■ W杯まであと2年半2014年に開催されるブラジルW杯は「2014年6月12日開幕、7月13日決勝」という日程で行われることが発表されている。よって、あと2年半となった。すでに三次予選突破を決めているザック・ジャパンは、発足当初から中心メンバーは変わっていないが、2011年に入ってアジアカップでもレギュラーでプレーしたDF吉田が定位置を確保し、アジアカップでゴールを決めて海外移籍も果たしたMF細貝、DF伊野波、FW李忠成らが代表に定着するなど、南アフリカW杯のときの代表と比べてメンバーも、かなり若返ってきた。
さらに、夏以降も、MF清武とFWハーフナー・マイクが代表戦で結果を残して切り札的な存在になるなど、若い選手も加わってきている。特に、MF清武に関しては、ほんの1年前までは、Jリーグの中でも、「好プレーヤーの一人」という扱いで、メディアにクローズアップされることも少なかったが、今では、もっとも注目されるJリーガーの一人となった。この1年で大きく立場が変わった選手の代表といえる。
その一方で、一度は、代表から外れたベテランのDF駒野、MF中村憲が復帰を果たすなど、ザッケローニ監督はかなり柔軟な選手起用を見せている。W杯まで2年半となって、最終予選もスタートする。2011年のアジアカップの前後は、少し強引に感じるほど若返りを図ってきたが、ベテランの経験も必要となってくる時期になったので、今なお、日本人トップクラスのディフェンダーであるDF闘莉王の代表復帰もあり得ない話ではないだろう。よって、2012年は、どういう選手が代表に呼ばれて、出場機会を与えられるのか、興味は尽きないところであるが、そんな中で、今年(2012年)、フル代表入りやフル代表定着を期待したい選手を挙げてみた。
2010/09/02
こんな選手をザッケローニ・ジャパンに・・・。 2011/03/30
こんな選手をザッケローニ・ジャパンに・・・。 (その2)
① FW玉田圭司 (名古屋グランパス) → 南アフリカW杯では不完全燃焼に終わったが、W杯後、コンディションを上げてきて、2010年は29試合で13ゴールを挙げると、2011年も33試合で14ゴールを記録。2010年は初のリーグ制覇に大きく貢献し、2011年はキャリア最多のゴール数をマークするなど、30歳を超えてもなお、進化を続けている。ザッケローニ監督になってからは、日本代表に招集されていないが、今でも日本屈指のアタッカーであることは間違いない。左サイド、トップ下でもプレーできるが、途中出場でも力を発揮できる選手なだけに、本人に代表復帰の意思があるのであれば、ジョーカーとして面白い存在になるだろう。
② MF乾貴士 (ボーフム) → 2009年1月に代表デビューを果たし、南アフリカW杯後も、何度か代表に招集されているが、なかなかチャンスに恵まれていない。しかしながら、C大阪でゴールに絡むプレーを続けて、ドイツ2部でも「リーグ有数のMF」と評価されるなど、代表に定着してもおかしくない活躍を見せている。MF乾も途中出場であっても、力を発揮できるタイプなので、ベンチスタートでも効果的だと思われるが、何よりも、フル代表で攻撃の核となっているMF香川とは、C大阪時代にずっとコンビを組んできた間柄である。MF香川の力を最大限に引き出すことのできる選手なので、また共演しているところを見てみたいが・・・。
→ 2011/12/20
乾貴士はドイツでどんな評価をされているのか?③ MF 山田大記 (ジュビロ磐田) → 1年目から名門チームの10番を背負って堂々たるプレーを見せた。1988年12月27日生まれなので、惜しいところでロンドン五輪代表の対象にはならないが、フル代表に呼ばれても不思議ではないプレーを見せている。左サイドが主戦場となるので、同級生のMF香川がポジションを争うライバルとなるが、パスセンスや攻撃時のアイディアの豊富さはMF香川を上回るものがある。また、狭いスペースでも高い技術を駆使して、すり抜けていくことができるので、ゴールに向かうドリブルができる選手でもある。日本代表のサイドハーフは、MF岡崎とMF香川が起用されていることからも分かるとおり、ゴールを奪う仕事を期待されるポジションなので、得点力アップが不可欠であるが、2年目のジンクスに負けずに、さらなる成長を見せることができれば、代表入りのチャンスが出てくるだろう。
④ MF 小林裕紀 (ジュビロ磐田) → ジュビロの大卒トリオの一人で、1年目からボランチでレギュラーを確保した。ヴェルディの下部組織で育った選手で、ノヴァラのFW森本と同期となる。ヴェルディ出身の選手らしく、非常にテクニックがあって、パスを散らすことのできる選手であるが、推進力や守備力、運動量もかなりのレベルにある。また、バランスを取るプレーも上手で、クレバーなタイプなので、いきなり代表戦で起用されても、すぐにチームにフィットして、プラス効果をもたらすことのできる選手のように思える。磐田でも中盤の要になってきているが、周囲の選手のレベルが高ければ高いほど、力を発揮するタイプのようにも思える。
⑤ MF 金園英学 (ジュビロ磐田) → ジュビロの大卒トリオの一人で、入団時は、ほとんどノーマークの存在だったが、1年目から28試合で12ゴールを挙げるなど、申し分ないルーキーシーズンを送った。磐田は2トップを採用しているので、FW前田と2トップを組むことが多かったが、FW前田にうまく生かされて、短い出場機会にもかかわらず、ゴールを量産した。184センチの高さと身体能力の高さが魅力で、ゴール前では、体ごと突っ込んでいく勇気も備わっている。ポストプレーの精度向上など課題もたくさんあるが、スケールの大きな選手なので、今後、日本代表の1トップ候補として浮上してくる可能性も十分に考えられる。2年目のジンクスに負けずにアピールしたいところである。
