■ 1stステージは3位だった広島9回目で取り上げるのはサンフレッチェ広島。オフにMF石原直とMF高萩が抜けたため「戦力ダウン」を心配する声が多かったが、MF柴崎晃とMFドウグラスが2列目に定着。五輪代表でも主力になりつつあるFW浅野拓やMF野津田らも途中出場で結果を出しているので、2シャドーのポジションが2つとも空いたことがチームを活性化させた部分もある。1stステージは10勝3敗4分けで3位と素晴らしい成績を残した。
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【J1】 全18クラブの走行距離とスプリント回数をまとめてみた。(ベガルタ仙台編)ただ、走行距離やスプリント回数の数値はあまり良くないようだ。表1は各試合の走行距離とスプリント回数を示しているが、どちらの数値もほとんど全ての試合で相手チームに劣っている。1stステージの16節終了時点で走行距離は2勝14敗で、スプリント回数は1勝15敗。MFミキッチやMF柏やFW浅野拓など走力のある選手が多いチームなのでこの成績というのはかなりの驚きで、意外な数字が出ていると言える。
ちなみにここまでのJ1の144試合の中で走行距離で相手チームを上回ったチームの成績は51勝57敗36分けで、スプリント回数が相手チームを上回ったチームの成績は54勝53敗36分けで、2つの数字とも相手を上回ったチームの成績は38勝41敗28分け。したがって、走行距離やスプリント回数で相手チームを上回ったとしても試合で勝利する確率が高くなるのか?というと微妙なところで、広島は典型的な例と言える。
表1. 試合ごとの走行距離とスプリント回数 (1節から16節まで)
節 | 戦績 | 走行距離(キロ) | スプリント回数 |
勝敗 | スコア | 対戦相手 | 比較 | 自チーム | 相手チーム | 差 | 比較 | 自チーム | 相手チーム | 差 |
1 | ○ | 2対0 | 甲府 | × | 113.45 | 114.03 | -0.58 | × | 130 | 143 | -13 |
2 | ○ | 2対1 | 松本山雅 | × | 110.76 | 115.28 | -4.52 | × | 130 | 141 | -11 |
3 | △ | 0対0 | 浦和 | × | 108.22 | 109.22 | -1.00 | × | 154 | 174 | -20 |
4 | × | 0対1 | 神戸 | × | 113.60 | 116.40 | -2.80 | × | 143 | 162 | -19 |
5 | × | 0対2 | 名古屋 | ○ | 109.56 | 108.88 | 0.68 | × | 175 | 196 | -21 |
6 | ○ | 2対1 | FC東京 | × | 117.84 | 118.04 | -0.20 | × | 144 | 170 | -26 |
7 | ○ | 2対0 | 清水 | × | 112.43 | 115.99 | -3.56 | × | 134 | 186 | -52 |
8 | ○ | 2対1 | 横浜FM | × | 116.65 | 119.19 | -2.54 | ○ | 149 | 136 | 13 |
9 | ○ | 2対0 | 仙台 | × | 110.67 | 114.62 | -3.95 | × | 109 | 122 | -13 |
10 | ○ | 1対0 | 川崎F | × | 109.38 | 109.43 | -0.05 | × | 105 | 120 | -15 |
11 | × | 0対1 | G大阪 | × | 115.01 | 116.15 | -1.14 | × | 137 | 181 | -44 |
12 | △ | 2対2 | 鹿島 | × | 111.33 | 111.60 | -0.27 | × | 140 | 151 | -11 |
13 | ○ | 4対2 | 新潟 | ○ | 116.68 | 116.39 | 0.29 | × | 177 | 198 | -21 |
14 | △ | 0対0 | 湘南 | × | 111.18 | 118.42 | -7.24 | × | 133 | 196 | -63 |
15 | ○ | 3対2 | 柏 | × | 112.48 | 114.17 | -1.69 | × | 119 | 140 | -21 |
16 | ○ | 5対1 | 山形 | × | 111.98 | 117.82 | -5.84 | × | 141 | 156 | -15 |
17 | | | 鳥栖 | | | | | | | | |
| | | | | 112.58 | 114.73 | -2.15 | | 138.75 | 160.75 | -22.00 |
