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アオイトトンボ健在

 孵化の時期、異常少雨に見舞われた四万十川トンボ池のアオイトトンボLestes sponsa。本来なら羽化が始まっている5月に入ってからややまとまった降雨があったものの、「時すでに遅し」との感を抱いていました。ところが5月25日、まだ満水状態まで戻っていないトンボ池に、多くの終齢幼虫が生息していることが確認できました。どうやら卵は、まとまった雨が降るまで孵化することなく、生みつけられた植物の中でじっと乾燥に耐えていたようです。実は3月にもややまとまった降雨があり、一旦ごく浅い水溜り状となったものの、その後再び水底部分にひび割れができるほどの渇水状態となり、もしここで例年通りの孵化が行われていたら極めて憂慮される事態を招いていたところでした。予報によれば、これから雨続きということなので、10日ほど後には羽化の確認ができることと思います。思いがけず大雨になってトンボ池が本流とつながり、水草ごと洗い流される…なんてことにならなければいいのですが。

   _MG_0261四万十川トンボ池201  _MG_0256アオイトトンボ終齢.gif  _MG_0240アカハライモリ2011.gif
    四万十川トンボ池   アオイトトンボ終齢幼虫  アカハライモリ

 花菖蒲まつりを間近(来る28日)に控えているトンボ王国。主役の花はざっと100輪ほどが開花していますが、それでも全体数からではまだ0.5分咲き程度といったところ。草間にはコフキヒメイトトンボAgriocnemis femina oryzaeがひしめき、サラサヤンマSarasaeschna pryeriの♂がいたるところでパトロール飛翔しています。夏の主役級ウチワヤンマSinictinogomphus clavatusの羽化も始まり、ヨツボシトンボLibellula quadrimaculata asahinaiは最後の追い込みに入っているようです。

_MG_0288トンボ池2011・5・25.gif _MG_0431ベニシジミ+アサザ20.gif _MG_0294ハナショウブ2011・5.gif _MG_9835ハナショウブ(ピン.gif
 スイレン池        アサザ+ベニシジミ          ハナショウブ

_MG_9810ウツギ2011・5・22ト.gif _MG_0102コフキヒメイトトン.gif _MG_9829コフキヒメイトトン.gif _MG_0302ウチワヤンマ羽化殻2.gif
ウツギ コフキヒメイトトンボ未熟♂・♀(上) 同 ♂+スイレン ウチワヤンマ羽化殻

   _MG_9807キイロサナエ2011・5.gif  _MG_9900トンボ池2011・5・22.gif  _MG_9841モノサシトンボ未熟.gif
     キイロサナエ♂     トンボ王国発祥の池   モノサシトンボ未熟♂

   _MG_0471サラサヤンマ♂2011.gif  _MG_0147ヨツボシトンボ産卵2.gif  _MG_0283モンキチョウ2011・5.gif
     サラサヤンマ♂     ヨツボシトンボ産卵    モンキチョウ

 四万十川学遊館あきついお・中庭ビオトープも花盛り、色々なトンボが見られるようになってきました。

_MG_9796ハコネウツギ2011・5.gif _MG_0434サツキ2011・5・26あ.gif _MG_9787ホタルブクロ2011・5.gif _MG_9785スイレン2011・5・21.gif
入り口のハコネウツギ  玄関先のサツキ   ホタルブクロ  園芸スイレン

_MG_0330サラサヤンマ♂2011.gif _MG_9782オオシオカラトンボ.gif _MG_0338ヨツボシトンボ♂+シ.gif _MG_9792ヤマアジサイ2011・5.gif
 サラサヤンマ♂ オオシオカラ羽化後♂ ヨツボシトンボ♂   ヤマアジサイ

 足摺半島では四国特産種シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoiの羽化が始まりました。お楽しみのミナミヤンマはまだ10日ほど先になりそうです。

_MG_0348シコクトゲオトンボ.gif _MG_0356シコクトゲオトンボ.gif _MG_0346シコクトゲオトンボ.gif _MG_0379アサヒナカワトンボ.gif
シコクトゲオトンボ生息地 羽化中♀  羽化後♀  アサヒナカワトンボ透明翅型♂


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by 杉村光俊  at 13:07 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑

ハナショウブ開花

 トンボ王国ではサラサヤンマやキイロサナエなど「初夏のトンボ」が水辺で活動を始めています。「花菖蒲まつり」を28日に控え、ハナショウブの開花が始まりました。遅々として進まない透き刈りに、気はあせるばかりです。

