■ 国際親善試合の相手はオマーン11月15日(火)にアジア最終予選の5戦目のサウジアラビア戦(H)を控えたハリルJAPANは県立カシマサッカースタジアムでオマーンと対戦した。FIFAランキングは日本が51位で、オマーンは129位。W杯初出場を目指したオマーンは強豪のイランと同じD組に組み込まれたが4勝2敗2分けで2位となってアジア最終予選進出を逃した。イランとは0勝1敗1分けだったが、トルクメニスタンに1対2で敗れたのが痛恨だった。
日本は「4-2-3-1」。GK西川(浦和)。DF酒井宏(マルセイユ)、DF吉田(サウサンプトン)、DF丸山(FC東京)、DF酒井高(ハンブルガーSV)。MF山口蛍(C大阪)、MF永木(鹿島)、MF本田圭(ACミラン)、MF清武(セビージャ)、MF齋藤学(横浜FM)。FW大迫(ケルン)。1トップの位置にはFW大迫が起用された。1年5か月ぶりの代表戦となる。地元の鹿島での試合となるMF永木はこれが国際Aマッチデビュー戦となる。
ベンチスタートになったのはGK東口(G大阪)、GK川島(メス)、DF森重(FC東京)、DF植田直(鹿島)、DF槙野(浦和)、MF長谷部(フランクフルト)、MF小林祐(ヘーレンフェーン)、MF井手口(G大阪)、MF香川(ドルトムント)、MF原口(ヘルタ)、FW岡崎慎(レスター)、FW浅野拓(シュツットガルト)、FW久保裕(ヤングボーイズ)。DF長友(インテル)は体調不良のためベンチ外となった。20歳のMF井手口は初代表となる。
■ 4対0で勝利してサウジアラビア戦を迎える。序盤はやや硬さの見られた日本だったが徐々にペースをつかんでいく。前半19分にはMF本田圭のクロスからFW大迫がネットを揺らしたがオフサイドの判定でノーゴール。残念なシーンになったが、前半31分に左サイドに流れたMF清武のクロスからFW大迫がヘディングシュートを決めて先制に成功すると前半41分にはMF清武のパスを受けたFW大迫が右足で落ち着いて決めて2点目を奪った。前半は2対0で折り返す。
迎えた後半18分には途中投入されたばかりのMF浅野拓がエリア内で倒されてPKを獲得。これをMF清武が決めて3点目を奪った。MF清武は1ゴール2アシストの活躍だった。さらに後半49分には左サイドを突破したMF原口のクロスをきっかけに最後は途中出場のMF小林祐が利き足ではない右足でコース隅にシュートを決めてダメ押しの4点目のゴールを奪った。MF小林祐は国際Aマッチでの初ゴールとなった。
結局、4対0で日本が勝利。大事なサウジアラビア戦(H)に向けて弾みの付く勝利となった。待望論が出ていたFW大迫は2ゴールと文句なしの結果を残した。FW大迫はこれで国際Aマッチは通算5ゴール目。2013年11月16日に行われたオランダ戦以来なので約3年ぶりの代表戦でのゴールとなった。最近は1トップの位置が固定できていなかった日本にとってはFW大迫の2ゴールというのは嬉しいニュースと言える。
■ バランスの良かったWボランチ親善試合を行った後、W杯予選などの公式戦を戦うときは「木曜日に親善試合を行って、翌週の火曜日に公式戦を戦う。」というのがパターンになっている。移動や疲労のことを考えると中4日となる「木曜日→火曜日」が最もふさわしいと思われるが、今回はハリルホジッチ監督の要望もあって1日遅れの金曜日開催になった。初戦に向けた準備期間が一日長くなるというメリットがあるがまずまずの試合になった。
もちろん、対戦相手のオマーンはすでにロシアW杯出場の可能性がなくなっており、2022年のカタールW杯に向けて新しい体制でスタートを切ったチームである。2022年というとかなり先の話なのでそれほど力を入れて代表の強化を行っている時期ではないと思うので、そのあたりのところは割り引いて考える必要はあるが、新しい選手や復帰組を試すことが出来たという意味でも日本にとっては有意義な試合になった。
当然、(親善試合と言えども)勝ち負けにはこだわる必要がある。オマーンに負けてサウジアラビアに挑むということは絶対に避けなければいけない状況だったが、怪我やコンディションの問題が考慮されてこれまでの主力選手を半数ほど外して異なる選手を半数ほど起用した。UAE戦(H)で負けた後、ハリルホジッチ監督の立場がかなり危ういことを考えると大きな決断だったが、結果的には良かったと言える。
