、8日と9日、連チャンで出かけました。件のオオキトンボは、ここ数年に比べると少なめでしたが、幸い、周辺のため池でもそれなりの個体数が維持されているので、数年内にいなくなってしまうということは考え難い感じでした。池の水が少し富栄養化しているようなのが気がかりですが、これは昨冬に実施された護岸工事に怯えた水鳥が水面に降りられず、夏の間に広がったヒシなどの水生植物が処理されなかったせいではないかと推察しています。水の濁りは水生植物の光合成による水中の溶存酸素量を減少させ、ろ過細菌の活動やトンボ卵の孵化率低下につながってきます。今冬も、ため池の護岸工事が続けられるということなので、水鳥が除去できない枯れ水草の除去を人の手で行う必要がありそうです。ただ、個体数が多かった年には小型化が顕著でしたが、今シーズンの個体は普通サイズが多かったように感じました。

239A1487オオキトンボ交尾2018・10・8愛媛県松山市北条 239A1460オオキトンボ連結産卵2018・10・8愛媛県松山市 239A1215オオキトンボ三♂♂♀連結産卵2018・10・8愛媛県松山市 239A1898タイリクアカネ連結産卵2018・10・9愛媛県松山市
オオキトンボ交尾  同 連結産卵 同 三連結(♂♂♀) タイリクアカネ連結産卵

 その他、松山市ではナニワトンボやカトリヤンマなどいつもの顔ぶれの多くが例年並みに見られましたが、マユタテアカネだけはほとんど見られず、些か気がかりです。

   239A1982ナニワトンボ連結産卵2018・10・9愛媛県松山市  239A2027アオイトトンボ♂連結産卵2018・10・9愛媛県松山市  239A1536ナニワトンボ単独産卵2018・10・8愛媛県松山市
   アオイトトンボ連結産卵 ナニワトンボ連結産卵   同 単独産卵

   239A1705カトリヤンマ交尾2018・10・8愛媛県松山市  239A1727カトリヤンマ♀産卵間飛翔2018・10・8愛媛県松山市  239A1781カトリヤンマ♀産卵2018・10・8愛媛県松山市
    カトリヤンマ交尾     同 ♀産卵場所探し   同 産卵  

 13日は尾道方面に。三原市では、キトンボの多い池でヌートリアと遭遇、尾道市では飛来アカネもやってきそうな遠浅のため池にマイコアカネが多産していることを確認してきました。

239A2682キトンボ♂2018・10・13広島県三原市 239A2663キトンボ♂2018・10・13広島県三原市 239A2634キトンボ♂×ネキトンボ♀2018・10・13 239A2588ヌートリア2018・10・13広島県三原市
           キトンボ♂        キ♂×ネキ♀連結 ヌートリアお食事中

   239A2794リスアカネ♂2018・10・13広島県尾道市  239A2769マイコアカネ♂2018・10・13広島県尾道市  239A2811マユタテアカネ翅端斑♀2018・10・13広島県尾道市
    リスアカネ         マイコアカネ♂     マユタテアカネ翅端斑♀

画像はすべて、クリックすると拡大します。











by 杉村光俊  at 11:02 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑

いよいよ赤トンボ・シーズン

 秋のトンボ・シーズン間近の9月30日に台風24号が四国沖を通過、トンボ王国は冠水による丸木橋の流出と、強風による木製看板歪みの被害?に見舞われました。

239A0020増水(台風24号)2018・9・30トンボ王国 239A0024増水(台風24号)2018・9・30トンボ王国 239A0026看板倒伏寸前(台風24号)2018・9・30トンボ王国 239A0032丸木橋流出2018・10・1トンボ王国
           増水状況           傾いた看板  流出した丸木橋

 ただ、青空が戻った翌10月1日にはナツアカネとコノシメトンボの下山を確認、これで今シーズンの記録種は58となり、残るタカネトンボ、ミヤマアカネ、ネキトンボ、キトンボ、ハネビロトンボなどの中から2種を確認できれば、今シーズンも60種の最低目標が達成できます。キトンボは確実と思われますが、まだチョウトンボなどが頑張れるくらいの暑さなので、これらの確認はもう少し先になりそうです。

   239A9637ウスバキトンボ摂食群飛2018・9・28トンボ王国  239A0073ナツアカネ♀2018・10・1トンボ王国中央  239A0051コノシメトンボ♀2018・10・1トンボ王国本谷奥
  ウスバキトンボ接食群飛   ナツアカネ♀       コノシメトンボ♀

   239A0077チョウトンボ♂2018・10・1トンボ王国  239A0103チョウトンボ交尾2018・10・1トンボ王国  239A0110チョウトンボ産卵2018・10・1トンボ王国
    チョウトンボ♂       同 交尾          同 産卵

239A0119オオイトトンボ連結産卵2018・10・1トンボ王国右手湿地保護区 239A0409マユタテアカネ♂2018・9・3トンボ王国 239A9539ホシホウジャク&ツリフネソウ2018・9・27トンボ王国 239A0209ツクツクボウシ♂2018・10・1トンボ王国あきついお前庭
オオイト連結産卵 マユタテアカネ♂ホシホウジャク&ツリフネソウツクツクボウシ

 なお、続く10月2日にはアキアカネも下山してきました。

   239A9517マイコアカネ♂2018・9・27トンボ王国右手湿地保護区(右-左)  239A0266アキアカネ交尾2018・10・2トンボ王国  239A0388ノシメトンボ♀2018・10・3トンボ王国
    マイコアカネ♂      アキアカネ交尾      ノシメトンボ♀

