革命機ヴァルヴレイヴ最終話を視聴。
今回の記事では、本編で描かれた「悪意」とタイトルにも使われる「革命」について考察する。
まず「悪意」について。
冒頭、エルエルフがジオール総統の喉元を切り裂き、ドルシア総統がマギウスである真実は
一時は世界を暴いてみせたが、「101人評議会」の情報操作によって隠蔽される。
まるでドルシア総統の傷口が塞がるように隠蔽される。
一方、その後に起こった各地のクーデターは「101人評議会」によれば真実もあったようだが、
デマゴギーによる悪意ある扇動が主であったようだ。
この嘘にまみれた扇動の方がエルエルフ達の行動より「101人評議会」を恐怖させた。
(※この蜂起もエルエルフの情報がキッカケではあったが)
つまりヴァルヴレイヴ最終話は、真実より嘘も含まれた悪意の方が
人々を動かしてしまう(悪意の拡散)ことを描いていた。
こうした人々の悪意を上手くヴァルヴレイヴは上手く拾ったと思う。
執拗に行われたSNS描写もこの悪意を表現するツールなのだろう。
またハルトがカイン達を諦めたもの達と断じ、
自分たちの正しさを訴えつつ、最終的にカインを倒すことについて。
カインを倒した後に待っていたのは、魔女狩り的なマギウス虐殺などの社会的混乱。
こうした描写は、ハルトが信じる正義に対する相対的な描写だと感じた。
ハルトは完全に正しくはないのだと。
ただハルトの正義が否定されたわけではない。
ハルト達の短い歴史の中では混乱をもたらしたが、
その後に第三銀河帝国の礎となる意味では、
長い歴史の上では、石像に象徴されるように英雄になったといえるのかもしれない。
おそらく本作のタイトルにも使われる「革命」とは何かを考えた時に、
それは、短いの歴史の中では混乱ではあるが、
長い歴史からみれば新しい世界の礎になることを意味するのだろう。
だからこそ、歴史的見地に立つことがハルト達の行動を是とできる意味で、
物語の結末は200年後の舞台に移ったのだろう。
この舞台に移った意味において、
実はヴァルヴレイヴの物語が200年生き抜いたサキ達による語りだったことは、
本作が口承文学的な構造を有していたともいえるのかもしれないと思った。
そして「革命機ヴァルヴレイヴ」において何が革命されたかといえば、
世界がジオール主導から第三銀河帝国になったこともあるだろうが、
それ以上に、「ニンゲンヤメマスカ」と問いかけた一号機が
「ニンゲンシンジマス」という問いに変化したこと。
またこの問いにYESと答えたであろうショーコがカミツキの道を選んだこと。
ハルトの命懸けの行動が、ショーコを動かし、
人と人以外の存在の融和というハルトの意志を継ぎたいからこそカミツキになった。
最初はカミツキを否定したこのショーコの変化こそ「革命」といえるのではないか。
だからこそ、最後は異星人との対話で物語が締めくくられたのではないだろうか。
「ヴァルヴレイヴ」はタイトル通りに
ヴァルヴレイヴという機体を通して「革命」を描いた作品だったと思う。
- 関連記事
-