モンテディオ山形→ J2は34節が終了した。残りは8節となったが首位の磐田と2位の京都がこのまま自動昇格を達成する可能性が高い。オフの補強に成功して「昇格候補の1つ」に挙げられた山形は17勝10敗7分けで勝ち点「58」となる。2位の京都との差は「13」なので自動昇格の可能性はわずかながら残っているがかなり難しくなってきた。3位の甲府との差は「5」なので1つでも順位を上げてシーズンを終えたい状況になっている。
今シーズンの山形は2015年以来のJ1復帰を目指したが出遅れたのは痛恨だった。9節を終えた時点で1勝4敗4分け。20位に沈んで石丸監督は解任となった。佐藤尽氏が暫定的に監督に就任した後、クラモフスキー監督になってからは好成績を残しており、14勝5敗2分けとなるが2月・3月の出遅れを挽回することは出来ず。磐田にはホームでもアウェイでも勝利したが逆に京都戦はホームでもアウェイでも敗れた。
クラモフスキー監督になってからの1試合平均の勝ち点は「2.10」となるがこれは今の磐田や京都とほぼ同じ勝ち点ペースになる。34節を終えた時点で磐田は「2.15」、京都は「2.09」となる。監督交代後の勝ち点ぺースを年間を通して維持できると自動昇格を達成することが出来るがJ2で安定して勝ち点を積み上げるのはなかなか大変である。FWヴィニシウス・アラウージョが怪我で長期離脱したのはマイナスだった。
18試合で7ゴールのFWヴィニシウス・アラウージョと34試合で7ゴール4アシストのMF山田康がチーム内得点王になるが磐田にはFWルキアンがいて京都にはFWピーター・ウタカがいる。1人で20ゴール程度を記録できるストライカーがいないと2位以内に入るのは難しい。FWヴィニシウス・アラウージョの90分あたりの得点数は「0.51」なのでJ2でも上位クラスになるがスタメンで起用されたのは14回のみとなる。
開幕前は「各ポジションに実力者を獲得して選手層はJ2屈指」と言われたがフォワードだけは手薄だった。「FWヴィニシウス・アラウージョが離脱したり、調子を落としたら苦しくなる。」というのは今シーズンの山形の不安要素の1つだったが心配されていた不安が的中する形になった。J3のFC今治から獲得したFW林誠道は32試合で5ゴール。初のJ2で奮闘しているが34試合で46得点。上位6チームとは大きな差がある。
チームを立て直したクラモフスキー監督の続投はほぼ確実と言える。このままいくと2022年も「有力な昇格候補の1つ」としてJ2の開幕戦を迎えることになると思うが流出の心配があるのはFWヴィニシウス・アラウージョとMF中原輝とDF半田の3人になる。FWヴィニシウス・アラウージョはJ2ではトップクラスのストライカーである。MF中原輝は33試合で6ゴール7アシスト。同じく初挑戦のJ2で躍動している。
年代別代表で19歳のDF半田はついに右SBのレギュラーを獲得したが各年代の国際大会で活躍してきた選手なのでJ1行きどころか、いきなりの海外進出も十分に考えられる。身体能力が高くて基本的な技術も高い選手なので将来性は相当に高い。横浜FMから期限付き移籍のMF山田康に関してはJ2でこれだけの活躍を見せているので「山形が引き止めるのはほぼ無理」と考えられる。横浜FMに戻る可能性が高い。
各種のスタッツを見ると攻撃に関してはほとんどの数字がJ2屈指となる。「シュート数」は3位、「枠内シュート数」は5位、「ペナルティエリア進入回数」は2位、「30mライン進入回数」に至ってはJ2最多となる。石丸体制のときからチャンスはそれなりに作れていたが攻撃力はJ2屈指である。チャンスの数が多い割にはJ2のライバルクラブと比較すると総得点が少ないので「得点力の高い選手」が必要になってくる。
以上などを踏まえて今オフの山形の補強ポイントを挙げてみると
