■ J2の第7節J2の第7節。2勝1敗3分けで勝ち点「9」。8位とまずまずのスタートを切った東京ヴェルディがホームの味の素スタジアムでFC岐阜と対戦した。FC岐阜は2節で昇格2年目の讃岐に1対0で勝利しただけ。1勝5敗で勝ち点「3」。最下位の22位と出遅れた。5節の大分戦(A)は2対6で大敗するなど現在4連敗中。非常に苦しいシーズンになっている。就任2年目となるFC岐阜のラモス監督にとっては古巣との対戦となる。
ホームの東京Vは「4-2-3-1」。GK佐藤優。DF安西、井林、福井、安在。MF三竿健、中後、南、ブルーノ・コウチーニョ、澤井。FW平本。リオ五輪の予選に参加していたこともあって4試合欠場が続いたDF安在がスタメンに復帰して、6節の札幌戦(A)で好プレーを見せたDF福井が左SBからCBに移った。湘南のDF三竿雄の弟で高卒ルーキーのMF三竿健は開幕から7試合連続スタメンとなった。
対するアウェイのFC岐阜は「4-2-2-2」。GK川口。DF阿部雅、岡根、高木和、野垣内。MFヘニキ、高地、益山、清本。FWロドリゴ、難波。6節のC大阪戦(H)は雨でピッチが水浸しだったこともあってフィジカルの強い選手を多くスタメンに起用したが、この日はFWロドリゴとFW難波の2トップを採用。テクニックのあるMF清本などをスタメンで起用してきた。元日本代表のGK川口は3試合ぶりのスタメンとなる。
■ 後半39分からの大逆転劇試合の前半はFC岐阜ペースとなる。まず前半17分にペナルティエリア内でFWロドリゴが倒されてFC岐阜がPKを獲得。これをFW難波が決めて4連敗中のFC岐阜が先制する。さらに前半19分にはMF益山のパスを受けたFW難波が決めて2点目。そして、前半27分にはMF高地のクロスからまたしてもFW難波が決めて3点目を挙げる。FW難波は前半だけでハットトリックの大活躍だった。前半は3対0で折り返す。
前半途中に東京Vは高卒1年目のMF三竿健を下げてFWアラン・ピニェイロを投入。そして、後半開始からMF南に代えてMF杉本竜を投入。攻撃的な姿勢を打ち出すが、流れを返すことはできず。そのままのスコアで終盤に突入するが、後半39分に44歳の大ベテランのMF永井秀の絶妙のスルーパスを起点にFW平本が決めて1点を返すと、後半43分にはMF中後の直接FKが鮮やかに決まって2対3と1点差に迫る。
このゴールでスタジアムの雰囲気は一変。「連敗中のFC岐阜が逃げ切ることができるのか?」が最大の焦点になったが、後半48分に左サイドに流れたFWアラン・ピニェイロのクロスから163センチのMF杉本竜がヘディングシュートを決めて3対3の同点に追いつくと、後半51分にはDF福井が頭でつないだボールをFW平本が合わせて4対3と東京Vが大逆転に成功する。結局、4対3で勝利した東京Vは5試合負けなしとなった。
■ 目覚ましい活躍を見せているボランチの中後雅喜「0対3から逆転する。」という試合はJリーグでも何年かに一度は起こるが、そのほとんどは前半の早いうちに3点差がついて、ビハインドになったチームが試合の中盤あたりから盛り返して逆転まで持っていくというケースである。45分であったり、60分であったり、それなりに時間が残っているならば、片方のチームに4ゴールや5ゴールが生まれても不思議はないが、この日はそういう展開ではなかった。
前半34分にFWアラン・ピニェイロを投入して、さらに後半開始からドリブラーのMF杉本竜を投入している。「何かを変えなければならない。」という東京Vの冨樫監督は積極的に動いたが、この2つの交代が即効果をもたらすことは無かった。スコアは動かず3対0のままで試合の終盤に突入したので、「FC岐阜の勝利」を疑った人は誰もいなかったと思うが、約10分ほどの間に4連続ゴールが生まれた。