⑥ MF 扇原貴宏 (セレッソ大阪) → 2011年の秋以降に台頭してきた大型ボランチである。Jリーグのデビュー戦が2011年8月の鹿島戦だったので、Jデビューしてから半年も経過していないが、所属のC大阪でもポジションを確保し、2012年はMFマルチネスが退団することになったので、新しいゲームメーカーとしての期待がかかる。また、五輪代表にも定着し、最終予選は3試合連続スタメン出場。精度の高いキックで五輪予選でもいくつかのゴールを演出している。ユース時代からいろいろなポジションで起用されてきたこともあってボランチの経験は乏しくて、現段階でMF遠藤のようなゲームメークを求めるのは酷であるが、守備力や高さ、ゴール前に出ていく力など、MF遠藤にないものをいくつか備えている。タイプは異なるが、「ポスト・遠藤」の候補の一人といえる。
→ 2011/12/01
MF扇原貴宏は「ポスト遠藤」になりうるか? → J3+(メルマ)⑦ MF 武井択也 (ガンバ大阪) → ザッケローニ監督は、こういうタイプの選手が好きなのか、これまで、いろいろな選手を試してきた。ただ、お眼鏡にかなった選手はおらず、MF長谷部、MF遠藤に続く第3ボランチの選手を決めかねているというのが現状である。所属クラブにも、MF明神とMF遠藤がいて、攻撃的MFにもタレントが揃っているので、G大阪の予想スタメンを考えたとき、MF武井の名前は外れることが多いが、いろいろなポジションができるため、ユーティリティな選手として重宝されている。179cmと中盤の選手としてはサイズもあって、G大阪で経験を積んでいることもあって、細かいパス回しにも対応できる。2011年に大きく飛躍したが、今年も同じような成長曲線を描くことができれば、日の丸も夢ではなくなってくる。
⑧ FW 豊田陽平 (サガン鳥栖) → 2011年は38試合で23ゴールを挙げてJ2の得点王に輝いた。近年のJ2の得点王は、MF香川、FWハーフナー・マイクと、代表に定着している選手が続いているので、FW豊田にも代表入りの期待がかかってくる。魅力は並外れた身体能力の高さで、2011年はゴール前でも落ち着いてプレーできるようになって、一皮剥けた印象がある。自らのドリブルでシュートチャンスを作ったり、ポストプレーで味方を生かすプレーはあまり得意ではないので、課題も多い選手であるが、いいボールがサイドから上がってきたときの期待感は、日本人ストライカーの中でも随一である。2012年も鳥栖に残留することになったので、エースとしてJ1に挑戦することができるが、ここでゴールを量産できるようだと、代表入りは確実となるが・・・。
⑨ MF 大谷秀和 (柏レイソル) → 2011年の柏の優勝に大きく貢献したボランチで、リーダーシップもある。これまで、代表には全く縁がなかったが、2011年のリーグ戦やクラブW杯で大きく評価を高めて、「もしかしたら・・・。」というところまで駆け上がってきた。今の代表チームは、MF長谷部、MF遠藤という攻撃に特徴のある(あった)選手を並べているが、世界のトップチームと戦うとき、このダブルボランチでは、やや守備面で不安を感じてしまう。したがって、守備に特徴のあるボランチも用意しておきたいところであるが、クラブW杯のモンテレイ戦やサントス戦のMF大谷のプレーを観ると、国際試合でも「個でボールを奪い返す力を持っている選手」であることが分かる。今のところ、第三ボランチの座は、MF細貝がもっとも近い位置にあるが、決め手には欠けている。2012年も、同じレベルのプレーができれば、代表入りのチャンスが出てくるだろう。
⑩ DF 酒井宏樹 (柏レイソル) → 右SBのレギュラーのDF内田は、シャルケで出番が減少しており、DF駒野も海外移籍する可能性が高くなっている。そうなると、クローズアップされるのは、柏のDF酒井だろう。もともと、フィジカルの強さは日本人離れしたものがあったが、2011年は攻撃力が格段にアップして、ロンドン五輪代表でも不動の右SBとなった。右SBに何を求めるか?で、誰を起用するのがベストなのか変わってくるが、183センチの高さは大きな魅力で、左SBのDF長友が高さの無い選手なので、バランスを取る意味でも、2012年中にDF酒井が右SBのファストオプションになってもおかしくない。
⑪ DF 森重真人 (FC東京) → 移籍1年目の2010年は低調なパフォーマンスに終始し、チームが降格する原因の1つとなったが、J2で力を蓄えて、2011年はJ2のMVP級の働きを見せた。ボランチ出身でボールテクニックに優れたものがあったが、J2でレベルの劣る相手と戦う中で、攻撃参加するタイミングを会得した印象で、DF森重の攻撃参加はFC東京の大きな武器となっていた。ポテンシャルを考えると代表入りがあってもおかしくないが、ライバルはDF今野となる。FC東京ではチームメイトだったが、似た系統の選手で、DF今野のバックアッパーが見つかっていない現状を考えると、DF森重が代表で試されても不思議はない。
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