■ 第31節J1の第31節。15勝5敗10分けで勝ち点「55」のベガルタ仙台と、11勝12敗7分けで勝ち点「40」のセレッソ大阪がユアテックスタジアムで対戦した。J1の優勝争いは、首位の広島と2位の仙台が勝ち点「55」で並んでいて、3位の浦和は勝ち点「49」と伸び悩んでいるので、「3強」から「2強」になりつつある。
ホームの仙台は「4-2-2-2」。GK林。DF菅井、鎌田、上本、朴柱成。MF富田、松下、太田吉、梁勇基。FW赤嶺、ウィルソン。ボランチはMF角田が出場停止のため、MF松下がスタメンで起用された。MF松下は今シーズン11試合目のスタメンとなる。得点源となる2トップは、FWウィルソンが28試合で12ゴール、FW赤嶺が26試合で11ゴールを挙げている。
対するアウェーのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、藤本、丸橋。MF山口螢、シンプリシオ、枝村、柿谷、ヘベルチ。FW杉本。ロンドン五輪代表のMF扇原は3試合連続ベンチスタートで、MF山口螢とMFシンプリシオのダブルボランチとなった。MF柿谷は27試合で10ゴールを挙げている。FW播戸、MF吉野、MF村田らがベンチスタートとなった。
■ 1対1のドロー試合は立ち上がりから激しい展開となる。仙台も、C大阪も、カウンターからチャンスを作って、相手ゴールを脅かす。前半で最大のチャンスだったのは、終了間際の仙台の攻撃シーンで、MFシンプリシオからボールを奪って、数的優位のカウンターを仕掛けるが、GKキム・ジンヒョンが阻止してゴールは生まれず。前半は0対0で終了する。
後半開始からC大阪はFW杉本に代えてベテランのFW播戸を投入。すると、後半10分にFW播戸のパスを受けたMF柿谷がドリブルから左足で決めてアウェーのC大阪が先制する。MF柿谷は今シーズン11ゴール目となった。「首位の広島がリードしている。」という情報が入っていたので、勝たないと苦しくなる仙台は、MF関口、FW中原を投入するもチャンスを作れない。
しかしながら、後半43分にC大阪のFW播戸が2枚目のイエローカードを受けて退場になると、数的優位の仙台が攻め込んで、後半45分にCKからDF菅井がヘディングシュートを決めて1対1の同点に追いつく。DF菅井は今シーズン5ゴール目となった。ロスタイム表示は6分で、終了間際に仙台のFWウィルソンが決定機を迎えるが、シュートはポストに直撃して逆転することはできず。
結局、試合は1対1で終了。首位の広島は3対0で勝利したので、首位の広島が勝ち点「58」で、2位の仙台は勝ち点「56」となって、仙台にとっては、痛恨の引き分けとなった。一方のC大阪は、終盤までリードしていたが、逃げ切ることはできず。これで3試合連続でドローとなったが、J1残留には前進した。32節で大宮に勝利すると、残留が確定する。
■ DF菅井が同点ゴール2007年・2008年・2009年と両チームがJ2に所属していた頃は、常に、J2を引っ張ってきたライバル対決は、平日のナイトマッチにも関わらず、満員に近い17,493人のサポーターが集まったが、決着はつかなかった。後半45分に同点に追いついた後も、仙台には何度かチャンスがあったので、決まっていると劇的な展開となったが、運は味方せず、勝ち点「3」を掴むことはできなかった。
仙台は優勝という目標があって、C大阪にも残留ならびに上位進出という目標があるが、より切実なのはホームの仙台であり、前半は硬さも感じられた。この時期で、初優勝のチャンスがあるとなると、プレッシャーを感じずに戦うことは難しいので、仕方がないところもあるが、大きなプレッシャーを感じずに戦うことができたC大阪の方が、前半は試合のペースを握った。
同点ゴールを決めたDF菅井は、今シーズン5ゴール目となった。2011年も30試合で7ゴールを挙げているが、右SBの選手で、PKなしで、これほど得点に絡める選手というのは、Jリーグの歴史を振り返ってみても、思い当たる選手はいない。178センチの身長なので、特別、大きいわけではないが、バネがあって、ヘディングでゴールを射止めるシーンが目につく。
当然、右SBなので、そんなにゴール前に入って行くチャンスはないが、DF菅井は嗅覚が並はずれており、タイミング良くゴール前に入って行くことができる。名古屋のDF闘莉王もCBのポジションでゴールを量産する選手であるが、DF闘莉王の場合は、サボっていることも多くて、周りの選手に助けられている部分もあるが、DF菅井は、サボることは許されない立場で、闇雲に攻撃参加することはできないが、タイミングを見極める能力を有している。
DF菅井というと、ここ数年は、右SBのレギュラーであり、このポジションのスペシャリストになっているが、もともとは中盤の選手で、今でも、Jリーグには、MFとして登録されている。MFに対する強いこだわりがあるのか、はたまた、その反対で、全くポジションに対するこだわりが無いので、気にしていないのか、どちらかだと思うが、とにかく、ユニークな選手である。
こういうタイプの選手は、得点を期待されるポジションで使われると、点が全く獲れなくなる可能性もあるが、本職のボランチであれば、「シーズンで2桁ゴールは確実」と思えるほどの得点力を有している。ただ、こういう選手を右SBで起用しているのが、手倉森監督の作った今のチームの面白いところであり、困ったときにチームを救う活躍ができる選手である。
■ FW播戸が痛恨の退場・・・一方のC大阪は、GKキム・ジンヒョンの活躍もあって、勝利が目前に迫っていたが、FW播戸の退場が誤算だった。後半から登場したFW播戸は、先制ゴールをお膳立てしたシーン以外でも、前線で起点となる働きを見せており、動きは悪くはなかったが、後半26分と後半43分に遅延行為でイエローカードを受けて退場となった。「時間を稼ぎたい。」という意図は分かるが、2枚目のイエローカードのシーンなどは、無駄なプレーであり、チームに迷惑をかけることなった。
ベテラン選手なので、何をすればいいのか、何をしなければならないのか、よく分かっていると思うが、そのことを意識しすぎて、裏目に出てしまった。1点を追う仙台は、高さのあるDF渡辺とFW中原を投入して、リスク覚悟で攻撃に出てきたが、1人少なくなったこともあって、C大阪はゴール前の高さと枚数が足りなかった。DF茂庭とMF柿谷が負傷交代して、交代カードが残っていなかったことも誤算で、難しい展開になった。
ただ、アウェーの勝ち点「1」を獲得したので、6試合無敗となった。32節は大宮(H)、33節は広島(A)、34節は川崎F(H)と対戦するが、先のとおり、大宮に勝利すると、J1残留が確定する。新潟とG大阪がともに敗れた場合も、J1残留が確定するので、残留できる可能性は高くなっているが、早く残留を決めて、1つでも上の順位を目指したいところである。
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