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ロシアが断固とした姿勢を見せない限り、ウクライナ戦争は拡大の一途

<記事原文 寺島先生推薦>
The Ever Widening War
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ 2024年8月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月28日


クレムリンは驚くほど無能で現実を直視できていない。ピーター・ケーニッヒ氏の説明によると、いまやNATOがロシアに侵入し、クルスク地方に入っているのに、クレムリンはいまだに、ロシアが戦っているこの戦争は、ドンバス地方でのウクライナとの国境紛争である、という構えを変えていない。実際、クレムリンがこれほど現実離れした考え方をしているため、ロシアの上層部はNATOが率い、武器を提供している軍がロシア領内に侵入することを想像できなかった。だからクルスク地方は完全に無防備のままになっていたのだ。

ロシアが苦しんでいるこの侮辱は、クレムリンがウクライナとの紛争の戦い方を全く考えなしに進めてきたことに対する直接の結果だ、といえる。10年前の2014年、つまりに米国政府が選挙で選ばれたウクライナ政権を転覆させ、ネオナチの操り人形を据えたときからずっと、西側は、自分たちはロシアと戦争をしている、という事実をはっきりと認識していた。クレムリンは侵略的な西側という敵と戦っていることを認識していたはずだ、と考える向きもあった。しかし、クレムリンは8年も無駄にして、ミンスク合意や西側との相互安全保障の合意にすがりついていた。そのいっぽうで、西側はウクライナに武器を施し、軍の装備をさせていた。クレムリンが軍事的な準備もできていないうちについに行動を起こしたのは、いまにもウクライナ軍がドンバス地方の二つの分離共和国を攻撃し、ロシア語話者を虐殺しようとしはじめていたときのことだった。

ロシアによるこの遅延した干渉があまりにも弱小で、限られたものだったので、誰もが驚いたくらいだった。クレムリンが強調したのは、ロシア側の意図はドンバスに限定されており、ウクライナの侵攻にはない、という点だった。その結果、ウクライナ当局は妨害されることなく、ロシアとの戦争を遂行できた。クレムリンは、ウクライナ側の戦争遂行能力を破壊するようなことは何一つしてこなかった。その結果、ウクライナ・NATOによるロシア領内への侵略がおこなわれたのだ。

私に当初からはっきりわかっていたのは、プーチンの現実を受け入れる力のなさのせいで、この戦争が拡大の一途をたどるだろう、という点とプーチンが戦争を通常にすすめるための通常の努力を十分おこなっていなかった点だ。ロシアの巨大な軍の存在が、眼中にないかのように思える。そのことは、徴兵をおこなわないことをプーチンが何度も保証していたことからもわかるのに。その結果、クレムリンはNATOの戦争遂行能力を破壊するために戦術核兵器を配備することになった。ずいぶん前の私の見通しは正しかったようだ。それは、プーチンがいつまでも耐え忍んでいる状況が続けば、その道は直接核戦争につながる、という見通しだった。

非西側世界が、西側やイスラエルが示している邪悪さを理解できているのだろうか、と心配になる。(自身ユダヤ人であり、以前イスラエル居住していたイラーナ・マーサがイスラエルの戦争犯罪がイスラエルでは合法化されていることについて、以下のような記事を書いている。 https://www.lewrockwell.com/2024/08/ilana-mercer/de-sade-at-sde-teiman-when-genocide-snuff-films-extra-judicial-assassinations-rape-are-de-facto-legal/ ) 未だにプーチンは、ウクライナの地でのNATOとの戦争は、合理的な和解に向けた交渉ができる、と考えているようだ。そう考えているとすれば、プーチンは自分とロシアがだれと向き合っているのかを理解できていない、ということだ。

クレムリンはすべての道程を読み違え、その道はアルマゲドン(最終戦争)に続いている。プーチンは米国政府によるウクライナ政府の転覆を止めるために何もしなかった。プーチンは2014年に、クリミアと同じ様にロシアに再編入させてほしい、というドンバス共和国からの要求をのまなかった。プーチンがその要求をのんでいたら、戦争はなかっただろう。8年間、プーチンは西側がウクライナ軍を創設するのをただ見ていただけで、それに相応するロシア軍の準備を進めてこなかった。紛争当初、プーチンが頼っていたのは、半民間組織であるワグナー軍事会社だった。プーチンは自身が宣言した、レッド・ライン(超えてはならない一線)を守らせるために何もしてこなかったため、挑発がどんどんはげしくなり、戦争が拡大することになった。通常軍の設置もしなかった。NATOの相手をするのであれば、優れたロシアの武器体系で完全に武装され、しっかりと訓練を受けた4~5百万規模の軍でなければおかしい。そうはせず、ロシアがおこなっている軍事演習は、NATOの核能力を無力化する、戦術核兵器の発射演習だ。

クレムリン側の肩をもてば、クレムリンは西側の善良な意志や健全さ、西側の「互いに許し合って生きていくとことができる能力」を信頼していたからだ、といえるかもしれない。しかし、西側の善意を否定するようなはっきりとした証拠がこれだけ出ているのに、そう考えているとすれば、そのようなクレムリンの考え方は理解不能だ。

ピーター・ケーニッヒ氏の主張どおり、戦争は我々の頭上に迫っている。 : https://www.globalresearch.ca/has-president-putins-patience-reached-its-limits%E2%80%A8/5865408
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