_MG_8973モートンイトトンボ.gif _MG_9405サラサヤンマ♂なわ.gif _MG_9035ハナショウブ(薄黄.gif _MG_9041ハナショウブ(薄紫.gif
モートンイトトンボ交尾   サラサヤンマ♂       ハナショウブ

 四万十川流域ではグンバイトンボやアオサナエが流畔に戻り、ヒメサナエの羽化も始まっています。何と、昨年末から今年始にかけての大寒波にもめげず、観察史上(といってもまだ5~6年しかなりませんが)最速となる5月14日に四万十町の鯉のぼり公園付近でベニトンボ半成熟♂1頭の発生を確認しました。熱帯性種とはいえど、生息条件は単に気温だけではないことの証、と言えるでしょう。
   _MG_9339四万十川2011・5・20.gif  _MG_9356カラスアゲハ+モンキ.gif  _MG_9281アオサナエ♂2011・5.gif
 四万十川(佐田の沈下橋) カラスアゲハとモンキアゲハ  アオサナエ♂

   _MG_9588ヒメサナエ♂羽化連.gif  _MG_9596ヒメサナエ♂羽化連.gif  _MG_9631ヒメサナエ♂羽化連.gif
                   ヒメサナエ♂羽化 

   _MG_8795グンバイトンボ連結.gif  _MG_8829グンバイトンボ生息.gif  _MG_8837ベニトンボ半成熟♂2.gif
    グンバイトンボ連結    ベニトンボ生息地     ベニトンボ半成熟♂

 去る17日、昨年に続き愛媛県のハッチョウトンボ生息地整備の手伝いに行ってきましたが、早くも10頭ほどの成虫を見ることができました。その後、近くの川でニホンカワトンボを撮影してきましたが、こちらはまだ新鮮な個体が多く、春先の寒波でやや出遅れていたようです。

   _MG_9122ハッチョウトンボ生.gif  _MG_9129ハッチョウトンボ未.gif  _MG_9131ハッチョウトンボ未.gif
  ハッチョウトンボ生息地   ハッチョウトンボ未熟♀   同 未熟♂

   _MG_9186ニホンカワトンボ橙.gif  _MG_9227ニホンカワトンボ透.gif  _MG_9194ニホンカワトンボ♀2.gif
  ニホンカワトンボ橙色翅型♂   同 透明翅型♂      同 ♀  

 行き着けの磯でキタマクラの若魚がたくさん見られるとの情報を得て、出かけてきました。

    _MG_9438キタマクラ2011・5・.gif  _MG_9457クモギンポ2011・5・  _MG_9485ハマヒルガオ2011・5.gif
     キタマクラ         クモギンポ         ハマヒルガオ


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by 杉村光俊  at 18:17 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑

トラフトンボ三昧

 早くもオオヤマトンEpophthalmia elegansボの産卵と、ベニイトトンボCeriagrion nipponicumの羽化が始まりました。カキツバタは盛りを過ぎ、春のトンボも「くたびれた」個体が目立ってきました。光陰は正に矢のごとく、今年も撮りこぼしシーン続出です。

_MG_8525白スイレン池2011・5.gif _MG_8493カキツバタ2011・5・.gif _MG_8494コガクウツギ2011・5.gif _MG_8370アヤメほか2011・5・.gif
 満開の白スイレン  見納め近いカキツバタ 見ごろのコガクウツギ  アヤメ

   _MG_8457オオヤマトンボ産卵2.gif  _MG_8283ベニイトトンボ未熟.gif  _MG_8375コフキトンボ未熟♂.gif
    オオヤマトンボ産卵   ベニイトトンボ♀羽化   コフキトンボ♂捕食

   _MG_8235モノサシトンボ未熟.gif  _MG_8384シオカラトンボ未熟.gif  _MG_8279シオヤトンボ♂2011.gif
    モノサシトンボ未熟♀ シオカラトンボ未熟♂捕食   シオヤトンボ♂

_MG_8502アサヒナカワトンボ.gif _MG_8508ヤマサナエ未熟♀201.gif _MG_8516ゴマダラチョウ2011.gif _MG_8489ベッコウハナアブ201.gif
アサヒナカワトンボ橙色翅♂ ヤマサナエ未熟♀  ゴマダラチョウ ベッコウハナアブ