FW大迫とMF齋藤学とMF永木とDF丸山の4人はほとんど or 全くハリルJAPANではプレーしていない選手だったが、4人とも自分の良さを出すことが出来た。初出場のMF永木は立ち上がりは硬さが見られたが、前半の途中に相手選手の怪我が理由で試合が中断した時にハリルホジッチ監督から何かしらの指示を受けてその後から明らかに前に出ていく姿勢が強くなった。これ以降は積極的なプレーを見せた。
MF山口蛍とWボランチを組むことになったがなかなか面白かった。もちろん、パサーとしての能力はMF永木の方がやや上となるが、どちらの選手もオールラウンドな活躍が出来るボランチである。ボランチの系統としてはまあまあ似ているタイプとなるが、両者ともタイミングよく攻撃に参加して厚みを加えた。初出場ということでプレッシャーは大きかったと思うが、及第点以上の代表デビュー戦になったと言える。
■ 試合勘の問題を抱えていたMF清武だったが・・・。攻撃陣では1ゴール2アシストのMF清武が存在感を発揮した。右足のキックの精度が高くてセットプレーのときもいいボールを高確率で供給できていたが、MF清武がベンチに下がった後は攻撃の形を作れなくなったことを踏まえるとハリルJAPANに欠かせない選手になって来た。MF香川も怪我を抱えていて万全の状態ではないことを考えると今度のサウジアラビア戦(H)でMF清武が先発起用されるのは間違いないだろう。
ただし、セビージャで試合になかなか絡めていない影響は少なからずあった。3つのゴールに絡んだので難しい状況の中で明確な結果を残したことは高評価に値するが、コンディション的にはそれほど良くなかった。味方へのパスがずれるシーンやボールコントロールをミスする場面が少なくなかったが、ノーマルな状態のMF清武であればこういうミスはほとんどない。「試合勘の問題はあった。」と言える。
それでも時間が経つにつれてミスは減っていったので後半26分までプレーできたのは非常に良かったのではないか。試合勘の問題もコンディションの問題もオマーン戦をこなしたことで状況はかなり良くなるはずである。MF遠藤(G大阪)が代表から外れるようになった後はプレイスキッカーがなかなか見つからずに苦労しているところもあるのでMF清武にかかる期待は大きい。日本代表の中心になりつつあると言える。
■ 文句なしの活躍を見せたFW大迫その他ではやはり2ゴールを挙げたFW大迫の活躍が光った。前半19分にもMF本田圭のクロスからヘディングシュートでネットを揺らしたがリプレーを見る限りでは「オフサイドではなかった。」と思う。このシーンを含めてゴール前でいいポジションを取ってフィニッシュの仕事に絡む場面が多かった。持ち味の1つであるポストプレーの精度も高くて、「本格派のCFがようやくハリルJAPANに登場した。」と言える。
今シーズンはケルンでも好調。重要な選手になっているが、以前と比べると体が強くなった印象がある。もともとサイズに恵まれていて力強いプレーもできる選手だったが、今シーズンは特に力強さを感じるプレーが多くなっている。武器であるしなやかなプレーに加えて今シーズンのブンデスリーガでは力強いプレーでチャンスを作る場面が目立っている。外国人選手が相手でも負けない強さが身に付きつつある。
言うまでもなく、最近のハリルJAPANは1トップの位置を固定できずにいた。FW岡崎慎が1番手のCFと言えるが、FW浅野拓を起用した試合もあるし、FW金崎にチャンスを与えた試合もあるし、先の豪州戦(A)はMF本田圭を1トップの位置で起用した。FW武藤嘉やFWハーフナー・マイクを含めて候補はたくさんいるが決め手に欠ける状態だったので、万能型のCFであるFW大迫が最初の試合で結果を出したのは大きい。
近年はCFの選手に求められるものが多くなっている。点を取るだけでは認められない時代になっており、前線からの守備で貢献することも求められるし、前線で起点になることも期待される。スペースメイキングやセットプレーの守備での貢献も期待されるので、CFにとっては大変な時代になっているが、FW大迫は何でもできる選手である。1トップのレギュラーに定着してくれると日本代表にとってはありがたい。
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