表2は1試合における走行距離のチーム内ベスト20を示している。このとおりでハリルジャパンに召集された経験のあるMF青山敏が目立つ。11回もランクインしており、「かなり凄い。」と言える12キロを超えたのがすでに6試合もある。チーム全体の走行距離はリーグでも下のレベルになるが、日本代表のMF青山敏の走行距離はJ1の中でも屈指。ほとんどの試合でチーム1位の走行距離を記録している。
他にはMF柴崎晃が5回ランクインしている。シーズン途中にシャドーの位置でレギュラーポジションを獲得。ゴールやアシストといった目に見える数字も残しているが、走力でもチームに貢献している。12キロを超えた試合があるのはMF青山敏とMFドウグラスとMF野津田の3人。五輪代表のMF野津田はなかなか長い時間プレーする機会が与えられないが、運動量の多い選手であることが数字からもよく分かる。
表2.個人別の走行距離のランキング (1位から20位まで)
ランク | 名前 | 節 | 対戦相手 | PT(分) | 走行距離(キロ) | SP回数 |
1 | 青山敏弘 | 6 | FC東京 | 90 | 12.49 | 6 |
2 | 青山敏弘 | 15 | 柏 | 90 | 12.35 | 6 |
3 | ドウグラス | 6 | FC東京 | 90 | 12.26 | 20 |
4 | 青山敏弘 | 8 | 横浜FM | 90 | 12.19 | 8 |
5 | 青山敏弘 | 12 | 鹿島 | 90 | 12.18 | 15 |
5 | 青山敏弘 | 4 | 神戸 | 90 | 12.18 | 8 |
7 | 青山敏弘 | 11 | G大阪 | 90 | 12.11 | 6 |
8 | 野津田岳人 | 9 | 仙台 | 90 | 12.07 | 22 |
9 | 柴﨑晃誠 | 13 | 新潟 | 90 | 11.98 | 15 |
10 | 青山敏弘 | 1 | 甲府 | 90 | 11.97 | 3 |
11 | 柴﨑晃誠 | 7 | 清水 | 90 | 11.94 | 9 |
11 | 青山敏弘 | 5 | 名古屋 | 90 | 11.94 | 8 |
13 | ミキッチ | 15 | 柏 | 89 | 11.90 | 30 |
14 | 青山敏弘 | 16 | 山形 | 90 | 11.79 | 4 |
15 | ドウグラス | 4 | 神戸 | 90 | 11.78 | 15 |
16 | 青山敏弘 | 10 | 川崎F | 90 | 11.74 | 5 |
17 | 青山敏弘 | 7 | 清水 | 90 | 11.72 | 1 |
18 | 柴﨑晃誠 | 15 | 柏 | 90 | 11.71 | 8 |
19 | 柴﨑晃誠 | 8 | 横浜FM | 90 | 11.69 | 8 |
20 | 柴﨑晃誠 | 6 | FC東京 | 90 | 11.63 | 16 |
今度は1試合のスプリント回数の上位20位までを示している。ここで目立つのは右SBのMFミキッチと左WBのMF柏の2人。MF柏は10回、MFミキッチは8回も顔を出している。MF柏は30回を超えた試合がすでに4回。ドリブルもできて、クロスを上げる回数も多くて、運動量も多くて、スプリントもできる選手。Jリーグの中では明らかに過小評価されている選手の1人と言えるだろう。広島に欠かせない選手となった。
五輪代表のFW浅野拓もスプリント回数の多い選手である。スタメン出場する試合が少ないので「1試合のスプリント回数」の数字は伸びてこないが、スタメンでほぼフル出場した2節の松本山雅戦(A)は32回。5節の名古屋戦(A)では途中出場で途中交代ながら23回と脅威的な数字を叩きだしている。スプリント回数の上位20位に入って来たのはMFミキッチとMF柏とFW浅野拓の3人だけ。かなり偏った結果になっている。
表3.個人別のスプリント回数のランキング (1位から20位まで)
ランク | 名前 | 節 | 対戦相手 | PT(分) | 走行距離(キロ) | SP回数 |
1 | 柏好文 | 5 | 名古屋 | 90 | 10.73 | 36 |
2 | 柏好文 | 4 | 神戸 | 90 | 11.52 | 32 |
2 | 柏好文 | 13 | 新潟 | 90 | 11.35 | 32 |
2 | 浅野拓磨 | 2 | 松本山雅 | 89 | 11.18 | 32 |
5 | 柏好文 | 3 | 浦和 | 90 | 10.56 | 31 |
6 | ミキッチ | 15 | 柏 | 89 | 11.90 | 30 |
6 | ミキッチ | 16 | 山形 | 90 | 11.45 | 30 |
6 | ミキッチ | 5 | 名古屋 | 90 | 10.70 | 30 |
9 | ミキッチ | 14 | 湘南 | 90 | 11.39 | 29 |
10 | ミキッチ | 8 | 横浜FM | 87 | 11.17 | 28 |