もちろん、1点目のFW平本のゴールも大きかったが、後半43分に決まったMF中後の直接FKが大きかった。1対3であればそこまで慌てる必要はないが、1点差になったことでスタジアムの雰囲気はガラッと変わった。角度としては非常に良かったが、やや距離があったので、いいコースを突くだけでなく、それなりのスピードの要求される難易度の高いFKだったが、ものの見事に元日本代表のGK川口からゴールを奪った。
今シーズンのMF中後は目覚ましい活躍を見せている。ボランチの相方で18歳のMF三竿健が開幕からスタメン出場を続けているので、注目されるのは相方のMF三竿健になるが、抜群のプレーを見せているのはMF中後である。J2のリーグ戦は1/6が終わった段階であるが、ここまでのJ2のベストイレブンを選出するとしたら、まず間違いなくMF中後は11人の中に入ってくる。キックの精度は凄まじいレベルである。
■ 悪夢のような試合一方のFC岐阜にとっては悪夢のような試合になった。これで5連敗。5節の大分戦(A)は2対6で大敗したが、後半のスコアは2対1で上回った(※ 前半のスコアは0対5)。6節のC大阪戦(H)は助っ人コンビにゴールを許したが、内容的にはFC岐阜の方が良かった。4連敗中とは言っても、チーム状態は上向きだったので、アウェイで東京Vに勝利していると「トンネル脱出」と言えたが、またトンネルに迷い込んでしまった。
「3点をリードしていたチームが約10分間で4ゴールを奪われて逆転で敗れる。」というのは普通のことではない。何かしらの理由はあるはずである。ただ、退場者が出たわけでもなくて、FC岐阜の交代選手がどうしようもなく機能しなかったわけでもない。後半21分にハットトリックのFW難波を下げた采配は少し話題になったが、大量リードした試合の後半にフレッシュな選手を投入するのは普通にあり得ることである。
試合の終盤になって極端にFC岐阜の選手の動きが落ちたわけでもなかった。「後半の立ち上がりから攻め込まれた。波状攻撃がジャブになってついに耐え切れなくなって試合の終盤に連続失点する。」というケースは稀にあるが、先のとおり、後半39分にFW平本のゴールが決まるまでの時間帯も東京Vが攻め込んでいたわけではなかった。「体力面や精神面で限界を超えた。」というのも考えにくい。
ということで、「0対3と状況から試合の終盤に東京Vが4連続ゴールを奪って勝利する。」というイメージは全く持てない展開だったので、本当に不可思議な大逆転劇だったと言える。「勝負事に絶対はない。」と言われるが、当事者である東京VやFC岐阜の選手だけでなく、その他のJリーグのチームもこの試合のことはしっかりと覚えておいて教訓として生かさなければならないだろうと思う。
■ ジャッジに過剰反応したラモス監督「伏線なき大逆転劇」と言えるが、個人的にちょっと気になったのは前半の中盤あたりからFC岐阜のラモス監督が西村主審のジャッジに対して執拗にクレームを付けていたことである。もちろん、いくつかはFC岐阜にとって納得しがたいジャッジがあったと思うが、前半に関しては(FC岐阜側が不利となるような)重大なジャッジを下す局面はなかったので、ラモス監督の抗議は過剰反応のように思えた。
流れが悪いときに監督が(敢えて)レフェリーにクレームを付けて選手を鼓舞しようとするケースはあるが、前半のFC岐阜は内容も結果も完璧に近かった。わざわざ空気を悪くする必要は全くなかった。選手たちは極限状態でプレーしているので、監督がレフェリーに猛烈に抗議している姿を見ると、(実際にはそうでなかったとしても、)「自分たちが不利なジャッジを受けている。」と錯覚してしまう。
試合の終盤には「DF岡根のファール」、「ファールスロー」、「MFヘニキのハンド」と連続してFC岐阜側が文句を言いたくなるような判定が続いた。ファールスローは正しい判定だったが、その他の2つは微妙なシーンで、「プレー続行」でもおかしくなかったと思うが、これらの判定に対してFC岐阜側は過剰反応してしまった。余裕のある展開だったにもかかわらず、自分たちで試合を難しくしてしまったのは残念だった。
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