攻撃的MF→ ボランチと同様で攻撃的MFも日本代表を支えてきた歴代のスター選手が目白押しである。もっと言うと(FW三浦知がKINGとして君臨していた時代は例外中の例外となるが)MF中田英やMF中村俊やMF本田圭やMF香川など攻撃的MFの選手が日本代表の顔であり、代表人気を支えてきた。世界と戦うときは「中盤が強み」となることも関係して彼らの出来・不出来は日本代表の勝敗に直結してきたとも言える。
ダイヤモンド型の中盤を組むことが多かったオフトJAPANのときはV川崎のMFラモス瑠偉、浦和のMF福田、磐田のMF吉田光、広島のMF森保の4人がレギュラーだったが、主にトップ下でプレーする10番のMFラモス瑠偉が攻撃の中心だった。右サイドのMF福田は突破力のある選手で、MF吉田光は技術が高くて気の効いたプレーもできた。他には清水のMF長谷川やV川崎のMF北澤などもオフト監督の信頼を得た。
後を継いだファルカン監督はMFラモス瑠偉などベテランは招集せず。急速な若返りを進めて清水のMF澤登、平塚のMF岩本輝、G大阪のMF山口敏などに注目。国際経験の乏しい若手が攻撃の中心を担うようになったが最大のヒットは横浜FのMF前園を代表に抜擢したこと。切れ味鋭いドリブルを武器に瞬く間に代表の攻撃の中心になった。1995年2月に行われたダイナスティーカップでの活躍が印象的。
加茂監督はJリーグで活躍し始めていた若手を積極的に招集した。磐田のMF藤田俊とMF名波、C大阪のMF森島あたりは加茂監督によって日本代表に抜擢された選手である。中でも注目と期待を一身に集めたのはMF名波。高度なテクニックと豊富なイマジネーションを持っており、早くから10番を与えられて攻撃の中心になることが期待された。MF中田英が台頭してきた後は2・5列目的なポジションを担った。
時代の寵児となって日本代表のエースになることが期待されたMF前園はアトランタ五輪の後、調子を崩して急速に存在感を失っていった。代わって日本代表に招集されたのは弟分とも言えたMF中田英。1997年5月の日韓戦で代表デビューを飾るとあっさりと日本代表の攻撃の中心におさまった。その年の秋に行われたアジア最終予選でも活躍。わずか20歳の若者が国民的なヒーローであり、サッカー界の象徴となった。
フランスW杯の後、ペルージャに移籍したMF中田英は1年目からセリエAで10ゴールを挙げる活躍を見せた。日本にとどまらない世界クラスの選手と評価されるようになった。当時、海外でプレーする選手はほぼいなかったこともあって思うようにMF中田英を日本代表に招集できなかったがMF小野伸やMF中村俊やMF小笠原やMF本山など次代を担う若手が次々に台頭。10番タイプに逸材が集中した華やかな時代だった。
「彼らをどのようにして共存させるのか?」が注目点となったが、MF小野伸やMF中村俊を左WBに置くことでMF中田英と同時にピッチに立たせることが可能になった。他には豊富な運動量をベースに攻撃のアクセントになったC大阪のMF森島も代表に定着。日韓W杯のGLの3戦目のチュニジア戦での先制ゴールは彼の代表的なゴールと言える。2000年のアジアカップでは欠場したMF中田英に代わってトップ下で躍動した。
日韓W杯の後、監督に就任したジーコ監督はまだ20代前半から中盤だったMF中田英らの能力を最大限に生かすようなチームを作ることが求められたが思うようにチーム作りははかどらなかった。黄金世代と比較されて「谷間の世代」と言われていたアテネ世代ではC大阪のMF大久保、京都のMF松井大、FC東京のMF石川直に大きな期待が集まったが若手の突き上げは限定的。停滞感を感じずにはいられない4年間となった。
ドイツW杯の後、バトンを受けたオシム監督は欧州組やスター選手に頼らないチームを作ろうとした。そんな中で重宝されたのはジェフ時代の教え子であるMF羽生。日韓W杯やドイツW杯を経験した名前のある選手を招集せずに一般的にはあまり知られていなかったMF羽生などを日本代表に招集したことは一部のサポーターから大きな批判を浴びたが、次第にMF中村俊など経験のある選手も日本代表に加わっていった。