 14日、当地では見られないフタスジサナエTrigomphus interruptusを求め、愛媛県はKさんのフィールドにお邪魔してきました。生憎の強風と低温で、生殖行動はほとんどみられませんでしたが、代わりにトラフトンボEpitheca marginataが大歓迎?してくれました。ただ、この池にもオオクチバスが放たれており、産卵場所を決めかけたカップルがあやうく餌食となりかける場面がたびたび見られました。
_MG_8593フタスジサナエ生息.gif _MG_8667ウツボグサ2011・5・.gif _MG_8614クロアゲハ2011・5・.gif _MG_8611クロアゲハ2011・5・.gif
  肱川町のため池     ウツボグサ              クロアゲハ

_MG_8610フタスジサナエ♂201.gif _MG_8638フタスジサナエ♀201.gif _MG_8631ヨツボシトンボ♂201.gif _MG_8626トラフトンボ♂2011.gif
  フタスジサナエ♂      ♀      ヨツボシトンボ♂  トラフトンボ♂

   _MG_8682トラフトンボ交尾飛.gif  _MG_8669トラフトンボ産卵(.gif  トリミング_MG_8644トラフト.gif
クロギンに追われるトラフ・ペア   卵塊作り        産卵移動

 日本本来の生態系を再生させるためには、多くの英知と人手が必要です。これを雇用の創出につなげない手はない、と思うのですが…。


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by 杉村光俊  at 18:59 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑

カキツバタ満開

 例年より約1週間遅れでカキツバタがほぼ満開、人気のタニウツギも8分咲きとなりました。幸い、龍馬ふるさと博・花絵巻会場との宣伝効果もあってか、ゴールデンウィークを過ぎても散策客の姿が消えることがありません。
トンボの方は暦に追いついてきた感じで、イトトンボはベニイトトンボを除く全種の成虫が出揃いました。

_MG_8135トンボ池2011・5・8.gif _MG_8180タニウツギ2011・5・.gif _MG_8101透き刈り2011・5・7.gif _MG_8073オオヤマトンボ♀羽.gif
満開のカキツバタとタニウツギ ハナショウブの透き狩り開始 オオヤマトンボ♀羽化

_MG_8107キイトトンボ未熟♂2.gif _MG_8111セスジイトトンボ未.gif _MG_8121コフキヒメイトトン.gif _MG_8195ショウジョウトンボ.gif
キイトトンボ羽化後♂ セスジイトトンボ♂ コフキヒメイト未熟♂ ショウジョウトンボ♂

   _MG_8150タベサナエ産卵2011.gif  _MG_8188クロセセリ2011・5・.gif  _MG_8174コウベモグラ2011・5.gif
    タベサナエ産卵   厳寒を乗り越えたクロセセリ 瀕死のコウベモグラ

 話は前後しますが、ゴールデンウィーク中の5月5日と6日、石垣島のK・W氏から紹介されたという、いやに日本語の堪能なオランダ人が来訪、たっての希望で、行きつけの渓流のムカシトンボと、四万十町中ノ島のグンバイトンボをご案内しました。ムカシトンボは出現が遅れていたことが幸いし、産卵シーンを撮影していただく事ができ、グンバイトンボもまだ未熟個体中心ながら多くの個体に接していただくことができました。突然のことで慌てましたが、日本人であれ、外国人であれ、本当に自然が好きな方をご案内させていただくことは、それなりに楽しいものです。

_MG_7941渓流2011・5・5三原.gif _MG_7911アサヒナカワトンボ.gif _MG_7934アサヒナカワトンボ.gif _MG_7927ジャコウアゲハ交尾2.gif
行き着けの渓流 アサヒナカワトンボ♂羽化 同 橙色翅型♂ ジャコウアゲハ交尾

   _MG_8093グンバイトンボ生息.gif  _MG_8086トサシモツケ2011・5.gif  _MG_8091グンバイトンボ未熟.gif
   グンバイトンボ生息地    トサシモツケ       グンバイトンボ未熟♂







by 杉村光俊  at 11:01 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑

初夏のトンボ続々

 植物の開花は約1週間遅れながら、トンボの方は初夏から真夏にかけて活動する種類が次々と羽化しています。

_MG_7727スイレン薄ピンク201.gif _MG_7737コガクウツギ2011・5.gif _MG_7591マルバウツギ2011・5.gif _MG_7709カキツバタ中間色201.gif
 スイレン         コガクウツギ      マルバウツギ    カキツバタ
_MG_7593ヒトツバタゴ2011・5.gif _MG_7597ヒトツバタゴ2011・5.gif _MG_7711ギンリョウソウ2011.gif _MG_7733タニウツギ2011・5・.gif
    ヒトツバタゴ           ギンリョウソウ      タニウツギ
_MG_7739アサザ2011・4・3.gif _MG_7741アサザ2011・5・3.gif _MG_7393コデマリ2011・4・30.gif _MG_7376アオスジアゲハ2011.gif
           アサザ       コデマリ      サギゴケ+アオスジアゲハ