10 | 柏好文 | 16 | 山形 | 90 | 10.83 | 28 |
10 | 柏好文 | 1 | 甲府 | 87 | 10.73 | 28 |
13 | ミキッチ | 4 | 神戸 | 90 | 11.28 | 26 |
13 | 柏好文 | 7 | 清水 | 90 | 11.15 | 26 |
13 | ミキッチ | 13 | 新潟 | 88 | 11.11 | 26 |
16 | ミキッチ | 3 | 浦和 | 90 | 10.92 | 24 |
17 | 柏好文 | 8 | 横浜FM | 90 | 11.22 | 23 |
17 | 柏好文 | 6 | FC東京 | 89 | 11.17 | 23 |
17 | 柏好文 | 12 | 鹿島 | 90 | 10.88 | 23 |
17 | 浅野拓磨 | 5 | 名古屋 | 69 | 8.40 | 23 |
最後に示すのが個人成績である。トータルの走行距離が一番長かったのは当然のことながらボランチのMF青山敏。走行距離/90分は11.85キロとかなり優秀。走行距離/90分ではMF丸谷、MF野津田、FW浅野拓なども優れた数字を残している。そして、DF塩谷・DF水本・DF千葉・MF森崎和という後方でプレーする選手の走行距離が少なめである点がチーム全体の走行距離で相手を下回ることが多い理由と考えられる。
一方、スプリント回数に関するFW浅野拓の32.48回/90分はJ1でも屈指の数字。他にはMF柏が24.42回/90分、MFミキッチが24.13回/90分といい数字を残している。右ストッパーのDF塩谷もスプリント回数の多い選手である。221回というのは1位のMF柏と2位のMFミキッチに次ぐチーム内3位の数字。90分あたりのスプリント回数も15.13回/90分と守備的なポジションの選手としてはかなり高い数字になっている。
表4. 走行距離とスプリント回数の個人成績 (1節から16節まで)
名前 | PT(分) | 走行距離(キロ) | 走行距離/90分 | SP回数 | SP回数/90分 |
青山敏弘 | 1350 | 177.81 | 11.85 | 103 | 6.87 |
柏好文 | 1426 | 174.62 | 11.02 | 387 | 24.42 |
水本裕貴 | 1440 | 160.20 | 10.01 | 121 | 7.56 |
千葉和彦 | 1440 | 156.31 | 9.77 | 97 | 6.06 |
ミキッチ | 1231 | 153.84 | 11.25 | 330 | 24.13 |
森﨑和幸 | 1333 | 150.42 | 10.16 | 71 | 4.79 |
塩谷司 | 1315 | 147.12 | 10.07 | 221 | 15.13 |
ドウグラス | 1039 | 132.42 | 11.47 | 190 | 16.46 |
柴﨑晃誠 | 1000 | 128.94 | 11.60 | 121 | 10.89 |
佐藤寿人 | 1042 | 119.00 | 10.28 | 176 | 15.20 |
浅野拓磨 | 532 | 71.64 | 12.12 | 192 | 32.48 |
林卓人 | 1440 | 65.93 | 4.12 | 3 | 0.19 |
森﨑浩司 | 371 | 42.93 | 10.41 | 37 | 8.98 |
野津田岳人 | 229 | 33.60 | 13.21 | 56 | 22.01 |
清水航平 | 196 | 24.75 | 11.36 | 35 | 16.07 |
皆川佑介 | 115 | 15.34 | 12.01 | 10 | 7.83 |
丸谷拓也 | 97 | 13.05 | 12.11 | 13 | 12.06 |
佐々木翔 | 66 | 11.95 | 16.30 | 19 | 25.91 |
宮原和也 | 90 | 9.99 | 9.99 | 11 | 11.00 |
茶島雄介 | 82 | 9.82 | 10.78 | 21 | 23.05 |
工藤浩平 | 6 | 1.62 | 24.30 | 6 | 90.00 |
ということでサンフレッチェ広島については
・走行距離もスプリント回数も相手チームを下回る試合がほとんど。
・走行距離で目立つのはブラジルW杯の日本代表のMF青山敏。ほとんどの試合でチーム1位。
・スプリント回数で目立つのはMF柏とMFミキッチとFW浅野拓の3人。
・五輪代表のFW浅野拓は90分あたりのスプリント回数がJ1屈指。
・右CBのDF塩谷はスプリント回数でチーム3位。CBながらスプリント回数が多い選手である。
次回(=10回目)は横浜Fマリノスを取り上げる予定です。
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