第2次岡田JAPANのときはセルティックでプレーしていたMF中村俊が中心になった。MF中田英がドイツW杯の後、電撃的に代表を引退したこともあって彼の時代がやってきたが、ドイツW杯から南アフリカW杯までの4年間は海外組が激減。代表人気やサッカー人気は低迷した。ただ、そういう中、岡田監督は積極的に若手を抜擢。MF本田圭、MF香川、MF乾あたりは岡田JAPANのときに代表デビューを飾っている。
迎えた南アフリカW杯のときはJ2でゴールを量産していた21歳のMF香川の招集を期待する声は多かったが落選。最終的にはMF中村俊もレギュラーから外れて左右のサイドハーフにMF松井大とMF大久保を起用したが、彼らの献身的なプレーは南アフリカW杯でのベスト16につながった。救世主となったMF本田圭は南アフリカW杯のときは1トップで起用されたが、最前線で体を張ったプレーでチームに大きく貢献した。
ザッケローニ監督が就任するとドルトムントで目覚ましい活躍を見せていたMF香川がレギュラーに定着。MF本田圭がトップ下、MF香川は左サイドで起用された。そして、岡田JAPANのときはフォワードでプレーすることが多かったMF岡崎慎を右サイドで起用。MF本田圭とMF岡崎慎とMF香川の2列目トリオは日本代表の大きな武器となった。海外組の活躍と2011年のアジアカップ優勝も絡んで代表人気は沸騰した。
ザッケローニ監督はこの3人を全面的に信頼したがサブにはC大阪やニュルンベルクで活躍したロンドン世代のMF清武が定着。ブンデスリーガでも存在感を発揮するなど日本サッカー界を代表する選手の1人に急成長した。アギーレJAPANになってからはFW岡崎慎がCFでプレーするようになったのでFC東京のMF武藤嘉が左サイドのレギュラーに定着。スピード溢れる突破でニュースター誕生を予感させた。
2015年3月に監督に就任したハリルホジッチ監督は「待望論」が根強かった日本サッカー界の至宝のMF宇佐美をついに代表に招集。守備面など弱点もあるが辛抱して使い続けている。他にはヘルタ・ベルリンでポジションを確保したMF原口が代表に定着。リオ世代のMF南野も何度か日本代表に招集されるなど次の世代を担う選手も次々に出てきている。攻撃的MFのポジション争いはとにかく熾烈を極める。
名前 | キャップ数 | ゴール数 | 時期 | 基本ポジション |
岡崎慎司 | 100 | 48 | 2008.10.09-2016.03.29 | FW、攻撃的MF |
中村俊輔 | 98 | 24 | 2000.02.13-2010.06.19 | 攻撃的MF、左WB |
本田圭佑 | 80 | 34 | 2008.06.22-2016.03.29 | 攻撃的MF、FW |
香川真司 | 79 | 25 | 2008.05.24-2016.03.29 | 攻撃的MF |
中田英寿 | 77 | 11 | 1997.05.21-2006.06.22 | 攻撃的MF、ボランチ |
森島寛晃 | 64 | 12 | 1995.05.21-2002.06.18 | 攻撃的MF |
大久保嘉人 | 60 | 6 | 2003.05.31-2014.06.24 | FW、攻撃的MF |
北澤豪 | 58 | 3 | 1991.06.02-1999.06.06 | 攻撃的MF、ボランチ |
小野伸二 | 56 | 6 | 1998.04.01-2008.08.20 | 攻撃的MF、左WB、ボランチ |
小笠原満男 | 55 | 7 | 2002.03.21-2010.02.11 | 攻撃的MF |
福田正博 | 45 | 9 | 1990.07.27-1995.10.28 | FW、攻撃的MF |