 四万十川トンボ池では先月28日からアオイトトンボの産卵が始まり、取りあえず来シーズンにつながった感じです。

239A9660アオイトトンボ♂2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池 239A9652アオイトトンボ♂♂連結2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池 239A9680アオイトトンボ交尾2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池 239A9732アオイトトンボ連結産卵2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池
 アオイトトンボ♂     同 ♂♂連結      同 交尾      同連結産卵

 ノシメトンボも細々と産卵していますが、夏の猛暑とアメリカザリガニの悪さで水生植物が育たなくなったトンボ池は酸欠状態、濾過細菌の働きが悪いためか、水は茶色く濁ったままです。お陰で、この時期に多いセスジイトトンボなどの姿は皆無です。

239A9756ノシメトンボ連結産卵2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池 239A9764ノシメトンボ単独産卵2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池 239A9883アジアイトトンボ交尾2018・9・29四万十市中村四万十町四万十川トンボ池 239A9751ギンヤンマ連結産卵2018・9・28四万十市中村四万十町四万十川河川敷四万十川トンボ池
ノシメトンボ連結産卵 同 単独産卵 アジアイトトンボ交尾 ギンヤンマ連結産卵

 本トンボ池も先の台風で冠水してしまいましたが、2日からは秋の赤トンボを含め、トンボたちの活動が再開しています。

    239A0284四万十川トンボ池2018・10・2四万十市中村四万十町四万十川  239A0427アキアカネ連結産卵2018・10・3四万十市中村四万十町四万十川トンボ池横河川敷水溜り  239A0448コノシメトンボ♂2018・10・3四万十市中村四万十町四万十川トンボ池
    冠水後のトンボ池    アキアカネ連結産卵    コノシメトンボ♂

 先月27日、四万十川の柳林にある小さな池でリスアカネを見ていたところ、ハラビロカマキリの身投げに遭遇、もしや、と思って近付いたら、やっぱり腹の中のハリガネムシの仕業でした。4本出てきました。幸い、近くに植物があったのでコガタノゲンゴロウに襲われることもなく、一命は取り留めました。

   239A9548四万十川柳林内水溜り2018・9・27四万十市入田  239A9553リスアカネ♂2018・9・27四万十市入田四万十川柳林内水溜り  239A9572ハラビロカマキリ・ハリガネムシ脱出2018・9・27四万十市入田四万十川柳林内水溜り
    柳林内の池        リスアカネ♂       ハリガネムシ脱出中

 四万十川河口近くの水田地帯には多くのハネビロトンボと少数のスナアカネ(未撮影)が入ってきました。

239A0307ハネビロトンボ生息地2018・10・2四万十市竹島 239A0306ハネビロトンボ♂2018・10・2四万十市竹島 239A0314ハネビロトンボ連結産卵2018・10・2四万十市竹島 239A0166セイタカシギ2018・10・1四万十市竹島
 飛来環境        ハネビロトンボ♂  同 連結産卵   セイタカシギ

画像はすべて、クリックすると拡大します。



by 杉村光俊  at 17:01 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑
イベント情報・お知らせ
トンボ王国のホームページはこちらからどうぞ
www.gakuyukan.com/

催しのお知らせ

赤とんぼまつり

開催趣旨:アキアカネを筆頭に、近年激減著しい秋の赤トンボの仲間。大半の種が水田や灌漑用の溜池や水路などで育ち、日本人の「食」と深い関りがある。改めて、多くの人々に赤トンボと食の安全を考えてもらうきっかけとしたい。



【アカトンボ写真展】

内容:アキアカネなどアカトンボ属を中心として、ショウジョウトンボなど四国内に記録がある赤い体色のトンボ26種+ハイブリッド2種の生態写真64点を展示。
期間:2024年9月21日(土)2025年2月2日(日)
場所:とんぼ館ロビー

【赤とんぼクイズ】

内容:赤とんぼ写真展のキャプションの中に答えがある、A-4版用紙の3択10問クイズ。希望により有料入館者1名1回挑戦でき、8問以上正解するとナツアカネもしくはヒメアカネを模したミニ・ビーズトンボ・ストラップを進呈。
クイズ用紙は受付で配布。年間パスポートでの入館者は、期間中8問正解できるまで何度でもチャレンジ可。

【四国の赤とんぼパズル・ゲーム】

内容:四国内で記録されているアカトンボ属17種50枚の2分割パズルを用い、10分間で5種以上完成させると、キトンボを模したミニ・ビーズトンボ・ストラップを進呈。
チャレンジ料1回500円。

【個別観察会】

内容:トンボと自然を考える会員限定。日程・時間調整の上でスタッフが適宜実施している調査・整備作業に同行でき、希望によりトンボ撮影の便宜も図ります。
ご入会は四万十川学遊館受付のほか、ホームページからもお申し込みいただけます。

毎日イベント・ビーズトンボ携帯ストラップ作り&四万十川の蛇紋岩みがき
内容:ビーズで作るトンボ・アクセサリーの携帯ストラップ版(簡素化したデザインで、所要時間約30分)と、磨くほどに輝きを増す四万十川の蛇紋岩みがき(所要時間約30分)。

カテゴリー
検索フォーム
リンク
このブログをリンクに追加する
プロフィール

杉村光俊

Author:杉村光俊
1955年高知県中村市(現四万十市)に生まれる。
1985年(社)トンボと自然を考える会常務理事
日本蜻蛉学会会員
トンボ生態写真家

最近の記事
月別アーカイブ
最近のコメント
RSSフィード