■ 最終節J2は第38節。ついに最終節を迎えた。すでに柏、甲府、福岡の3チームのJ1昇格は決定している。
開幕から5連敗スタートで、W杯の中断前までの成績が2勝10敗4分けと下位に低迷していたザスパ草津だったが、中断後の19試合で12勝5敗2分け。トータルで14勝15敗6分けと借金を1つまで減らしてきた。現在、4連勝中。しかも、甲府、千葉、横浜FCと上位チームを相手に勝利を重ねている。チーム初の5連勝で今シーズンを締めくくることが出来るか?一方の柏は22勝2敗11分け。すでにリーグ優勝が決定している。
ホームの草津は<4-2-2-2>。GK常澤。DF西澤、御厨、尾本、田中。MF松下、熊林、菊池、廣山。FWアレックス、高田。GK常澤、DF尾本、FW高田は今シーズン限りでの退団が決定しており、U-19日本代表のMF菊池はレンタル期間が終了して湘南に戻ることが発表されたばかり。さらに元韓国代表のDF崔成勇は現役引退を表明しており、この試合がラストマッチとなる。
対するアウェーの柏は<4-2-2-2>。GK菅野。DF小林祐、パク・ドンヒョク、近藤、藏川。MF茨田、大谷、山崎、レアンドロ・ドミンゲス。FW林、工藤。アジア大会の日本代表のFW工藤は10ゴール、FW林は9ゴールを挙げている。
■ 柏が勝利試合は立ち上がり早々に柏がコーナーキックを獲得すると、MFレアンドロ・ドミンゲスのボールをDF近藤がヘッドで決めて柏が先制する。さらに前半ロスタイムにも、ゴールやや左寄りでフリーキックを獲得すると、MFレアンドロ・ドミンゲスが直接決めて2点リードに広げる。MFレアンドロ・ドミンゲスは13ゴール目。前半は2対0で折り返す。
FW高田のラストゲームを勝利で飾りたいホームの草津は後半になると、FW高田にボールを集めて何度か惜しいチャンスを作るが、なかなかゴールまで結び付けられない。攻勢を続ける柏は後半22分にFW林のPKで3点目を挙げると、さらに後半35分にもMF山崎が決めて4ゴールをマークする。結局、4対0と柏が地力の差を見せつけて圧勝。有終の美を飾った。一方の草津は連勝が4でストップ。チーム記録の5連勝はならなかった。
■ 冴えたカウンターすでにJ2優勝を決めている柏であったが、手を抜くことなく4対0で勝利。J2で最後の試合を勝利で飾った。前半早々に奪ったセットプレーからのDF近藤のゴールが大きくて、その後、人数をかけた攻撃で得点を奪いにきた草津をうまくいなして、カウンターを中心にチャンスを作ると、合計で4ゴールをマークした。
中心となったのは、やはり、MFレアンドロ・ドミンゲス。1点目のゴールをアシストし、前半終了間際には直接フリーキックからゴール。キックの上手さはJ2の中では飛び抜けていて、運動量もあるので相手にとっては捕まえにくい。ブラジル人であるが、セルフィッシュなところもなくて、「マルシオ・リシャルデスの強化版」と評されているが、確かにJ2レベルをはるかに超えた選手である。柏は来シーズン、J1に復帰するが、MFレアンドロ・ドミンゲスがどのくらいのプレー出来るかは大いに注目したいところである。
■ 理想的な1年間これで全日程が終了。23勝2敗11分けで勝ち点「80」。2位の甲府と10ポイント差をつけて危なげなく昇格を果たした。今シーズンの柏は「J1昇格」というミッションを達成するとともに、FW工藤、MF茨田、DF橋本ら若手が台頭してきて、かなり実りのあるシーズンとなった。
前回、J1に所属した2007年から2009年の3年間は、FWフランサという大黒柱がいて、FWフランサ中心でチームが動いていたが、FWフランサの出来に左右される試合も少なく無かった。当然、FWフランサのマジックで勝利をつかんだ試合は多かったが、その一方で、ほとんど守備をしない選手なので、他の選手にかかる負担も大きかった。「脱・フランサ」というのが1つのテーマだったが、MFレアンドロ・ドミンゲスが入ってきて、さらに若手が伸びてきたこともあって、FWフランサの時代は幕を閉じることになった。
一気に世代交代を敢行した印象はないが、いつの間にか、柏のスタメンは若返っていて、19歳のMF茨田らが主力となった。育成をしつつ、結果を残すというのは非常に難しいことであるが、今シーズンの柏はうまく両立させて、いいシーズンとなった。
■ 右サイドの小林祐三J2の戦いで新境地を開いたのがDF小林。これまではセンターバックでプレーすることが多かったが、今シーズンは右サイドバックで定着。スピードを生かしたプレーで攻撃に大きく貢献し、J2で屈指の右サイドバックと評されるようになった。176㎝ということでセンターバックとしては高さに欠けていたのでCBとしてはスペック的な限界も感じられたが、右サイドに移って生き生きとしている。
気になるのは横浜FMへの移籍話が出ていることであり、柏にとってDF小林が抜けると一大事である。「センターバックもこなす俊足の右サイドバック」というのはアピールポイントになるので、日本代表入りもあり得ると思うが、果たしてどういう決断をするだろうか?
■ 成長を遂げた菊池大介草津は0対4で大敗し、5連勝はならなかった。しかしながら、14勝16敗6分けとスタートで大きく躓いたことを考えると、よく盛り返したといえる。副島監督の留任も決定し、来シーズンのさらなる飛躍が期待されるところである。終盤の好調を支えたのはU-19日本代表のMF菊池であり、甲府戦は2ゴール1アシスト、千葉戦はFWアレックスのゴールを導く強烈なシュートを放ち、終盤になって多くのゴールに絡んだ。
MF菊池はデビューしたのは2007年。したがって、4年目のシーズンとなるが、この時はまだ高校1年生だったので、まだ高卒1年目のシーズンである。湘南がJ1に昇格したこともあって、試合経験を積むために草津にレンタル移籍してきたが、27試合で4ゴールとまずまずの結果を残した。
驚いたのタフさが出てきたことであり、湘南の頃はそれほどディフェンスで頑張るタイプの選手ではなく、ドリブルやシュートで魅せるタイプのアタッカーだったが、ここ最近のプレーは守備も頑張っており、プレーヤーとして一回り大きくなったような印象を受ける。フィジカルも向上し、当たり負けすることも少なくなった。
草津での修業を終えて来シーズンは湘南に戻ることになるが、湘南の中盤は若返りが急務であり、<4-1-2-3>を継続するのであれば、「2」のポジションをこなすことができるようになったのでは?と思われる。2009年シーズンは守備の不安もあって、使われるとしたら「3」の位置であったが、「2」の位置でシーズンを通してプレーできれば、1年でのJ1復帰もあり得なくはない。
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