■ はじめてのスタジアム①アジアカップの日本代表の試合をテレビで観戦して、「一度、サッカーの試合を生で観てみたい。」と思われた方がいるかもしれない。となると、Jリーグである。
南アフリカW杯のベスト16、アジア大会の金メダル、アジアカップの優勝と、最近は「いいことずくめ」の日本サッカー界に見えるが、一方で、Jリーグのクラブは不況の影響もあって、苦しい経営を強いられている。
全ては「お金がないこと」が原因である。まだ十分に戦力になりそうな選手の戦力外通告や引退の話も増えてきている。この先も代表チームの好成績を期待するならば、Jリーグの活性化は不可欠であり、一般人ができることというと、「スタジアムに通って選手たちに声援をおくること」である。それが、選手のモチベーションアップやレベルアップにもつながるし、クラブの財布を潤わせることにもつながっていく。ひいては日本サッカー界の発展にもつながっていく。
テレビの前であれば、「プレミア」も、「リーガ」も、「Jリーグ」も同じで、「それならばレベルの高い方を観よう。」と考えるのも理解できるが、目の前で見るには、「Jリーグ」が一番、都合がいい。わざわざ、はじめてのサッカー観戦のために、飛行機に乗って、ヨーロッパや南米に旅立つのはリスクが高い。いうことでJリーグなのである。
■ はじめてのスタジアム②何ごとも「はじめてのとき」は、ちょっとした勇気が必要となるが、初めての人を悩ませてしまうのが、
① どの試合を観に行ったらいいのか分からない。
② どの席で観たらいいのか分からない。
③ どんな格好でいけばいいのか分からない。
という3点である。
① どの試合を観に行ったらいいのか分からない。 → もし「応援しているクラブ」や「気になるクラブ」があれば、そのクラブの試合を観に行くのがベストである。また、「応援している選手」や「気になる選手」がいる場合も同様である。
問題は、そこまでの「お気に入り」がない場合である。こういうときは、地元(≒近く)のクラブの試合を観に行くのがベターである。「でも、あのクラブは、日本代表選手もいないし、選手もよく分かんない。」というときでも、不思議なことに、何度かスタジアムに通っているうちに、チームや選手に「愛着」が出てくるものである。
ちなみに、試合を観に行って、相手チームの方に興味を持ってしまうこともある。それはそれで仕方がない。ただ、その後、かなりの不都合が生じてしまう。例えば、普通の生活をして限り、関西では、ガンバ大阪やセレッソ大阪の情報をキャッチするのも難しいが、これが、コンサドーレ札幌やロアッソ熊本となると、なおさらである。
お気に入り候補のクラブが決まったら、次に考えるのは、対戦相手のクラブのことである。
もちろん、日程表と相談することになるが、J2のクラブの試合を観に行くと決めた場合、FC東京戦だけは避けたいところ。アジアカップの日本代表であるDF今野泰幸、GK権田修一を筆頭に、FW平山相太、MF石川直宏らスター選手も多く、「あー、知っている選手だ。」と試合前は楽しい気分になるが、「お気に入り候補のクラブ」が撲殺される危険がある。初めて観に行った試合であっても、応援したチームが、0対4とか、0対5とか、悲惨なスコアで負けることは、よほどの「M」でない限り、つらいものである。
もっとも盛り上がるのは、「ホームチームのゴールシーン」と「勝利の瞬間」である。したがって、同等以下のレベルで「勝てそうな相手」を選ぶのが無難である。狙い目は昇格組であるが、万一、昇格組に負けるようなことがあると、スタジアムは殺伐とするので、多少のリスクはある。
また、お客さんの入りにも注意したい。超満員のスタジアムは、盛り上がりも凄くて、楽しい気分になるが、一方で、自由が利かなくなる。指定席の場合は問題ないが、自由席を選んだ場合、試合開始の数時間前から並んでいい席を確保する必要が出てくる。
イメージとしては、キャパシティの6割から7割を超えると、身動きを取るのが厳しくなる。よほどスリムな体型でない限り、隣りの席に誰か知らない人が座ると窮屈に感じてしまう。(座席の上に荷物を置くことは推奨されていないが、)荷物を置くスペースを確保するためにも、最初のうちは、混雑しそうなカードは避けた方がいい。
