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【J2】 2017年シーズン全22クラブの戦力分析 (ツエーゲン金沢・名古屋グランパス・FC岐阜編) | | |　

ツエーゲン金沢　D-

→　栃木SCとの入替戦を制して辛うじてJ2に踏みとどまった金沢は柳下監督を招聘した。J3からの昇格チームがJ1経験の豊富な大分であることも絡んで現時点での金沢は「降格候補の1つ」に挙げられている。とりあえずとして「J2に残留すること」が一番の目標となるが磐田や新潟などで実績を積み上げた柳下監督がやって来るので侮りがたいチームになる可能性は高い。要注目チームの1つに挙げられる。

オフの補強は成功したと言える。主力級の選手の退団は期限付き移籍だったMF熊谷アンドリュー(→千葉)くらい。他には怪我がちだったDF馬渡(→徳島)も抜けるが流出が最小限にとどまった一方でJ2残留に大きく貢献したMF秋葉とFW中美の引き留めに成功。さらにはJ2で実績十分のFW佐藤洸(長崎)の獲得に成功した。ボックス内で勝負できるストライカーが不足していたのでFW佐藤洸にかかる期待は大きい。

確実に即戦力となる新戦力はFW佐藤洸くらいであるが、DF石田崚(磐田)、FW垣田(鹿島)、MF宮崎幾(新潟)など年代別代表経験のある若手選手をJ1のクラブから借りることに成功した。柳下監督というと若手の力を引き出すことに長けた監督なので彼らがJ2で試合経験を積んでプロとして一人前になって金沢を助けることができると残留争いに巻き込まれずに済む可能性もある。彼らの成長は浮上のためには不可欠である。

新潟時代の柳下監督はハイプレスをかけて奪ったボールを素早く前に進めるサッカーで結果を残したシーズンがある。FW川又が大爆発した2013年が典型例と言えるが金沢でも最初の段階ではそういうサッカーを目指すのではないか？と考えられる。森下仁之監督時代はしっかりとブロックを作って守るやり方だったので様変わりする可能性がある。GK原田とGK白井の争いとなるキーパーが不安なポジションである。

名古屋グランパス　A-

→　DF闘莉王(→京都)、FW川又(→磐田)、MF永井謙(→FC東京)、DF矢野貴(→新潟)などがチームを離れたがFW佐藤寿(広島)、FW玉田(C大阪)、MF小林裕(新潟)、DFシャルリス(セアラー)など多くの実力者を加えることに成功した。メンバーは様変わりして2016年に一定以上の出場機会を得た選手でチームに残ったのはGK楢崎、DF古林、DF大武、DF高橋諒、MF田口、MF磯村、MF和泉、FWシモビッチくらいとなる。

これだけ多くの入れ替えがあって、かつ、風間監督という独特なサッカー感を持つ監督が新たに就任したのでチームが出来上がるまでに時間がかかるのは仕方がないところである。川崎Fのときも風間サッカーが浸透するまでに1年半ほどかかっているので序盤で躓く可能性は低くないが選手の質と量でJ2屈指のチームであることは間違いないところである。当然のことながら、自動昇格の有力候補の1つに挙げられる。

攻守の軸であるMF田口がチームに残ったのは非常に大きい。新加入のFW玉田(C大阪)、MF小林裕(新潟)、MF宮原(広島)、MF八反田(大分)あたりは風間監督のサッカーとの相性は良いはず。その一方で移籍市場の序盤戦は流出が目立ったので新加入選手の中には「風間監督のサッカーには合わないのでは？」と思える選手も何人か含まれる。ストライカーが多すぎる点も含めてチームバランス的にはあまり良くない。

最も気になるのは風間サッカーには不可欠である隙間でボールを受けてチャンスを演出できるタイプが不足している点である。パスの出し手となる選手はMF田口、MF小林裕、MF宮原、DF内田健などがいるので問題にはならないと思うが、パスの受け手となる選手が不足している。2014年以来の復帰となるベテランのFW玉田、大卒2年目で飛躍が期待されるMF和泉の2人が新生・名古屋のキーマンになるのではないか。

FC岐阜　D+

→　2011年以降では20位(=最下位)→21位(=ブービー)→21位(=ブービー)→17位→20位→20位という成績でありながらJ2に生き残って来たFC岐阜。「残留のスペシャリスト」という有り難くない称号を得ているが今オフは大木監督の招聘に成功した。甲府や京都では独特のパスサッカーで存在感を発揮してきた指導者である。近年、チームカラーが見えにくかったFC岐阜が大きく生まれ変わる可能性は高い。

FWレオ・ミネイロ(→アトレチコ・パラナエンセ)、FWエヴァンドロ(→未定)、MF高地(→未定)、DF益山(→引退)、MF水野泰(→藤枝)、DF岡根(→SC相模原)、DF野垣内(→未定)などが退団。選手層が薄くなっている点は気がかりであるが、MF庄司(山口)、MFヘニキ(ボタフォゴ)、MFシシーニョ(ヴェリア)、GKビクトル(セントラ・ダスポルツ・ルスピタレート)とセンターラインの軸になれる選手の獲得に成功した。

他にはMF野澤(FC東京)、MF永島(京都)、DF福村(清水)をいずれも期限付き移籍で獲得しているが3人とも大木監督のサッカーに合いそうなプレースタイルである。なかなかいい補強ができていると言える。山口で大きな存在感を示したMF庄司がチームの中心になる可能性が高いがJ2屈指のゲームメーカーが移籍先にFC岐阜を選択するとは想像できなかった。今オフに起こった最大級のサプライズ移籍と言える。

名古屋と同様で結果が出始めるまでに少し時間がかかると思うが大木監督のサッカーが浸透してくると非常に面白いことになるだろう。期待したいのはスペイン出身のGKビクトル。スペイン国内で実績を残してきた選手ではないが191センチの長身。動画を見る限りではハイボールの処理が安定していて右足のロングキックは正確。2016年はキーパーで大いに苦労したチームなので大きな戦力になる可能性がある。

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