■ 負けられない・・・勝ち点「59」で4位の湘南ベルマーレ。2位のモンテディオ山形とは「9」、3位のベガルタ仙台とは「6」と追い詰められている。ここにきて広島、熊本、山形と対戦し、3連敗中。残りは4試合。もう全勝しか許されない。
ホームの湘南は<4-4-2>。GK金永基。DF山口、ジャーン、斉藤、鈴木伸。MF田村、坂本、加藤望、菊池。FW石原、原。MFアジエルが7月23日の愛媛FC戦以来のベンチ入り。FWトゥットはベンチスタートで出番を待つ。
一方の水戸は現在10位。<4-4-2>でGK本間。DF中村、平松、星野、小澤。MFビジュ、赤星、菊岡、鈴木良。FW荒田、西野。新人のFW荒田はここまで16ゴール。
■ 1対0の勝利試合は前半からほぼ互角の展開。湘南はMF菊池の突破から度々、チャンスを作る。一方の水戸は、MF赤星を中心とした中盤の構成力では湘南を上回り、FW荒田を軸に攻め込む。
0対0で折り返した後半11分。湘南はFWトゥットとMF永里を投入。結果的には、この交代が成功した。後半15分に、FWトゥットがFW石原とのワンツーから見事なシュートを決めて湘南が先制する。湘南は4試合ぶりのゴール。
水戸はMF金澤とMF堀のサイアタッカーを投入し、サイド攻撃に活路を見出そうとするが、湘南はMF田村、DFジャーン、DF斉藤の守備のトライアングルが中央を封じ、完封勝利。昇格争いにとどまった。
■ トゥットの決勝ゴール湘南のFWトゥットは2008年8月25日にチームに加入。途中、怪我で離脱した時期もあったが、全て途中出場で5試合に出場して4ゴール。
33節の草津戦は後半34分にダメ押しの4点目のゴール、34節の愛媛戦は後半29分に勝ち越しの直接FK、さらに、35節の横浜FC戦は後半18分に決勝のPK。わずか150分間の出場で4ゴールとこれ以上ないほど、効果的な活躍を見せている。
2000年のFC東京時代に魅せた縦への突破力が強烈な印象として脳裏に焼き付いているが、現在のFWトゥットは、そのころと比べると体が一回り大きくなっている。したがって、オーバーウェイト気味ではあるが、ストライカーとして熟成した感はある。ちょうど、名古屋時代のFWウェズレイと現在のFWウェズレイを比べると、プレースタイルのモデルチェンジがなされているように、FWトゥットもイメージチェンジが成された。
1人で何でも出来なくなった影響もあるのか、ワンタッチパスで味方を生かすプレーや、落ち着いたキープも効果的である。スタメン出場というのは難しいかもしれないが、スーパーサブとしては、これ以上ない働きを見せている。
■ 最終ラインを統率するジャーンこの試合の水戸の出来は悪くなかったが、DFジャーンを中心として湘南のディフェンスラインが踏ん張った。もともと、DFジャーンとDF斉藤のセンターバックコンビはJ2屈指の安定感を誇るが、この試合でも、水戸の新鋭FW荒田をノーゴールに抑えた。
もちろん、この2人のセンターバックコンビの前で、フォアリベロ的な役割をこなすMF田村の貢献度の高さは言うまでもない。この守備のトライアングルを打ち破るのは簡単では無い。
■ ようやく復帰のMFアジエル明るい話題といえるのがMFアジエルの復帰である。7月中の怪我で長期戦列を離れており、今シーズン絶望という報道もあったが、終盤に来て、エースの復帰は心強い。
試運転的な意味合いもあったこの試合でも、やはりMFアジエルにボールが集まってきて、存在感は大きい。MFアジエル不在の間にMF菊池大介が台頭したが、ややMF加藤望に疲れが見える現状。その起用方法にも注目が集まる。
■ 惜しいチャンス水戸は後半15分にFWトゥットにゴールを許したが、その直前に、MF赤星のミドルシュートのこぼれ球をFW西野がゴール前でドフリーの状態でシュートを放ったが、枠を大きく外れた。GKも倒れており、ディフェンスもいない状態で、ゴールまで3メートル程度。押し込むだけでよかったが、シュートは浮いてしまった。
サッカーではよくある現象であるが、この致命的なシュートミスが試合の行方を大きく変えてしまった。
■ 力を付ける水戸ただ、前述のように試合内容は互角だった。水戸にも勝利するチャンスはあったし、ドローに持ち込むことも可能な試合展開だった。
今シーズンのJ2は広島を除くと、仙台やC大阪、甲府といった昇格候補と言われたクラブが思うように勝ち点を伸ばすことが出来ていない。これらのクラブのチーム運営自体に問題があるのは事実であるが、一方で、下位クラブの頑張りも見逃せない。
昨シーズンまでで言うと、水戸、草津、徳島、愛媛といった新興クラブは、上位チームにとって確実に勝ち点3が計算出来る存在であったが、今シーズンは、昇格組の岐阜も熊本も含めて、どのクラブも簡単に敗退することは少なく、試合内容も向上している。
確かに、J1の上位クラブの試合だけを見ていると、日本サッカーが着実にレベルアップしているとは言い切れない状態かもしれない。が、J2の新興クラブの発展は、底辺拡大を目指すJリーグにとって、非常に望ましい傾向であると言える。
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