② どの席で観たらいいのか分からない。 → 初めてのときに「ゴール裏」に行くのはリスクが高いといえる。ゴール裏のチケットが一番、安い場合が多いが、よほどフレンドリーで活動的な性格でない限り、ゴール裏のテンションについていけなくなる。また、ゴールの真後ろから試合を見ることになるので、試合内容がよく分からないままで違和感を感じながら試合を観戦しなければならなくなる。
おススメは「バックスタンド」。フィールドの横から観ることができるため、テレビ画面と同じ感覚で観ることができるので、試合展開もわかりやすい。テレビでは見えない部分も感じることが出来るので、「生観戦の醍醐味」を知ることが出来るだろう。
「メインスタンド」も「バックスタンド」と、視点はあまり変わらないが、「メインスタンド」は指定席が中心で、「バックスタンド」は自由席であることが多いので、メインスタンドはやや高価になる。ただし、試合開始の直前にスタジアムに着いても大丈夫という安心感があって、スタジアムに着いてから「どの席に座ればいいのか?」と悩みたくない人は「メインスタンド」もおススメである。
「スタジアムに行くと応援を強要される。」と誤解されることもあるが、ゴール裏などの一部を除くと、応援するも、応援しないも、自由である。メインスタンドの指定席などは、声を張り上げるような応援は好まれないことが多い。もちろん、どんな席であっても、チャンスシーンなどは自然と大きな歓声が上がってくるので、いいシーンでは大声を出したい人も問題はない。
また、親子連れやカップルなど、グループでスタジアムに観戦に来ている人も多いが、一人で試合を観戦している人も意外なほど多い。2009年のデータでは、男性の21.0%、女性が5.1%が一人で試合を観戦しており、全体では14.7%となる。
ちなみに、ほとんどの場合、キックオフの2時間前に開門される。指定席であれば、試合開始直前にスタジアムに入っても問題ないが、サッカー観戦を楽しみ尽くすには、試合の1時間くらい前には席についておきたいところである。
③ どんな格好でいけばいいのか分からない。 → これも自由である。レプリカ・ユニフォームを着ている人は多いが、普通の服の人も多い。注意すべき点は、「相手チームのカラーの服は避けた方が無難」だということくらいで、例えば、相手が浦和レッズの場合、赤い服を着るのはトラブルの素なので、その点は考慮した方がいいが、それだけである。(とはいっても、それも「絶対にダメ」という訳でもなく、そこまで、誰も他人の服装を気にしていないというのが本当のところである。)
また、海外ではスタジアム内外で暴動が起きることがあるので、「サッカースタジアムは恐いところ」というイメージを持たれることもあるが、日本のサッカースタジアムは、いたって平和で、殺伐した雰囲気は全くない。もちろん、情けない試合をしたときはサポーターがブーイングを浴びせることもあるし、成績不振に抗議してサポーターが試合終了後もスタジアム居座ることがないわけではないが、年に数回程度であり、余計なことをしなければ、まずトラブルに巻き込まれることはない。
日本にはたくさんのサッカースタジアムがあるので、一様ではなくて、各スタジアムに特徴がある。例えば、鹿島スタジアムは「グルメスタジアム」と呼ばれていて、スタジアム・グルメが魅力である。また、名古屋グランパスの準ホームスタジアムである豊田スタジアムは、異常なほどのスタンドの「傾斜」が魅力であり、柏レイソルのホームである日立台や、セレッソ大阪のホームであるキンチョウスタジアムは、スタンドとピッチの近さに特徴がある。
排他的と思われることも多い各クラブのサポーター集団も、新規のサポーターがスタジアムにやってきて、スタンドを埋め尽くしてくれることを心底、望んでいる。もし、このエントリーを読んで、「Jリーグを観に行こう。」と思っていただけたら幸いです。
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