■ 冬の高校選手権で大活躍した。青森山田高のときに冬の高校選手権で大活躍したMFバスケス・バイロンはMF檀崎(札幌)やDF三國ケネディエブス(栃木SC)と同学年になる。年代別代表だったMF檀崎やDF三國ケネディエブスに負けず劣らずの活躍を見せたが高卒で札幌に加入したMF檀崎、同じく高卒で福岡に加入したDF三國ケネディエブスとは違ってMFバスケス・バイロンは当時は東北1部リーグの所属だったいわきFCに入団することになった。
日本国籍ではなくてチリ国籍であることが進路選びのときにハンディになったと言われている。彼が高校3年生だった2018年当時のJリーグは今とは違って登録できる外国人選手の人数に制限があって、かつ、リーグ戦などで起用できる外国人選手の数も少なかった。幸か不幸か、翌年2019年から外国人枠に関するルールが大幅に変わって登録は無制限、J1では5人まで、J2では4人まで試合で起用できるようになった。
外国人枠に関するJリーグのルールがもう少し早く変更になっていたらMFバスケス・バイロンのサッカー人生は少し変わっていたと思われるが2019年に東北1部リーグのいわきFCに加入して活躍。2020年2月に母国であるチリのCDウニベルシダ・カトリカへの期限付き移籍を発表したが、残念ながら、移籍が決まったあたりからコロナの問題が深刻になってチリの国内リーグも延期になるなど厳しい時期を過ごした。
2020年の秋にいわきFCに復帰して2021年はいわきFCでプレー。2020年と2021年はJFLでプレーしたが昨オフにJ2の東京Vに完全移籍となった。いわきFCはJ3への昇格を果たしたのでそのままいわきFCに在籍していたら2022年の主戦場はJ3だったがやや驚きの個人降格を果たした。チリから戻ってきた後、JFLのいわきFCで大きなインパクトを残していたわけではなかったので懐疑的な声も少なくなかった。
■ 日本国籍取得する事を決断しました。「J2でどこまで通用するのか?は不明」という声は多かったが初挑戦となるJ2で躍動している。13試合に出場して4ゴール3アシスト。スタメンでプレーしたのは1試合だけ。ほとんどが途中出場になるが352分のプレー時間で4ゴール3アシストというのはとんでもない成績である。「J2を代表するスーパーサブの1人」として地位を確立しつつある中、5月16日(月)に自身のツイッターで以下のようなことを発表した。
「チリ代表になりたいという夢ももちろんあったんですけど、自分で沢山の事を考えた結果 日本国籍取得する事を決断しました。取得できるように色々動かなければいけないので、取得をしたらまた皆さんに報告をします。ただ、いずれは日本人になるので今後ともどうぞ宜しくお願いします。」「チリ代表を目指す。」というのはかねてから公言していたが日本国籍を取得することを初めて公表した。J2で目覚ましい活躍を見せている若手プレーヤーの帰化宣言なので大きな話題になっているが「小学校3年生のときに両親の仕事の都合で来日して埼玉県に住んでいた。」という話なので来日して10年ほどが経過している。日本語も堪能なので「日本国籍取得に関して障害になるものはほぼない。」と考えられる。
過去にはFWジュニーニョ(川崎F)などブラジル人出身の選手が日本代表入りを目指して帰化を検討することはあったが助っ人として来日した選手は日本語の読み書きのところが大きな障害になった。対してFWバスケス・バイロンは(チリのクラブに移籍した期間を除くと)小3以降はずっと日本で生活をしているのでそのあたりは大丈夫。5月16日(月)が誕生日なので22歳になった日に大きな決断を下したことを公表した。
■ J1は外国人枠を巡る競争が激しい。2000年生まれなのでパリ世代の対象にはならないがまだ22歳。「将来的なフル代表入り」というのは十分に考えられるがまず大きいのは外国人枠の対象から外れるという点である。東京Vを含めたJ2のクラブの中で外国人枠をフル活用しているクラブはほとんどないが、やはり、J1のクラブとなると5人の外国人枠をしっかりと活用しているクラブは多い。「J1のクラブに個人昇格するチャンスも膨らむ。」と言える。
J1の18クラブの中で今年のリーグ戦で6人以上の外国人選手を起用しているのは鹿島や清水やG大阪の3チームになる。この3チームは外国人の間でメンバー枠争いが繰り広げられており、FC東京・柏・C大阪も5人の外国人選手を起用している。「J1で1試合以上の出場経験を持つ外国人選手」はここまで79名。1クラブ当たり4.39人なので、やはり、J1となると外国人選手は大変である。チーム内での競争は激しい。
「今回の帰化はFWバスケス・バイロン自身の可能性やチャンスを大きくする決断」と言えるが将来的な日本代表入りの可能性が生まれることで日本のサッカーファンの彼への注目度や期待値はさらに高まると思われる。メディアも取り上げやすくなるが代表や個人昇格などキャリアアップのことを除外しても「外国で生まれた優秀な選手が日本への帰化を検討して決断してくれた。」というのは嬉しい話である。
表1. J1の18クラブの外国人選手の出場時間など (12節終了時点)
【J1】 外国人選手の人数と出場時間など (12節終了時点) |
クラブ名 | 人数 | 試合数 | 先発 | 総プレー時間(分) | (%) |
名古屋グランパス | 4 | 43 | 40 | 3,385 | 28.5% |
FC東京 | 5 | 45 | 39 | 3,378 | 28.5% |
柏レイソル | 5 | 45 | 34 | 3,092 | 26.0% |
鹿島アントラーズ | 7 | 46 | 31 | 2,867 | 24.1% |
アビスパ福岡 | 4 | 43 | 31 | 2,809 | 23.6% |
川崎フロンターレ | 5 | 39 | 35 | 2,746 | 25.2% |
横浜Fマリノス | 5 | 42 | 29 | 2,446 | 22.6% |
セレッソ大阪 | 5 | 38 | 23 | 2,359 | 19.9% |
ガンバ大阪 | 6 | 40 | 24 | 2,210 | 18.7% |
京都サンガ | 4 | 29 | 20 | 1,875 | 15.9% |
清水エスパルス | 6 | 32 | 19 | 1,678 | 14.1% |
コンサドーレ札幌 | 4 | 31 | 18 | 1,599 | 13.5% |
浦和レッズ | 4 | 24 | 19 | 1,585 | 14.7% |
ヴィッセル神戸 | 4 | 29 | 15 | 1,480 | 13.7% |
サガン鳥栖 | 3 | 19 | 16 | 1,439 | 12.1% |
ジュビロ磐田 | 3 | 18 | 8 | 1,047 | 8.8% |
湘南ベルマーレ | 2 | 19 | 10 | 823 | 7.0% |
サンフレッチェ広島 | 3 | 17 | 8 | 781 | 6.6% |
※ 人数は「2022年のJリーグで1試合以上出場した選手のみ」をカウント。
※ 提携枠のMFチャナティップは上の数字に含める。在日枠の選手は上の数字に含めない。
▼ 動画の投稿日 (2022年5月14日)
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