 昨シーズン、異様に数少なく行く末が案じられていたトラフトンボEpitheca marginataも、そこそこの個体数が見られ、先ずは一安心です。カキツバタ咲く水辺は今、ヨツボシトンボLibellula quadrimaculata asahinaiの楽園と化しています。
_MG_7168ハラビロトンボ未熟.gif _MG_7365サラサヤンマ♀羽化2.gif _MG_7571トラフトンボ産卵(.gif _MG_7574トラフトンボ産卵(
ハラビロトンボ未熟♂   サラサヤンマ♀羽化       トラフトンボ産卵
   _MG_7451ヒメコウホネ池2011.gif  _MG_7548ヨツボシトンボ♂201.gif  _MG_7589クロイトトンボ連結.gif
     ヒメコウホネ池      ヨツボシトンボ♂    クロイトトンボ潜水産卵
   _MG_7601コフキヒメイトトン.gif  _MG_7700コフキトンボ未熟♀2.gif  _MG_7407モートンイトトンボ.gif
  コフキヒメイトトンボ未熟♀   コフキトンボ未熟♀   モートンイトトンボ♀

   _MG_7426アカタテハ2011・5・.gif _MG_7514クマバチ2011・5・2.gif  _MG_7423ドンコ2011・5・1ト.gif
     アカタテハ       クマバチ          ドンコ   

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by 杉村光俊  at 16:09 |  トンボ王国最新情報 |  comment (0)  |   |  page top ↑
イベント情報・お知らせ
トンボ王国のホームページはこちらからどうぞ
www.gakuyukan.com/

催しのお知らせ

赤とんぼまつり

開催趣旨:アキアカネを筆頭に、近年激減著しい秋の赤トンボの仲間。大半の種が水田や灌漑用の溜池や水路などで育ち、日本人の「食」と深い関りがある。改めて、多くの人々に赤トンボと食の安全を考えてもらうきっかけとしたい。



【アカトンボ写真展】

内容:アキアカネなどアカトンボ属を中心として、ショウジョウトンボなど四国内に記録がある赤い体色のトンボ26種+ハイブリッド2種の生態写真64点を展示。
期間:2024年9月21日(土)2025年2月2日(日)
場所:とんぼ館ロビー

【赤とんぼクイズ】

内容:赤とんぼ写真展のキャプションの中に答えがある、A-4版用紙の3択10問クイズ。希望により有料入館者1名1回挑戦でき、8問以上正解するとナツアカネもしくはヒメアカネを模したミニ・ビーズトンボ・ストラップを進呈。
クイズ用紙は受付で配布。年間パスポートでの入館者は、期間中8問正解できるまで何度でもチャレンジ可。

【四国の赤とんぼパズル・ゲーム】

内容:四国内で記録されているアカトンボ属17種50枚の2分割パズルを用い、10分間で5種以上完成させると、キトンボを模したミニ・ビーズトンボ・ストラップを進呈。
チャレンジ料1回500円。

【個別観察会】

内容:トンボと自然を考える会員限定。日程・時間調整の上でスタッフが適宜実施している調査・整備作業に同行でき、希望によりトンボ撮影の便宜も図ります。
ご入会は四万十川学遊館受付のほか、ホームページからもお申し込みいただけます。

毎日イベント・ビーズトンボ携帯ストラップ作り&四万十川の蛇紋岩みがき
内容:ビーズで作るトンボ・アクセサリーの携帯ストラップ版(簡素化したデザインで、所要時間約30分)と、磨くほどに輝きを増す四万十川の蛇紋岩みがき(所要時間約30分)。

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プロフィール

杉村光俊

Author:杉村光俊
1955年高知県中村市(現四万十市)に生まれる。
1985年(社)トンボと自然を考える会常務理事
日本蜻蛉学会会員
トンボ生態写真家

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