■ 名門復活のシーズンジュビロ磐田はJ1に復帰して2年目のシーズンとなるが18節を終えた時点で9勝5敗4分けで勝ち点「31」。7位と好位置に付けている。1試合消化の多い首位のC大阪との差は「10」。差は大きいが2位の鹿島との差は「6」のみ。ACLの出場権争いに絡んでいる。多くのファンを魅了した黄金時代が終焉した後、長い間、低迷していたが、11年ぶりに5連勝を達成するなど「名門復活」を印象付けるシーズンになっている。
18試合で25得点/15失点。得点数はJ1で7番目。まずまずの数字を残しているが、際立つのは失点の少なさである。15失点というのは横浜FMと並んでリーグ最少。2016年は34試合で50失点。J1でワースト5位だったので様変わりしている。守備の要であるDF大井の頑張りが今シーズンは目立っており、守護神のGKカミンスキーの活躍も目立っているが、ウズベキスタン代表のMFムサエフの加入が何よりも大きかった。
183センチ/75キロという恵まれた体格で攻守両面でチームに貢献できるタイプである。フィルター役になることが出来るボランチを必要としていた磐田にとって理想的な選手を補強することが出来た。GKカミンスキーはポーランド出身で、昨シーズンまで在籍したFWジェイはイングランド出身で、MFムサエフはウズベキスタン出身。ブラジルや韓国以外の国にもアンテナを張り巡らせて優秀な選手を獲得できている。
■ 早くもソールドアウトが7回「いつ以来なのか?」と思うほど久しぶりに上位争いに絡んでいるのでサポーターの期待は高まる一方であるが、今シーズンの磐田は観客動員の面でも素晴らしい数字を残している。平均すると16,737人。これはJ1で10番目。リーグ平均が18,891人なので「アベレージよりも下」になるが、ホーム戦9試合のうち、7度もソールドアウト。「磐田のホーム戦のチケットはプラチナ化している。」と言っても過言ではない。
表1が今シーズンの磐田のホーム戦の観客動員数を示している。エコパ開催となった5節の清水戦(H)で数字を荒稼ぎしているのは確かであるが、ヤマハスタジアムの試合でも7節の鳥栖戦(H)を除くとすべての試合で14,000人前後。ヤマハスタジアムの大規模な改修工事が行われた2013年の夏以降の最多入場者数が2016年7月17日(日)の川崎F戦(H)の14,837人。おおよその集客率を計算すると95%くらいになる。
2013年以来なので相当に久々だった5節の静岡ダービー(vs 清水戦)はエコパスタジアムで開催されて入場者数は40,491人。これは磐田のホーム戦としては2001年の静岡ダービーの43,506人に次いでクラブ史上2番目の多さだった。C大阪や柏の快進撃の陰に隠れてしまっているが地元では相当な「ジュビロフィーバー」が起こっているようだ。優勝争いに絡みつつある状況なのでこの盛況ぶりは当分の間は続くだろう。
表1. ジュビロ磐田のホーム戦の観客動員数 (2017年)
節 | 開催日 | ホーム | スコア | アウェイ | 会場 | 人数 |
2節 | 03/04(土) | 磐田 | 0-1 | 仙台 | ヤマハ | 14,554 |
5節 | 04/01(土) | 磐田 | 3-1 | 清水 | エコパ | 40,491 |
7節 | 04/16(日) | 磐田 | 2-1 | 鳥栖 | ヤマハ | 11,910 |
9節 | 04/30(日) | 磐田 | 2-2 | 札幌 | ヤマハ | 14,495 |
11節 | 05/14(日) | 磐田 | 0-2 | 川崎F | ヤマハ | 13,782 |
12節 | 05/20(土) | 磐田 | 0-2 | 柏 | ヤマハ | 13,470 |
14節 | 06/04(日) | 磐田 | 3-0 | G大阪 | ヤマハ | 13,953 |
16節 | 06/25(日) | 磐田 | 2-0 | FC東京 | ヤマハ | 13,816 |
18節 | 07/08(土) | 磐田 | 1-0 | 甲府 | ヤマハ | 14,159 |
■ これ以上は数字が伸びないのは勿体ない・・・。ホーム戦の平均入場者数は初のJ2降格となった2013年は10,895人。「1年でのJ1復帰」に失敗した2014年は8,774人。クラブワーストを記録したが自動昇格を果たした2015年は10,041人。J1復帰1年目の2015年が14,611人で、今シーズンは16,737人。ヤマハスタジアムのキャパシティの問題があるので「(エコパ開催を増やさない限りは)これ以上は数字が伸びない。」というのが勿体なく感じるほどの賑わいである。
チームが絶好調で、黄金時代の主役だった元日本代表のスター選手がチームに復帰して監督を任されているという点も観客動員数の増加につながっているはず。MF川辺やFW川又といった日本人選手の活躍も人気回復の大きな理由の1つだと思うが、やはり、MF中村俊である。ここに来て5連勝中。一気に浮上してきたが中位あたりで苦しんでいた時期もヤマハスタジアムでの試合はソールドアウトが続いた。
スペインのエスパニョールから横浜FMに復帰した2010年も横浜FMのホーム戦の観客動員数の激増に大きく貢献したが「集客力」という意味では現役のJリーガーの中では頭1つ抜け出ている。幸いなことに横浜FMも好調。観客動員数は2016年と比較して+1,300人ほどアップしている。MF中村俊の電撃移籍はオフ期間中に大きな話題になったがどちらのチームも非常にいい流れでシーズンを戦うことが出来ている。
ランク | クラブ名 | 増減 | 2016年 | 2017年 |
1 | 浦和 | -2,040 | 36,935 | 34,895 |
2 | FC東京 | 4,373 | 24,037 | 28,410 |
3 | 横浜FM | 1,325 | 24,004 | 25,329 |
4 | 新潟 | 2,473 | 21,181 | 23,654 |
5 | G大阪 | -2,711 | 25,342 | 22,631 |
6 | C大阪 | 9,596 | 12,509 | 22,105 |
7 | 川崎F | -962 | 22,136 | 21,174 |
8 | 神戸 | 2,889 | 17,018 | 19,907 |
9 | 鹿島 | -990 | 19,103 | 18,113 |
10 | 磐田 | 2,126 | 14,611 | 16,737 |
11 | 札幌 | 1,903 | 14,559 | 16,462 |
12 | 清水 | 3,567 | 11,274 | 14,841 |
13 | 仙台 | -788 | 15,467 | 14,679 |
14 | 鳥栖 | 1,106 | 12,636 | 13,742 |
15 | 広島 | -1,933 | 15,464 | 13,531 |
16 | 柏 | 1,037 | 10,728 | 11,765 |
17 | 大宮 | -387 | 11,814 | 11,427 |
18 | 甲府 | -278 | 10,833 | 10,555 |
| J1平均 | 923 | 17,968 | 18,891 |
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