■ ACLの2節ACLの2節。初戦でタイのブリーラムに2対3で敗れて黒星スタートとなった柏レイソルが、ホームで韓国の全北現代と対戦した。全北も、初戦で中国の広州に1対5で敗れて黒星スタートとなった。グループHは、日韓中のリーグ王者が集まる死のグループとなったが、ブリーラムと広州が白星スタートを切った。
全北は、2006年のACLを制覇し、2011年のACLも準優勝に輝くなど、アジアの舞台でもっとも実績を残しているクラブの1つであるが、ラフなチームとして知られており、2011年にC大阪と対戦したときは、MFキム・ボギョンが顔面骨折という大怪我を負うなど、遺恨を残した。
ホームの柏は「4-2-2-2」。GK菅野。DF酒井、増嶋、那須、橋本。MF栗澤、大谷、レアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネル。FW田中順、リカルド・ロボ。戦列を離れていたMF栗澤が復帰して先発出場。五輪代表候補のMF茨田はベンチスタートとなった。
■ 日韓王者対決を制す!!!試合はホームの柏のペースとなる。韓国代表のFW李東国はベンチスタートで、守備重視の3バックを採用してきた全北に対して、柏はMFレアンドロ・ドミンゲスを中心に攻撃を仕掛ける。先制ゴールが決まったのは前半40分で、左サイドでフリーキックを獲得すると、MFジョルジ・ワグネルのボールをDF那須が合わせて先取点を奪う。DF近藤の負傷でスタメンのチャンスが回ってきたDF那須は移籍後初ゴールとなった。
さらに、前半45分にも、FWリカルド・ロボのパスからハンドでPKを得ると、MFレアンドロ・ドミンゲスが決めて2対0とリードを広げる。そして、その直後にも、FWリカルド・ロボの落としからMFレアンドロ・ドミンゲスが鮮やかなループシュートを決めて3点目。あっという間に3点を奪って、3対0とリードして前半を折り返す。
後半開始から、全北はFW李東国を投入。すると、後半6分にFW李東国の落としから、中国代表のMFファン・ボーウェンが決めて1点を返す。その後、柏は、DF橋本の突破からPKを得るが、今度は、MFレアンドロ・ドミンゲスが失敗して追加点はならず。終盤になると、全北に際どいシュートを放たれて、危ないシーンを作られたが、後半44分にMFレアンドロ・ドミンゲスのパスからFW田中順が右足で決めて4点目を挙げると、終了間際にも途中出場のMF茨田がヘディングで決めて5対1と突き放す。結局、試合はJリーグ王者の柏が5対1で圧勝して、ACL初勝利を飾った。
■ 凋落の兆しが感じられるKリーグ昨年のACLで準優勝に輝いた全北は、今年も優勝候補の一角と目されているが、これで、2試合連続で1対5の敗戦と、信じがたいスタートになった。大きいのは監督が変わったことで、昨年末に、韓国代表の趙広来監督が解任されて、全北の監督だった崔康熙氏が韓国代表の監督に就任。李興実氏が監督代行となったが、チーム内にトラブルを抱えているのか、全く覇気が無くて、拍子抜けするほど、攻守とも精彩を欠いた。
あまり肯定できることではないが、昨年のACLの準々決勝でC大阪と対戦した時は、球際が非常に激しくて、「何をしてでも、勝ちたい。」という気迫を感じたが、今回は、全く気迫を感じなかった。C大阪との試合では、FW李東国というセンターフォワードにロングボールを当てて、こぼれ球を拾うサッカーでチャンスを作ったが、この試合は、FW李東国はベンチスタートで、どういう攻撃をしたかったのか、よく分からないままで失点を重ねた。
ここ数年、ACLでは韓国勢が結果を残してきたが、今年になって風向きは変わってきて、韓国勢は、結果を出せていない。そして、この流れは、さらに加速していくものと思われる。大きな理由として、3年ほど前から、韓国の有望な高校生や大学生の多くが、Kリーグ入りを希望せず、欧州のクラブや日本のクラブを選択するようになっている点で、トップレベルの選手のほとんどが海外に流出している。この状態で、Kリーグのクラブが競争力を維持するのは、ほとんど不可能である。
■ MFレアンドロ・ドミンゲスが2ゴール一方の柏は、アウェーでブリーラムに2対3で敗れて黒星スタートを切ったが、ホームで快勝となった。Jリーグでも、0勝1敗1分けとスタートダッシュに失敗し、嫌な流れだったが、この勝利で、悪いムードも払しょくできるだろう。全北の出来の悪さに助けられたところもあったが、攻守ともに、昨シーズンの水準を取り戻しており、いい流れで攻撃ができた。
攻撃の主役となったのはMFレアンドロ・ドミンゲスで、2ゴール1アシストの大活躍を見せた。後半にPKを失敗したので、ハットトリックはならなかったが、絶大な存在感を発揮して、チームを引っ張った。全北には、同じブラジル人のMFエニーニョという選手がいて、この選手は、いつも質の高いプレーをして日本勢を苦しめてきたが、ブラジル人対決もMFレアンドロ・ドミンゲスの圧勝だった。
ここ最近、ACLで日本勢が結果を残せていない理由の1つとして、外国人選手の質の低下が指摘されている。確かに、20007年や2008年辺りと比べると、ブラジル人選手の質も落ちてきて、ビッグネームも少なくなったが、柏のMFレアンドロ・ドミンゲスとMFジョルジ・ワグネルの二人は別で、国際試合では、本当に頼りになる存在である。
MFレアンドロ・ドミンゲスは、ドリブルも、パスも、シュートも上手なので、一人で何でもできるスーパーな選手であるが、セルフィッシュな選手ではないところも、彼のいいところである。味方を使うプレーも巧みなので、柏は、MFレアンドロ・ドミンゲスに使われることで、周りの日本人選手も輝きを放つようになった。U-23でも主力となったDF酒井宏が代表例といえるが、ただの一選手にとどまらない大きなプラス効果をチームにもたらしている。
■ DF那須が先制ゴール柏は、DF近藤がスタメンから外れて、DF那須がセンターバックで起用されたが、前半40分に先制ゴールをマークし、守備でも体を張ったプレーでチームに貢献した。2ゴール1アシストのMFレアンドロ・ドミンゲスの活躍も光ったが、DF那須がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれても不思議ではないパフォーマンスを見せた。
オフに磐田から柏に移籍してきたDF那須は、近年はボランチとして評価を高めてきた。守備的なボランチとしては、リーグでも有数の存在になったので、ボランチのレギュラー候補として、興味を示したチームは多いと思うが、柏への移籍を選択した。
ただ、柏には、MF大谷とMF栗澤というレベルの高いボランチコンビがいて、有望株のMF茨田も控えているので、ボランチとしてチャンスが与えられる可能性は低い。J1のレギュラーボランチとして活躍できるチームは、たくさんあると思うので、柏への移籍はもったいない気もしたが、柏にとっては大きな戦力である。ボランチも、センターバックも、サイドバックもこなす守備のスペシャリストがベンチに控えているのは心強い。
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