吉田光範 | 35 | 2 | 1988.06.02-1993.10.28 | 攻撃的MF、ボランチ |
清武弘嗣 | 35 | 2 | 2011.08.10-2016.03.29 | 攻撃的MF |
ラモス瑠偉 | 32 | 1 | 1990.09.26-1995.08.09 | 攻撃的MF |
松井大輔 | 31 | 1 | 2003.06.22-2011.01.13 | 攻撃的MF |
本山雅志 | 28 | 0 | 2000.06.18-2006.02.18 | 攻撃的MF |
長谷川健太 | 27 | 4 | 1989.01.20-1995.02.26 | FW、攻撃的MF |
奥大介 | 26 | 2 | 1998.10.28-2004.02.07 | 攻撃的MF |
藤田俊哉 | 24 | 3 | 1995.02.15-2005.01.29 | 攻撃的MF |
前園真聖 | 19 | 4 | 1994.05.22-1997.03.15 | 攻撃的MF |
乾貴士 | 19 | 2 | 2009.01.20-2015.03.31 | 攻撃的MF |
武藤嘉紀 | 18 | 2 | 2014.09.05-2015.11.12 | FW、攻撃的MF |
羽生直剛 | 17 | 0 | 2006.08.16-2008.02.20 | 攻撃的MF |
澤登正朗 | 16 | 3 | 1993.04.08-2000.02.20 | 攻撃的MF |
田中達也 | 16 | 3 | 2005.07.31-2009.03.28 | FW、攻撃的MF |
平野孝 | 15 | 4 | 1997.06.08-2000.02.20 | 攻撃的MF |
宇佐美貴史 | 14 | 2 | 2015.03.27-2016.03.29 | 攻撃的MF |
山瀬功治 | 13 | 5 | 2006.08.09-2010.04.07 | 攻撃的MF |
藤本淳吾 | 13 | 1 | 2007.03.24-2012.08.15 | 攻撃的MF |
原口元気 | 13 | 2 | 2011.10.07-2016.03.29 | 攻撃的MF |
岩本輝雄 | 9 | 2 | 1994.05.22-1994.10.11 | 左SB、攻撃的MF |
金崎夢生 | 8 | 2 | 2009.01.20-2016.03.29 | 攻撃的MF、FW |
柏木陽介 | 8 | 0 | 2010.01.06-2016.03.24 | 攻撃的MF、ボランチ |
石川直宏 | 6 | 0 | 2003.12.07-2012.02.24 | 攻撃的MF |
永井謙佑 | 6 | 0 | 2010.01.06-2015.08.09 | FW、攻撃的MF |
西紀寛 | 5 | 0 | 2004.04.25-2004.08.03 | 攻撃的MF |
齋藤学 | 5 | 1 | 2013.07.21-2014.06.06 | 攻撃的MF |
1位 : MF 中田英寿 (ベルマーレ平塚など)
2位 : MF 本田圭佑 (ACミランなど)
3位 : MF 中村俊輔 (横浜Fマリノスなど)
4位 : FW 岡崎慎司 (シュツットガルトなど)
5位 : MF 香川真司 (ドルトムントなど)
→ 1位はMF中田英で決まり。28年ぶりの五輪出場、初のW杯出場など先駆者として日本サッカー界の道を切り開いてきた功績はあまりにも大きい。2位はMF中村俊とMF本田圭の争いになるがW杯での活躍度を考慮するとMF本田圭がやや上か。3位はMF中村俊、4位はMF岡崎慎とするが2位から4位の並びに関してはいろいろな意見が出てくるだろう。5位はMFラモス瑠偉やMF森島を押さえてMF香川を選ぶのが妥当か。
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