○ 得点力の高いストライカー
▽ FWヴィニシウスにかかる負担が大きい。
○ 攻撃の中心になれるアタッカー
▽ 軸のMF山田康太を引き止めるのは難しい。
○ 左利きの左サイドバック
▽ DF山田拓巳は右利き。DF松本怜大の競争相手。
○ サイズのある長身ボランチ
▽ 平均身長がJ2の中では5番目に低い176.24cm。
○ フィード力の高いセンターバック
▽ パス能力の高いCBは少ない。弱点の1つ。
○ 左利きのアタッカー (右SHと左SH)
▽ MF中原輝とMF加藤大樹は流出の可能性あり。
あたりになる。流出の可能性がある選手がたくさんいるので「流出した選手の穴埋め作業」が中心になる可能性もあるがFWヴィニシウス・アラウージョの引き止めに成功したとしても得点力の高いフォワードが欲しい。2列目もMF山田康やMF中原輝は抜ける可能性が高いので「攻撃の中心になれるアタッカー」が必要である。MF中原輝やMF加藤大が抜ける場合は「左利きのアタッカー」が必要になってくる。
「サイズのある長身ボランチ」や「左利きの左サイドバック」も欲しいが「今オフに山形が獲得できたら面白いと思う選手」を具体的に何人か挙げてみると
○ FW 藤本佳希 (愛媛FC)
▽ 28試合で9ゴール4アシスト。万能型のフォワード。
○ FW 呉屋大翔 (大分トリニータ)
▽ 今夏に柏から移籍。長崎時代の2019年は22ゴール。
○ MF 小林成豪 (大分トリニータ)
▽ 2018年にJ2の山形で12ゴールと大活躍。
○ DF 小池裕太 (セレッソ大阪)
▽ 攻撃力の高い左SB。スピードと左足のキック。
○ DF 高木友也 (横浜FC)
▽ 法政大出身でプロ1年目。ビルドアップも得意。
○ DF T・ジェファーソン (水戸ホーリーホック)
▽ フィリピン代表でもプレー。左利きでスピードもある。
○ DF 岡崎慎 (FC東京)
▽ 五輪代表でもプレーしたクレバーなCB兼ボランチ。
○ MF 吉尾海夏 (町田ゼルビア)
▽ 町田で30試合7ゴール8アシスト。横浜FMが保有権。
○ MF 三田尚希 (長野パルセイロ)
▽ J3で2年連続2桁ゴール中。J3屈指のアタッカー。
あたりになる。クラモフスキー監督は横浜FMや清水とつながりのある指導者なのでこのあたりのクラブで出場機会に恵まれない選手を獲得できると有意義な補強になる。また、昨オフは熊本のMF中原輝やSC相模原のGKビクトルやFC今治のFW林誠道などを獲得しているが「J3で活躍した選手を獲得する。」というのは有効な手段になる。「J2の舞台に挑戦したい。」と考えているJ3所属の選手はたくさんいる。
「2021年のJ3で目立った活躍を見せている選手で、かつ、山形の補強ポイントに合致した選手」というとMF三田尚(FC今治)、MF杉山直(熊本)、MF菊谷(Y.S.C.C.横浜)など。3人とも左利きのアタッカーになる。フォワードの候補としてはFW高橋利(熊本)、FW浅川(熊本)、FWトカチ(福島)、FW梅田魁(宮崎)などが挙げられる。MF中原輝がJ3の熊本からJ2の山形に移籍して活躍していることは安心感をもたらすだろう。
最後に10月19日(火)の時点で加入が決まっている新卒の選手はMF横山塁(東洋大)とMF荒川(興国高)の2人になる。MF横山塁はFC東京U-18のときに年代別代表に召集された経験がある。サイドからの突破が武器となる。MF荒川はC大阪 和歌山U-15から興国高に進んだ。高卒ルーキーのMF樺山が横浜FMから山形に期限付き移籍して主に左SHで出場機会を得ているがこの2人は1学年違いで先輩・後輩の間柄になる。
▼ 「もっと詳しく!」という場合はこちらで (2021年10月14日 up済)
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